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東北大学は1907年に東北帝国大学農科大学として発足し、一昨年、100周年の記念行事が盛大に挙行されました。農科大学の母体となったのは、1876年に北海道の地に創立された札幌農学校でした。
しかし、10年後の1918年に農科大学は北海道帝国大学に分離され、その後1939年に農学研究所が設置されたものの、悲願であった農学部の設置は第二次大戦後まで日の目を見ることができませんでした。
戦後間もない1947年、食料増産という当時の社会的要請も手伝って、第八代佐武安太郎総長の時代に、東大、北大、九大、京大につぐ全国第5番目の農学部が東北大学に設置されました。
農科大学の分離から再び農学部が設置されるまで、実に30年近くもの歳月を要したことになります。
東北大学の100周年は、農学部にとっても60周年という節目の年にあたりました。農学部・農学研究科では今まで8,107名の学部学生を世に送り出し、国内外の3,145名に修士の学位を、1,719名に博士の学位を授与するなど、研究第一主義、門戸開放を掲げる東北大学とその歩みを共にしてきました。
近年は、大学院を「資源生物科学専攻」、「応用生命科学専攻」、「生物産業創成科学専攻」の3専攻に整備し、附属複合生態フィールド教育研究センターと併せ、新世紀における農学研究の世界リーディング・ユニバーシティを目指して活動を展開しています。
その目標は、農学を「人類の生存基盤である食料、健康、環境問題に取り組む生物産業科学」と位置づけ、「革新」を原動力として「基盤的教育研究」、「創造的教育研究」、「挑戦的教育研究」を三位一体的に推進していくことです。
本年度からは新世紀農学の挑戦的・戦略的研究拠点として、新たに附属先端農学研究センターを設立しました。
教職員のみならず学部学生、大学院生、卒業生の各界、各方面における活力ある知の創造と幅広い社会貢献に対する期待も大いに高まっています。
農学部・農学研究科にとって、大変誇りに思う最近の出来事は、本学部を卒業された遠藤章先生が、コレステロール低下薬「スタチン」の開発研究で、2006年度の日本国際賞に続き、08年度にはアメリカ医学会最高の賞といわれるアルバート・ラスカー賞を受賞されたことです。
遠藤先生は、6000種ものカビやキノコを調べ、成果のないまま2年間にわたる研究が終わろうとしていたまさにそのとき、京都産の米に付いていた青カビから、ついにのちのスタチンにつながるコンパクチンを見つけたと述べています。
偉大な研究成果は、根気強い研究の積み重ねに対する「自然からの贈りもの」であったと、先生ご自身同名のタイトルの著書で回想しておられます。この成果は、生化学のバイブルとも言われるレーニンジャー新生化学(第5版)に、日本人で唯一顔写真つきで掲載されています。ちなみに、顔写真掲載の107名中67名がノーベル賞受賞者でした。
仙台は杜の都と呼ばれる美しい自然と快適な環境に恵まれた学都です。
本学部に入学した学生諸君や地域社会の皆様にとって、この要覧が農学部・農学研究科の情報誌として、広く役立つことを望んでやみません。
(平成21年度農学研究科・農学部要覧より)
東北大学大学院農学研究科長・農学部長 工藤昭彦