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オランダ ワーゲニンゲン滞在記(横山吟司)

 この度は、研究拠点形成事業でのWageningen大学滞在の機会をいただき大変感謝しております。一年間、こちらで研究を行い、さらに農学分野で世界一(諸説あり)のWageningen大学と東北大学を繋ぐ“パイオニア”の一人となるべく、緊張感をもって留学生活を送りたいと思います。


 まずは自己紹介と、なぜ今ここにいるのかを綴ります。私はエピジェネティクスという学問に惹かれ分子生物学分野に入りました。生命現象の根幹を担っているメカニズムを説き明かすロマンに惹かれたからです。そして研究室のボスである原田先生に海外で研究してみたいとお願いしたところ、Wageningen大学との共同研究に参画し、一年間この地で研究させていただくことになりました。本当にありがとうございます。私が今行っている 研究は、魚を用いた生得的免疫の免疫記憶のメカニズムの解明です。したがって今は免疫学の研究室であるCell Biology & Immunology Groupに滞在しています。この研究室のボスであるDr. Geert Wiegertjes(以下、Geert)がエピジェネティクスに大変興味を持ち、我々の研究を取り入れようということで共同研究が開始されました。Geertに常々言われていることは、お前は免疫学の専門家にならなくていいから、俺たちにエピジェネティクスを教えてくれ、です。荷が重いと感じることもありますが、ベストを尽くすつもりです。

草原で記念撮影(オランダはとにかく平らで草原が多い)


研究環境

 こちらのシステムは日本と違い、Drコースの学生とポスドクがスーパーバイザーとなって修士の学生を指導し、スーパーバイザーの論文のためにFigを提供します。半年それを続けて修論となります。また、ヨーロッパではインターンシップが修士や学部のプログラムの中に組み込まれていて、半年間は企業または大学で働きます。インターンシップとして大学で働く場合もまたスーパーバイザーの下につきます。私は最初交換留学で来るつもりだったのですが、諸事情によりインターンシップとして滞在しています(給料は出ません)。日本では全部の実験を自分でやらなければならないところ、こちらでは作業を分担するため、ドクターの学生やポスドクの荷が比較的軽くみんな早く帰れます(研究室によるとは思いますが、、、)。いつも彼らに言われることは、「Ginji、あんまり長く働くなよ、夜は楽しめ。」です。特に私のスーパーバイザーのイタリア人ポスドクのDaniloには、いつも「土日は働くな‼」と言われています。彼は非常に陽気な人で、スカッシュを教えてくれたり、多くのイタリア人の友人を紹介してくれます。彼無しの生活は考えられません!


スーパーバイザーのDanilo。今はZodiacという小さな建物にいます


オランダの(食)生活

 私のオランダ生活を紹介させていただきます。オランダ料理はフランス料理やイタリア料理のように派手さはなく、非常に家庭的なものです。諸説ありますが、オランダ人はあまり外食をせず家でご飯を食べる習慣が強いからだそうです。そして、冬になると(summer timeが終わると)erwten soupという豆を煮詰めてつくるスープを家で食べるそうです(下図)。このスープ自体は美味しいのですが、これを前面に押し出してオランダ料理屋を開いてもあまり集客できないということもあり、オランダに来てもオランダ料理屋を見つけることはできません。そしてこのスープはカフェでたまに提供されています。
 また、オランダにはたくさんのビールがあります。隣接してベルギーがあるので簡単にビールを仕入れられるのと、オランダでも多くの種類のビールを生産しているため、スーパー、酒屋には非常に多くのビールがあり留学期間中に全部飲めるのか不安でたまりません。特にオランダで生産されるHeinekenビールは非常に安く、スーパーでは330mlのボトルで1ダース9ユーロ(約1170円)で売っています。またビールの種類も豊富ですが、ビールグラスにも特徴があり、ビール一種類ごとにあったグラスがあるらしく、外で飲むのは楽しいです。例えば下図の特徴的なグラスのビールはKWAKとよばれるビールで、木のとってがついており、口が大きく空いているのが特徴です。一説にはがぶ飲みできるようにこのような作りになっていると言われています。ただ、非常に高級なビールです。


偶然出会って飲んで以来、宮下先生には大変お世話になりました。


オランダの日本食事情

 私が個人的に食について興味がありますので、さらにこちらの日本食事情について続けさせていただきます。私は日本でほぼ米と麺を主食としていたため、これらがない生活のためにホームシックになりました。最初は毎朝昼晩とパンを食べていましたが、だんだんと米を食べたい欲望に駆られていきました。まずスーパーで寿司を見かけたので食べてみたところ芯が残っていて、今まで食べた米の中で一番まずかったです。そして、おにぎりは一個なんと3ユーロ(約390円)。高すぎるので未だ手をつけられずにいます。また、アジアスーパーで見かけたMISAKOという日本っぽい米を鍋で炊いてみました。洗剤のような味がしました。また、私の家にある電熱線コンロは壊れていて温度調節ができず常に強火であるため、米を炊くのにも大変苦労しました。これではQOLが下がると思い相談したところ、雑貨屋で15ユーロで炊飯器が売っているという情報を仕入れ、購入し、ようやくまともな米が食べれるようになりました。ただ、こちらの炊飯器は下図のようなもので日本の炊飯器には到底及びません。また、この怪しいSUSHI RICEを500g3ユーロほどで買ったところ、なかなかいい味で、今はこれを常備しています。
 また、オランダのラーメン屋を検索したところ、アムステルダムに10店舗ほどあることがわかり、今ではアムステルダムに行くたびにラーメンを食べています。値段は11ユーロから16ユーロの間の値段で日本の二倍、三倍します。味はさすがに日本には負けますが、まあまあといった感じです。ただ、オランダで初めてラーメンを食べた時には感動しました。特筆すべきは二郎系が一応ありました(にんにくは聞かれませんでした)。日本人が経営する日本食屋で寿司以外の日本食を提供していて、ラーメンについても研究しているようです。他にも家系、博多、札幌味噌など多くのラーメンを提供しているようです。隣の図は別のラーメン屋でとんこつ醤油ラーメンと唐揚げを食べた時のもので、両方とも満足のいく味でした。アムテルダム駅から一番近いRAMENYAという名前のラーメン屋で名前は怪しいですが、オススメの店です。


最後に

 こちらの研究環境について前述しましたが、日本とはかなり違います。しかし、こちらの研究室はどこの国からの学生でも受け入れる体制が整っています。実際、私のオランダで出来た友達も数人はインターンシップです。そのため、学部や修士の東北大の学生でも、短期、長期にかかわらず、海外の研究室にインターンとして滞在することが可能であると思います。モチベーションを綴ったメールを滞在希望先に送ると、たまに教授からメールが返ってくるらしいです。自分でやってみたい研究を選ぶ事もできます。私は自分が留学するまでは、留学というのは、交換留学で行くものだという固定概念に囚われていました。しかし、実際来てみると正規留学で Wageningen大学に入った日本人もたくさんいますし、インターンもいます。方法はいろいろあります。少しでも興味があったらぜひ考えてみてください。ただし、英語の猛勉強をすることをお勧めします。私は今、英語が聞き取れなくて大変困っていていますが、猛勉強で乗り切りたいと思います。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

横山吟司
東北大学大学院農学研究科修士1年
分子生物学分野
  • 日本学術振興会
  • 研究拠点形成事業
  • 東北大学
  • 東北大学大学院 農学研究科
  • 食と農免疫国際教育研究センター