2000年度の園芸学会東北支部大会は,8月23日,24日に岩手県農業研究センターにて行われました.23日に第20回大会記念講演およびシンポジウム,24日に研究発表(発表課題数:果樹26,野菜12,花卉・利用9)が行われました.本研究室では,出口が果樹部会,西山と小又が野菜部会で研究発表しました.ここでは,シンポジウムのプログラムと研究発表の一部を紹介します. |
記念講演:園芸学会東北支部の発足時の思い出と今後への期待
斉藤 隆 氏(東京農業大学教授)
シンポジウム
テーマ:21世紀における東北の園芸の役割
パネリスト
アブラナ科野菜の総合防除の可能性 −病害防除を例として−
對馬誠也氏(農業環境技術研究所)
果樹・野菜の糖代謝酵素遺伝子とその利用
金山喜則氏(東北大学農学部)
分子生物学的手法を用いた花き品種の多様化
山村三郎氏(岩手県生物工学研究所)
リンゴ栽培における高品質省力化果実生産の展望
増田哲男氏(果樹試験場リンゴ支場)
リンゴ,ニホンナシ,モモの成葉からS6PDHcDNAを単離し,発現解析を行った.リンゴ,ニホンナシ,モモの成葉から RT-PCR で単離された cDNA の塩基配列は,リンゴ子葉 cDNA の塩基配列と比較して,それぞれ100%,98%,80%の相同性があった.ノーザン解析では,いずれも未熟葉で発現はほとんど見られなかったが,成熟葉で強い発現が得られた.しかし,リンゴとモモに関しては,必ずしもソース特異的に発現するとは限らないことも示された.
課題番号31 トマト花芽形成突然変異体lfiを利用した花芽形成機構に関する研究トマトの突然変異体 leafy inflorescence (lfi)を供試して,性質を理解するとともに,花芽分裂組織決定遺伝子のホモログを単離し,lfi での発現を検討することで,トマトの花芽形成機構に関する知見を得ようとした.lfi では花序上に茎頂分裂組織を連続的に分化し続けて花芽を形成せず,また,第1花序着生までの節数は野生型より約1節増加した.得られた LELFY 遺伝子は,LEAFY とアミノ酸レベルで90%の相同性を持っていたが,機能は異なる可能性が考えられた.
課題番号34 Day-neutral型イチゴ‘Hecker’の花芽形成が停止した株に及ぼす温度と日長の影響Day-neutral型品種の‘Hecker’を供試して,前報と同様の処理を行った.その結果,‘Hecker’でも,30/25℃・8時間日長で前処理を行うと花芽形成が停止した.また,花芽形成が停止した株に温度・日長処理を行うと,20/15℃では日長に関わらず花芽形成が再開したのに対し,30/25℃では長日でのみ花芽形成が再開した.この結果は‘サマーベリー’と同様であったが,対照品種の‘サマーベリー’より‘Hecker’で開花が早く,品種間差異が認められた.