園芸学会東北支部平成9年度大会の報告


 1997年度の園芸学会東北支部大会は,8月20日,21日に,秋田県秋田市文化会館にて行われました.20日には「東北地域における園芸品種を考える」というテーマで公開シンポジウムが開かれ,21日には研究発表が行われました.研究発表会では,果樹部会で26課題,野菜・花き部会で11課題について論議されました.本研究室では助教授の金山が果樹部会で,学生の西山と清野が野菜・花き部会で発表しました.ここでは,野菜・花き部会で発表された課題の一部について紹介します.

 右の写真は学会初発表の清野君の勇姿です.口にポインタを当ててあげましょう.

トマト主茎内の維管束走向は葉の配列に対応して…


課題番号27 温度と日長処理された四季成り性イチゴ‘サマーベリー’の生育に及ぼす苗齢の影響
西山ら(東北大学農学部)

 四季成り性イチゴ‘サマーベリー’の一年生苗と二年生苗に温度と日長を組み合わせた処理を行い,苗齢によって成長に差があるかどうかを調査し,高温・短日条件下における花房発達の抑制に苗齢は影響を及ぼさないこと,高温・長日条件下における栄養成長は一年生苗より二年生苗で旺盛であることを明らかにした.



課題番号29 イチョウイモの花序と新芋の発達に及ぼす地温,日長及び種芋重の影響
吉田・金浜(秋田農業短大・東北大学農学部)

 イチョウイモの新芋の肥大は,種芋の重さに関わらず,地温が35℃では光合成産物が地上部の生育に利用されるため肥大が小さく,地温が25℃の場合に最適であることと,新芋の肥大開始は8時間日長で早いものの,新芋重はソースの発達がよい24時間日長で大きくなることを明らかにした.



課題番号30 トマトの花房内における光合成産物の転流経路
清野ら(東北大学農学部)

 トマトの葉から果実への光合成産物の転流経路について維管束単位で調査し,花序軸内の放射活性比はラジオアイソトープを施与した葉の中央から花序軸に走向している維管束で高くなることを明らかにし,花房には仮軸の背軸側だけでなく,向軸側にも維管束が走向していることを推察した.



課題番号34 小瀬菜ダイコン,仙台芭蕉菜,鬼首菜の播種期と収穫期が品質に及ぼす影響
高橋ら(宮城県農業短大)

 宮城県在来の小瀬菜ダイコン,仙台芭蕉菜,鬼首菜の生育や含有成分に及ぼす播種期と収穫期の影響について検討した.品質は,小瀬菜ダイコンは8月下旬に播種し55日後に収穫または9月上旬に播種し60日に収穫したときに良く,仙台芭蕉菜は9月上旬に播種し60日から65日後収穫で良く,鬼首菜は8月下旬に播種し60日後収穫,9月上旬に播種し65日後収穫,9月中旬に播種し75日後に収穫すると良いと推測した.


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