東北大学 大学院生命科学研究科

 生 命 素 子 機 能 分 野 Laboratory of Functional Biomolecules

祖先型タンパク質による機能・進化の解明

祖先を知る:タンパク質の分子進化を模して新しい機能をもたせることができるか?  魚類マアナゴの体表粘液に含まれている2種の糖鎖認識タンパク質,レクチンCongerin I (Con1) とCongerin II (Con2) は、外敵からアナゴの身を守る働きがある。これらはガレクチンと呼ばれるレクチンであり、病原菌などが持つ糖鎖に結合し、それら病原菌を凝集することによって身を守っている。 私たちの研究室では、この2つのタンパク質の機能および構造を解析し、これらが加速的な進化によって構造安定性や糖結合特異性の変化などがもたらされていることを明らかにした(図a)。これらCon1およびCon2の祖先配列を系統樹からもとめ、調製した祖先型変異体(Con-anc, Con-anc’)の機能および立体構造解析により、Con1およびCon2がどのように進化してきたのかを明らかにした(図b,c)。 また、Con2を進化工学的手法によって耐熱化をおこない、Con1の耐熱性に近い変異タンパク質を作成し、Con1の持つ耐熱化構造要素を解析することに成功した。Con1のもつ構造安定性に関わるアミノ酸残基へと置換していたことから、Con2の試験管内での進化により実際の進化を再現することに成功した。

【参考文献など】

Shirai et al., Structure 7, 1223–1233 (1999)

Shionyu et al., J. Mol. Biol., 347(2), 385-397 (2005).

Konno et al., Mol. Biol. Evol., 24 (11), 2504-2514 (2007).

Konno et al., BMC Evol. Biol., 10, 43 (2010)

Konno et al., Structure, 19, 711-721 (2011)

Watanabe et al., J.Biol.Chem. 287, 31061-31072 (2012).

小川ら,生物物理, 46(4), 201-208 (2006).

Ogawa, Mol. Div., 10(4), 511-514 (2006).

a) 図 マアナゴガレクチンCongerin Iと II および祖先型変異体 Con-ancの立体構造と機能進化

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東北大学大学院生命科学研究科分子生命科学専攻

生命有機情報科学講座 生命素子機能分野

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