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研究科長・学部長挨拶

東北大学大学院農学研究科長・農学部長 駒井 三千夫

 「人類の食料と健康を守り、環境問題にも取り組む」

 大震災の津波被害と放射能汚染被害等は甚大であり、より早い復興が望まれております。こうした中で、当農学研究科・農学部の復興への貢献はより一層大事になって参りました。現在も当研究科では、「東北マリンサイエンス拠点形成事業」と「食・農・村の復興支援プロジェクト」等を実施中であり、学内外で高く評価されているところです。東北大学としても、復興支援に対する当研究科の取り組みが一層必要であるとされていますので、新たに具体的な知恵を出して貢献していく所存です。
 具体的な貢献は引き続き重要でありますが、これまで長年行ってきた当研究科の教育・研究の実績を駆使した基本的な取り組みも大切です。すなわち、従来から行ってきた食料・健康・環境に関する研究からの基盤的な貢献です。すなわち、震災復興のみならず、地球規模を念頭に入れた社会的な貢献です。今回の震災では、日本からの漂流物がカナダや米国の西海岸に着き、今更ながら地球は意外に小さいことを教えてくれました。また、毎年日本海側に隣国の廃棄物なども多数漂着していますし、今は中国の大気汚染物質の粒子が日本の空を飛んでいます。また、環境破壊によると思われる集中豪雨・洪水や干ばつや大型の嵐等の両極端な気候も、世界各地で起きています。昨年、米国の大豆・トウモロコシなどが干ばつで収穫量が極端に少なくなり、我々の生活への影響が大きいものがありました。このような問題に対応していくのが農学の役割だと考えております。地球の環境を守り、迫り来る世界の食料問題に対応し、もう一つは安心・安全な食品の提供や、食品の食べ方の提案に貢献するアカデミアとしての役割です。安全な農畜水産物を利用しておいしく食べることが健康に結びつき、人類の幸福を守っていくことにつながります。これが農学研究科・農学部に与えられている使命の一つだと思っております。
 東北大学・大学院農学研究科は、2003年に大学院大学として整備され、「資源生物科学専攻」、「応用生命科学専攻」、「生物産業創成科学専攻」の3専攻で構成されています。また、 同じ年に附属農場と附属海洋生物資源教育研究センターを統合して「附属複合生態フィールド教育研究センター」に改組されました。さらに、2009年には、「附属先端農学研究センター」を設置し、挑戦的・戦略的な教育研究拠点として活動を開始しました。本学の目標である世界リーディング・ユニバーシティへの道を、食料基地として一目を置かれている東北地域の特色を活かしつつ農学領域の立場から進めていく教育研究活動を展開しております。私どもは、農学を「人類の生存基盤である食料・健康・環境問題に取り組む生物産業科学」と位置づけ、基盤的教育研究・創造的教育研究・挑戦的教育研究を推進していくことを目標としています。大学院では、食料・健康・環境に関わる高度な専門知識と学識を備え、新しい生物産業の創成を国際的な視野で先導的に推進できる人材の養成を目指しています。また学部では、これらの諸問題解決に貢献できる指導的・中核的人材を養成することを目標に掲げています。
 東北大学農学部は、東北帝国大学農科大学として発足した1907年にまで遡ることができます。1918年に北海道帝国大学に分離後、1947年に、食料増産という当時の社会的要請もあって、東大・北大・九大・京大に次ぐ全国第5番目の農学部として開設されました。以来、研究第一主義と門戸開放を掲げる東北大学と歩みをともにしてきました。学部の構成は、「生物生産科学科」と「応用生物化学科」の2学科が6学系で構成されており、分子・遺伝子レベルからフィールドおよび社会科学までの幅広い研究と教育が行われています。6学系の構成は「植物生命科学系」、「資源環境経済学系」、「応用動物科学系」、「海洋生物科学系」、「生物化学系」、「生命化学系」であります。東北大学は大学院大学のため、学部卒業後には大学院に進学する人が8割がた居りますが、4年間で卒業するまでには自分なりの知識や技術を体得して、これを自分の財産にすることができます。当学部出身者は、企業でも大学関係でも評判が良いです。実験系では3年次に毎日午後にフルで実験時間帯があり、幅広い研究トレーニングを行っています。これが良い研究者を育てている下地だとも言われています。米国医学会最高のラスカー賞を受賞された遠藤章先生も卒業生の一人です。若い年齢層の卒業生も国内外で活躍中です。
 以上ご紹介しましたように、東北大学・大学院農学研究科と農学部は、人類の平和的な生存と繁栄に貢献していく教育・研究機関であります。昨今、当研究科・学部の重要性が、益々増してまいりました。私どもの組織の重要性が広く認識されるよう、さらに一層の努力をしていく所存でございますので、益々のご支援をお願い致しましてご挨拶に代えさせていただきます。

 

農学研究科長・農学部長 駒井 三千夫

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