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2017/10/25

食品油脂の酸化原因を明らかにできる新たな手法を開発

食品に含まれる脂質(油脂)は、高温や日光などの原因で酸化され、食味や栄養素の低下、着色、不快臭へとつながります。したがって、食品油脂の酸化原因を特定し、油脂の酸化をコントロールすることが望まれています。油脂の主成分であるトリアシルグリセロール(TG)は酸化により、その原因に応じて様々な過酸化脂質(トリアシルグリセロールヒドロペルオキシド(TGOOH)の異性体)へと変換されることが知られております。油脂中のTGOOH異性体を詳細に解析することで、酸化原因の特定につながると期待されておりますが、実際には、後述するようにTGOOH異性体の構造は複雑で、詳細な解析は達成されていませんでした。こうした中で、機能分子解析学分野の仲川清隆教授らのグループは、株式会社J-オイルミルズおよび東海大学医学部と共同で、油脂の酸化原因を明らかにできる新たな2種類の方法を開発しました。

TGはグリセロール骨格と3つの脂肪酸から構成され、始めにいずれか1つの脂肪酸が酸化されることでTGOOHとなります。さらに、この酸化される脂肪酸には、酸素が結合できる部位(酸化部位)がいくつかあるため、種々のTGOOH異性体が生じます。したがって、構成している脂肪酸の種類と酸素の結合部位を明らかにすることで、酸化原因の特定につながると考えられます。これを可能にしたのが1つ目の方法であり、トリプル四重極型質量分析計のMS/MSおよびMS/MS/MS解析を用いて、高い選択性と定量性でTGOOH異性体の解析を実現しました。もう1つの方法はTG分解酵素(リパーゼ)を用いて、TGOOHを脂肪酸レベルに分解し、分解物である脂肪酸ヒドロペルオキシドを解析するという汎用性を重視させた方法になります。これらの手法によって、食品油脂の酸化原因を明らかにすることができ、故に効果的に酸化をコントロールできる手法を選択できるようになり、食品の品質維持と向上へ貢献できると期待されます。また、本法は、生体に存在する脂質の酸化評価にも有効であり、生体脂質酸化の酸化原因の究明は、生体老化や疾病の発症機序の解明に役立つと考えられます。

本研究成果は、2017年8月9日に自然科学・臨床科学領域を対象とする学際的電子ジャーナル:Scientific Reports(オープンアクセス、8月30日掲載)に、2017年8月21日に食品分野における初めてのNature関連誌:npj Science of Food(オープンアクセス、年内に掲載予定)にそれぞれ受理されました。

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