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2017/12/01

栄養学分野の駒井三千夫教授が、平成29年度「日本ビタミン学会 学会賞」を受賞(2017年6月9日、横浜市)
「ビタミンKの新規機能の解明に関する研究」

日本ビタミン学会学会賞は、我が国におけるビタミン学の進歩・発展に功績のあった研究者に対して毎年授与されます。駒井教授の受賞は、各組織内に存在するビタミンK2(メナキノン-4 (MK-4))には、凝固因子等のGlaタンパク質を完成させる機能以外にも, 各種の重要な機能があることを証明してきたことが評価されたものです。すなわち、①無菌動物(マウス・ラット)を用いた研究から, 各臓器内に腸内細菌叢由来ではないMK-4が存在している事を明らかにして, これが各組織内に存在する内因性酵素によるビタミンK(ビタミンK1またはK2 (MK-n))からの変換生成物であることを初めて提唱したことと、白川准教授とともに②MK-4 の抗炎症作用機構をin vitro 及びin vivoに証明したこと(IKKα/βのリン酸化を抑制してNF-κBの活性化を阻害することによって炎症性サイトカインの発現を抑制=炎症を抑制)、③MK-4のテストステロン(抗老化ホルモンともいわれている)生合成促進作用について、in vivo及びin vitroに証明したこと(MK-4はcAMP濃度の上昇を介したPKAの活性化を行って、この機能を発揮)、等の業績です。

 納豆に含まれるメナキノン-7(MK-7=ビタミンK2の1種)や緑色植物のビタミンK1(フィロキノン)を摂取してもその一部が体内の各組織でMK-4に酵素変換されますので、その生理的意義の一部が解明されたものです。ビタミンK類は全て「ナフトキノン*」骨格をもつため、摂取したこの骨格を材料に体内でMK-4が変換生成する訳です。MK-4がホ乳類の電子伝達系にあるユビキノンと類似している物質であることも興味が持たれます(細菌類では嫌気度の状態によってユビキノンとメナキノンを使い分けている例がある)。MK-4は、各組織・細胞内においてさらに重要な役割を担っているものと推察されます。今後のさらなる研究の発展が期待されます。(*東北大学女性入学第一号の黒田チカ博士も「ナフトキノン」の研究者であったことが、大学100周年の印刷物に記載されておりました。キノン化合物には未知の研究領域があり、これからも興味ある解明が続くと思われます。)

 

(発表論文)

1) Ohsaki Y, Shirakawa H, Miura A, Giriwono PE, Sato S, Ohashi A, Iribe M, Goto T, and Komai M: Vitamin K suppresses the lipopolysaccharide-induced expression of inflammatory cytokines in cultured macrophage-like cells via the inhibition of the activation of nuclear factor B through the repression of IKKα/β phosphorylation. J. Nutr. Biochem., 21, 1120-1126, 2010.

2) Ohsaki Y, Shirakawa H, Hiwatashi K, Furukawa Y, Mizutani T, and Komai M: Vitamin K suppresses lipopolysaccharide-induced inflammation in the rat. Biosci. Biotechnol. Biochem., 70, 926-932, 2006.

3) Takumi N., Shirakawa H., Ohsaki Y., Ito A., Watanabe T., Giriwono P.E., Sato T., and Komai M.: Dietary vitamin K alleviates the reduction in testosterone production induced by lipopolysaccharide administration in rat testis. Food & Function, 2, 406-411, 2011.

4) Ito A, Shirakawa H, Takumi N, Minegishi Y, Ohashi A, Howlader ZH, Ohsaki Y, Sato T, Goto T, and Komai M: Menaquinone-4 enhances testosterone production in rats and testis-derived tumor cells. Lipids in Health and Disease, 10, 158-166, 2011.

5) Shirakawa H, Ohsaki Y, Minegishi Y, Takumi N, Ohinata K, Furukawa Y, Mizutani T, and Komai M: Vitamin K deficiency reduces testosterone production in the testis through down-regulation of the Cyp11a, a cholesterol side chain cleavage enzyme in rats. BBA (General Subjects), 1760, 1482-1488, 2006.

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