研究ハイライト&トピックス

2017/01/04

脂ののった肉や魚は海藻と一緒に召し上がれ!

写真:内田教授

内田 隆史 教授

(分子酵素学分野)

専門

分子細胞生物学

分子酵素学分野紹介ページ

健康長寿を実現するためには、バランスのとれた食事と適度な運動など生活習慣が重要です。美味しいものは食べたいけど、太りたくないというのは多くの人が思うことです。肥満は、糖尿病や循環器疾患のような多くの重大な病気の原因になることから、国民の関心は高く、色々な肥満予防「健康飲料」やサプリメントなどが販売されています。

東北大学大学院農学研究科((兼)東北復興農学センター)の内田隆史教授らは、海女さんに高齢でも元気な人が多いことや、岩手の釜石にはかつて日本最高齢116歳の中村重兵衛氏がいらっしゃったことから、海産物には健康長寿に役立つものがあるのではないかと考えて研究を行ってきました。今回、内田隆史教授と鈴木充子院生らは昆布やワカメなどの褐藻類の抽出物を餌に加えるとマウスは太りにくくなることを明らかにするとともに、そのユニークな分子機構を解明しました。高脂肪の餌を食べさせたマウスは脂肪が増加し肥満体型になりますが、高脂肪の餌と一緒に海藻の抽出物を与えると、普通食を食べさせたマウスと同程度まで体重や体脂肪の増加も抑えられました。この現象は、海藻に含まれるポリフェノールが、間葉系幹細胞、すなわち、脂肪細胞の前駆細胞のプロリン異性化酵素を阻害し、幹細胞が「脂肪細胞」に分化することを抑制したために、細胞に取り込まれる脂肪量が減少した為に起こったということを解明しました。褐藻類の抽出物を高脂肪の餌と一緒に摂取させることで、中性脂肪やコレステロールなどの「血液検査」の値も普通の食事を与えられたマウスの値とほぼ同じ程度になりました。体重も、脂肪量も、血液検査の値も、健康なマウスと同じで、それよりも低過ぎず、高からずという適度な値であり、褐藻類の抽出物は安全であり、マウスは健康であることを示していました。

本研究により、脂ののった魚や肉などの「ご馳走」を食べる時には、積極的に海藻を食べることで肥満を防止でき、生活習慣病の予防にもつながることが期待できることが明らかになりました。

本研究は、科研費基盤A、及び農林水産業・食品産業科学技術研究推進事業委託事業の援助を得て行われました。本研究は、米国オンライン科学誌プロス ワンに2016年12月30日に掲載されました。

Suzuki A, Saeki T, Ikuji H, Uchida C, Uchida T (2016) Brown Algae polyphenol, a prolyl isomerase Pin1 inhibitor, prevents obesity by inhibiting the differentiation of stem cells into adipocytes.*/Plos One/*11(12): e0168830.

 

研究説明資料

ページの上部へ戻る