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 生物活性天然有機化合物を介して、生体が情報伝達する際に引き起こされる分子認識機構と活性発現の分子機構を解明することは生命科学における重要な研究課題である。現在、遺伝子からのアプローチに片寄りがちな生命科学研究の領域において、遺伝子とは対極に位置する天然有機分子からの研究は、分子生物学的方法論の適用が困難であるものの、原子レベルでの構造・反応・動的挙動を厳密に議論できる点を最大の特徴とする。我々の研究室では、受容体やイオンチャネルなどの細胞情報伝達系に強力かつ特異的に作用する天然有機化合物を研究対象として、精密有機合成化学を基盤とした実用的かつ高効率的な化学合成、そのための方法論と合成戦略の開発、および立体構造解析を通して新規機能分子プローブ(天然物の機能を越える人工活性分子あるいは機能制御分子など)の創製を目指して研究を行っている。さらに、生物活性の分子機構解明ならびに受容体タンパク質の機能解明などへの分子プローブの応用を目指して研究を進める。

研究テーマ一覧:2003年度大学院学生

(1)高次構造生物活性天然物の実践的化学合成

 分子レベルでの生命現象の研究を支えるためには生物活性天然物および関連化合物の精密化学合成が重要な役割を果たす。複雑な構造を有し顕著で重要な生物活性を示すものの、天然源から十分量を入手することが難しい生物活性天然物の精密化学合成と、そのために必要な方法論と合成戦略の開発を行う。具体的には、海産ポリ環状エーテル系天然物、興奮性神経毒アミノ酸ダイシハーベイン類をはじめとする生物活性天然物の実用的かつ高効率的な精密合成法を確立する。

(2)ポリ環状エーテル系化合物の精密構造認識機構の解明

 イオンチャネルに強力かつ特異的に作用する海産毒シガトキシンをはじめとするポリエーテル系天然物は極めて複雑な巨大分子構造と非常に強力かつ多様な生物活性を示すことから注目さているが、活性発現機構に関してほとんど手つかずの状態である。ポリエーテル系天然物および類縁体の精密化学合成による構造活性相関を通して、多様な生物活性発現に必要な構造特性を明らかにし、その構造を展開して新規活性分子プローブの設計・合成を行う。さらに、分子プローブを用いた受容体タンパク質による精密分子認識、活性発現の分子機構解明へと研究を展開する。

(3)興奮性神経毒アミノ酸の生物有機科学的研究

 興奮性神経伝達に関する基本的な神経機能は、シナプス部位にあるグルタミン酸受容体とグルタミン酸との結合を介して発現する。また、記憶や学習などの高次神経機能の形成あるいは脳・神経疾患との関連からも、その受容機構解明は生命科学の重要課題である。新規興奮性アミノ酸ダイシハーベイン類はグルタミン酸受容体に強力かつこれまでにないサブタイプ選択的に作用することから注目されている。すでに全合成を達成しているが、グルタミン酸受容体に対する特異的な選択性に着目した構造活性相関を指向した実用的かつ柔軟性のある合成経路の確立を通して、新規グルタミン酸受容体のアゴニストあるいはアンタゴニストの分子設計・合成、グルタミン酸受容体との結合に関する分子構造認識機構の解明ならびに受容体サブタイプの機能解析へと展開する。

(4)微量生物活性天然物の立体構造解析

 生物活性天然物の精密構造解析、特に立体構造の決定は、生物活性発現の分子機構解明のために不可欠である。従来の分光学的手法だけでは立体構造解析が困難で、かつ生物機能の解析が不十分な極めて複雑な構造を有する生物活性天然物を選び、微量立体構造決定のための有機合成の実践を通して、分光学的手法と融合した実用的な方法論の開発を目指す。

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