第3回東北大学バイオサイエンスシンポジウム
- アロフェン質黒ボク土から作成したAl-腐植複合体の植物根への毒性
- 伊藤聖史・高橋 正・南條正巳、第3回東北大学バイオサイエンスシンポジウム講演要旨集、p.173(2006)
- 仙台国際センター
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中朝国境にまたがる図們江圏の地理的情報を鳥瞰映像として可視化し,現地調査により得られた情報(映像・写真)とあわせて流域映像ライブラリーを作成した。本ライブラリーを用いることにより,図們江圏の自然環境の概略を知るとともに現地調査が困難な地域の状態もある程度把握(予測)することが可能となった。(東北アジア研究センター 宮本毅氏,総合学術博物館 長瀬敏郎氏との共同研究)
火山灰土壌の生成に及ぼす気候と植生の影響を調べている.温暖湿潤気候では主に黒ボク土ができ,寒冷湿潤気候ではポドゾルができる.表層の腐植の性質は植生によって変化し,草原植生の影響を強く受けると黒色土(黒ボク土)が,森林植生下では褐色土ができる.森林の土壌が火山灰土の性質をもつか否かは土の色からは判断できず,わが国の森林土壌に占める火山灰由来土壌の割合は不明である.炭素の蓄積能力,酸性雨への緩衝能などを把握するためには,土壌母材と化学的性質を知ることが重要となる.
腐植と結合したアルミニウムはフッ素やリン酸と反応するが,それ以外では安定に存在すると考えられてきた.しかし近年の研究から,この形態のアルミニウムはpHの低下やイオン強度の変化で容易に放出されるなど,予想以上に不安定であることがわかってきた.このことは,腐植複合体のアルミニウムが毒性アルミニウムの給源になる可能性を示し,土壌改良法のヒントとなる.また,これに付随した性質を活用し,環境に調和した土壌管理の方法を検討している.
火山灰土壌のうち,アロフェン質粘土が少なく,Al-腐植複合体に富むものでは,ある種の土壌病害(インゲン根腐病など)を抑制する.これは土壌から適度にAlイオンが放出されるためであることがわかった.この性質をうまく利用することによって,減農薬栽培に結びつける研究を行っている.(秋田県立大学 古屋廣光 博士との共同研究)
火山灰からできる1:1型層状ケイ酸塩鉱物,ハロイサイトのイオン交換特性を調べている.米国カリフォルニア産のハロイサイトは植物養分として重要なカリウムイオンやアンモニウムイオンを特異的に吸着する.このようなイオン交換特性は従来の粘土鉱物学による1:1型鉱物からは説明できない.このメカニズムやこのような特性をもつハロイサイトの国内および世界的分布を研究している.(カリフォルニア大学R.Dahlgren教授との共同研究)
学部1年生向けに開講されている「現代における農と農学」での研究室紹介内容を掲載しました。講義は第1セメスターの金曜日3講時目に実施されており,高橋正助教授が新1年生に対して土壌立地学研究室を20分程度でわかりやすく紹介します。
土壌立地学研究室では,主に火山灰土や低地土を用いて土壌と植物の相互作用の研究を行っています.その内容は,窒素,リン,イオウなどの養分元素の効率的供給法,カドミウム,マンガン,アルミニウムなどの過剰害のコントロール法、有機質資材や浄水場発生土の環境保全的利用法などです.また,火山灰土壌については,土壌生成分類学的な視点からも研究を行っています.これらの研究内容について紹介します.
本ウェブサイトの上部に表示されているバナーに使われている写真は,宮城県刈田郡蔵王町円田の梨園の様子を写したものです。手前は耕起したばかりの黒ボク土畑,左手奥はスギ林,右手奥が梨園になっています。
2006-05-01 新ウェブサイト正式公開(日本語版・英語版とも)