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企画展解説 <5. 宇宙から土を調べる>

 土とその上に生育している植物とはお互いに影響しあっています。たとえば、栄養が豊富な沖積土壌は植物がよく育ちますが、養分が少ない火山放出物・未熟土壌は植物の生育がよくありません。また、生育している植物によって土が変化して、同じ火山灰からできた土でも、針葉樹が生えていると腐植が多くなったり、広葉樹だと少なくなったりします。このように、地上の植物を見ることは土をしらべる重要な手がかりになります。しかし、広い範囲の植物をしらべて歩くのは大変です。このため、飛行機や人工衛星を使って、空や宇宙から地上の様子をしらべる技術(リモートセンシング)ができました。

図4:2つのリモートセンシング衛星 図4は気象観測衛星と地球観測衛星との2つのリモートセンシング衛星を示しています。気象衛星「ひまわり」は静止衛星と呼ばれ、赤道上空35,786kmの円軌道で1日1回転することで、同じ地点の日本を観測し続けることができます。地上から衛星は、いつも同じ所にあるように見えるので静止衛星と呼ばれています。地球観測衛星は、上空300~1,500kmの円軌道、ほぼ北極点と南極点の上を通る極軌道で1日10~20回転します。地球観測衛星は北極と南極の上空を通る同じ軌道を回り続けますが地球が自転することで、世界中を観測することができます。

図5:画像データから作成した土地被覆分類図 図5は下北半島恐山周辺の画像と、その画像を土地被覆物で分類した結果です。「モノリスで土を見る」で展示している下北半島のモノリス採取箇所を表示しました。小目名沢は広葉樹林、八滝沢は針葉樹林であることがわかります。原画像では針葉樹の緑が広葉樹より濃いことがわかります。このような色の差により、それぞれの土地被覆物をわけることができます。

 日本は島国で、四方を海で囲まれているために、雨にめぐまれていますが、植物で土がおおわれるため、「宇宙から土を見る」ことは難しいです。しかし、宇宙から植物や地形をしらべることにより、土の分布状態やその性質を推定するのに役立ちます。

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