以下の文は、農学部情報処理委員会で木村がサーバーを買おうと提案した時のもので、H7年秋の情報処理委員会で提案したものです。(図は省略しました。)

幸いなことに、情報処理委員会ではサーバー導入すべしとの結論になり、当時の情報処理委員長中島佑先生のご努力のおかげで学部長の理解が得られ、導入のための予算が認められました。そして、H8年5月にメールサーバー2台が運用を開始しました。

この文章を書いた時は私自身インターネットに精通していた訳ではなく、同僚の菅野さんはじめたくさんの人に色々教えていただきました。特に、bbmsを通じて東北大学内の色々な人に知恵を授けていただきました。感謝しています。


農学部におけるインターネット利用に関する問題点 と改善の提案

  1. インターネット
  2. TAINS(テインズ)
  3. 農学部のTAINSの管理・運用の実態
  4. 望ましい農学部のTAINSの運用

1.0インターネットとは

ネットワークとネットワークを結んで大きなネットワークにしたもの。従来は閉じた環境のネットワークでのみコンピュータを利用していたが、色々なネットワークとつながることによって利用の幅が大きく広がっている。現在では、研究機関や大学はもちろん商業ネットワークとつながった巨大なネットワークになっている。

研究者にとって、インターネットはもはや必須のアイテムである。インターネット上の各種のサービス、電子メールはもちろんデータベースの入手や検索などは、もはや他では代替できないサービスである。

東北大学のネットワークTAINSは、本来は学内専用のネットワークであるが、現在はインターネットに加入しており世界中どこへもアクセスできる。すなわちTAINSに接続すること=インターネットに接続することである。

さらに、回線の利用料は東北大学のネットワーク予算から出ているので研究室での負担はゼロである。また、インターネットで公開しているサービスは無料である。

1.1 e-mail(電子メール)

コンピュータを利用したメールのやりとり。あるコンピュータ(ホスト・サーバー)に自分のIDを登録する必要がある。以前は端末からホストにloginし呪文のごときコマンドを覚えホストから使う必要があった。現在はパソコン用のメールソフトが充実しており、パソコンがTAINSにIP接続されていれば、ホストにloginすることなくボタン一つでメールを見たり送ったりできる。農学部からは、最低3万円程度あればこの形態での利用ができる。。インターネット上のどの場所にも送信可能で、大学や研究機関はもちろん商用のネットワーク(例えば、Nifty-serv、PC-VAN)もインターネットに加入しており、これらのユーザーともe-mailでやりとりできる。

e-mailは非常に便利である。時間の制約がなく相手に連絡できるし、ファックスだと文章をパソコンで打ちプリントアウトしてから送るのに対し、e-mailは文章を作成したらすぐボタン一つで送れる。外国にe-mailを送るのも無料なのが経済的。

利用としては、個人的な手紙のみならず、ある研究グループの回覧用、学会の受付け、などがある。現在では、電話やファックスと同じぐらいあるいはそれ以上に研究に必要である。

1.2 ftp

インターネット上でのデータファイルやプログラムファイルのやりとり。自分のパソコンから相手のサーバーに直接アクセスする。パソコンからボタン一つでやりとりできるソフトが公開されている。有用なプログラムがこのftpで公開されている(例えば、NIH-image)し、遺伝子の塩基配列なども公開されいる。インターネットを使うために必要なソフトもftpで公開している。これも無料。

1.3 WWW

画像や音声も入れたいわゆるマルチメディアによる情報サービス。

研究でよく使われるのは検索サービスで、核酸やアミノ酸配列のホモロジー検索、文献検索ではMEDLINE,FASTA,BLAST,SWISSPROT,東北大学図書館などが行っている。中には、蛋白のアミノ酸配列を送ると画像で蛋白の3次元構造を図にして送ってくれるところもある。

大学はもちろん、企業(就職案内を公開したところもある)や個人もこのサービス(WWWサーバー)を行っている。使っていて楽しく利用者は急増中である。

実は農学部でもWWWサーバーは動かしており、農学部の紹介を行っている。

1.4 DNS(Domain Name System)

一言でいうとインターネットの電話帳。インターネットでは接続してあるコンピュータのIPアドレス(130.34.178.2)とその名前(paddy.bios.tohoku.ac.jp)を登録することが決まりである。コンピュータが実際のデータのやり取りはIPアドレスの数字で行っているのだが、人間が覚えやすい名前を付け、その対応を書いたコンピュータを用意すれば使い易い。

この仕組みにより、全世界中のインターネット上のコンピュータはpaddy.bios.tohoku.ac.jp を 130.34.178.2として認識できるようになる。

さらに、あるマシンにアクセスしようとした時に身元確認にも使われている。すなわち、あるホスト(サーバー)に別のマシン(クライアント)からアクセスしようとした時に、サーバーはクライアントのIPアドレスから名前の問い合わせをDNSを通じて行う。DNSに登録してあればpaddy.bios.tohoku.ac.jpなる名前が答えが返り身元が判明する。これで、はじめてアクセスができる。逆にいうと、DNSに登録されないとインターネットは使えないことになる。この仕組みで不正なコンピュータからのアクセスを拒否している。


	IPアドレスと名前は階層構造をとっており、
	130.34.178.2
	   東北大学	新館 2番
	paddy   .bios   .tohoku     .ac     .jp
	名前  本館  東北大学 大学関係  日本
 なお、農学部では本館がbiochem、新館がbiosのドメイン名(あるまとまりにつけた名前)を設定している。

	「インターネットでホストへの入る手続きの説明」
	130.34.178.2,paddy.bios.tohoku.ac.jp

	my computer ------WS(DNS)--- - - - - - - - - - -WS(DNS)---------host

  1.	130.34.178.2から
 	hostにアクセスしたい。---------------------------------------------→
  2.	           ←--------------------------------------DNSに登録
	                				問い合わせ
	                  130.34.178.2は
  3.			  paddy.bios.tohoku.ac.jpです。----------------------→
  4.	       ←---------------------------------------------身元確認OK
	                 			     接続許可
  5.	hostにアクセスします。---------------------------------------------→

2.0 TAINS(テインズ)とは

1988に運用開始した東北大学のネットワークシステムをTAINSと呼んでいる。当時できたネットワークは現在はTAINS88と呼ばれている。構内に黄色いケーブルをくまなく配線してある。

1995に運用開始の高速ネットワークをSuperTAINSと呼んでいる。これはTAINS88とは別のネットワークになっている

農学部のTAINS88は:新館、本館、管理棟の3つのインハウスから構成される。研究室からはCS経由あるいはIP接続で直接接続している。なお、事務や図書のイメージメールや検索システムもこのネットワーク上にある。

農学部のSuperTAINSは現在工事中である。完成すればTPDDI接続(ケーブル、専用ボードを用意)で各研究室から利用可能となる。

2.1CS経由TAINSへの接続

TAINS88敷設当時はIP接続は非常に高価であったため、手軽に研究室からRS-232Cで利用できるようにCSが導入された。

RS-232Cケーブルを引くだけでパソコンが端末となり、大型計算機センターや情報処理教育センターを研究室から使うことができた。CSは2研究室で1台ぐらいの割合で設置され、どの研究室からでも使える。

しかし、インターネットに直接つながらないので、利用価値は下がってきた。さらに、IP接続のハードウェアがかなり安くなったのでほぼ役割は終了しつつある。

2.2IP接続TAINSへの接続

直接TAINSに接続、高速かつ相手のコンピュータを直接にフルに利用できる。これでインターネットに自分のパソコンがつながる。タップトランシーバー、ケーブル、イーサネットボード(一部ではパソコンに標準装備)を用意する。

これで、インターネットを利用する必要な環境はそろう。

東北大学では、2500台のコンピュータがこのIP接続である。

農学部でのIP接続は今年になって急激に増加し、現在は96台である。現在、25講座で接続しており農学部の7割の講座で利用している

	[農学部でのIP接続のコンピュータの数]
		新館:H5.1-2	H6.1-2	H7.1-8	H7.11.-54
		本館:H5.1-0	H6.1-2	H7.1-8	H7.11.-38
		管理:H5.1-0	H6.1-0	H7.1-0	H7.11.-4
	---------------------------------------------------
		全体:H5.1-2	H6.1-4	H7.1-16	H7.11.-96
[農学部でのIP接続のコンピュータがある講座]
(新館)
応用動物遺伝、土壌立地、生物海洋、動物微生物、作物、植物育種、農業計量経済、動物栄養生化学、動物生理科学、動物生殖科学、動物資源化学、資源経営経済、園芸、動物生体分子工学、環境植物工学
(本館)
応用微生物学、食品機能、酵素化学、分子生物、細胞生化学、生理活性学、遺伝子、昆虫学、栄養学、生物制御化学、
(管理棟)
用度掛、生協、図書、学部長室

2.3 SuperTAINSへの接続

今年4月に各建物への接続口の工事が行われた。11月になって、各階までケーブルが来ている。接続のためのハードウェアが20万円以上かかり、一般的ではない。詳しくはSuperTAINSニュースを参照。農学部では接続なし。

3.0 問題の整理

3.1ハードウェアの問題点

 「DNSサービスを行う公式なWSがない」につきる。現在の個人所有のWSでのサービスは利用者が少ない時は仕方がないと思われるが、現在のように7割の講座と100台近いコンピュータが接続された状況では、部局として公式なWSを持ち運営すべきである。
 しかも、登録人数が増えまたこれからも増えることが予想される状況では、ある程度の性能をもったWSとそのバックアップシステムが必要となる。

3.2 管理・運用の問題点

 「TAINSに関する正式な委員会がない」である。今までは、以下のメンバーを中心に非公式に相談していた。
稲元(元TAINS運用担当者)
菅野(TAINS運用担当者、生物系のサーバーmidoriのオーナー)
八巻(情報処理委員)
木村(情報処理委員、元SuperTAINS小委員会委員)
須山(東北大学TAINS運営委員会)
丸山(化学系のサーバーshibutuのオーナー)
これからは、正式な機関を設ける必要がある。

4. 望ましい農学部のTAINSの運用

4.1 ハードウェアの提案

農学部に最低限必要なDNSのためにWSを4台導入しDNSを安定的な24時間365日体制で稼動する。新館、本館2台づつとしそれぞれbios,biochemのドメインを管理する。また、このWSを利用しメールサーバーとする。

4.2 管理・運用方法の提案

  1. TAINSに関するWG(WorkingGroup)を情報処理委員会に設ける。
    情報処理委員がTAINSに詳しいとは限らないので、詳しい人を中心にWGを設け議論を行う。なお、WGには情報処理委員から最低1名をいれる。最終的には情報処理委員会が決定する。
  2. WSの管理・運用について
    新館、本館それぞれに職員の運用管理者を置き、WSへの新規登録、システムのチェック、バックアップなどを行う。
    WSへの登録できるものは農学部構成員とし、必要な書類を提出する。なお、学生は職員の承認・保証を得たもののみが登録できる。

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