トップページ > 雄勝湾調査報告会開催報告

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平成28年8月8日に宮城県漁業協同組合雄勝湾支所において現地調査報告会を開催しました。

 東北マリンサイエンス拠点形成事業では、平成23年3月11日の津波の影響で壊滅的な被害を受けた水産養殖業の復興を科学的な側面から支 援するために、宮城県漁業協同組合雄勝湾支所に協力をいただき、雄勝湾の環境調査や養殖ホタテガイの成育調査を継続的に行ってきました。この 現地調査報告会は、養殖漁場の環境収容力に基づいた適正な養殖量と養殖形態の提言を図るために、開催されました。今回で3回目になる報告会に は、 運営委員長、支所長はじめ地元の若手青年部も含めた地元ホタテガイ養殖漁業者15名ほどが参加しました。

 今回は、日本水産学会誌に掲載された「東日本大震災後の宮城県雄勝湾における垂下式養殖ホタテガイの推進による成育の違いと生産性の評 価*」の内容に平成27年度の成果を加えて報告を行いました。雄勝湾の海洋環境において、ホタテガイの餌となる植物プランクトンの量が水深に よって異なること、「収容数 の増加」と「下層部の良好な成長」がトレードオフの関係にあり、震災後増加し続ける収容数の増加に対して近年の 下層部における餌料をめぐる競争が深刻化しつつある傾向であることを報告しました。それによって平成25年度以降生産量が停滞し生産性も低下 していることを報告し、この生産性低下への対応策の提言がなされました。また、今年度導入する観測ブイの仕様を説明し、観測データの共有と維 持管理の協力を依頼しました。

 地元漁業者からは、提言された養殖手法の効果への理解が得られた一方、新たな課題として、ホヤ養殖の参入の影響や近隣の宅地工事による湾 内への赤土の流入がホタテガイの餌となる植物プランクトンへおよぼす影響などが挙げられ、活発な意見交換がなされました。


報告課題「持続的で効率的なホタテガイ養殖における適正密度」
開催日時:平成28年8月8日(水)14:30~16:00
開催場所:宮城県漁業協同組合雄勝湾支所 2階会議室

引用*:長澤一衛、高橋大介、伊藤直樹、高橋計介、尾定誠、「東日本大震災後の宮城県雄勝湾における垂下式養殖ホ タテガイの水深による育成の違いと生産性の評価」
日本水産学会誌82(3)、321-329、2016