トピックス・活動報告

(2014/08/08)東北大学菜の花プロジェクト現地体験報告会 開催のご案内(9月13日)

詳細は以下のページをご覧ください。

http://nanohana-tohoku.com/newpage1.html

(2014/01/27)菜の花生育状況のお知らせ(1月22日)

2014年1月22日、雪が上がり晴れ渡った空の下、川渡河川敷公園(大崎市)に行ってきました。

13年9月28日に、菜の花プロジェクトのメンバーと川渡温泉の方々、東京や神奈川から来て下さった
サムスングループの約100名のボランティアの方々が一緒に、石拾いなど整備をした畑です。
その時の様子はこちらです。
       
     

30cmほど積もった雪を掘ると、凍った雪の層の下から、15cm程の葉を広げたナタネが出てきました。

     

9月に播種されたナタネは、秋の陽を受けて精一杯大きく育ち、そのまま冬を越します。
春に行われる「菜の花フェスティバル」の頃には満開の黄色い花を咲かせるでしょう。
楽しみです。


(2013/12/27)「東北大学イノベーションフェア2014」~産と学の最先端のテクノロジーがつくる「新しい未来」~(2014年1月28日)開催のご案内

~食・農・村の復興支援プロジェクト~からも出展いたします。
詳細は以下のページをご覧ください。
http://www.rpip.tohoku.ac.jp/inv2014

(2013/06/04)『農』を考える~東北大菜の花プロジェクト収穫体験会~(7月7日)開催のご案内

詳細は以下のページをご覧ください。
http://www.nanohana-tohoku.com/kikaku20130707.html 

(2013/05/07)東北大菜の花プロジェクト現地見学会を開催しました

詳細は以下のページをご覧ください。
http://www.nanohana-tohoku.com/kikaku20130428.html

(2013/04/11)東北大菜の花プロジェクト現地見学会を開催のご案内(4月28日)

詳細は以下のページをご覧ください。
www.nanohana-tohoku.com/kikaku20130428.html

(2013/03/21)食・農・村の復興支援プロジェクト活動報告会を開催しました

東北大学大学院農学研究科「食・農・村の復興支援プロジェクト」におきまして、このたび下記のとおり活動報告会を開催いたしました。当日は、約100名の方にご来場をいただきました。

■当日の講演プログラム及び発表要旨(PDF
懇親会では、東北大菜の花プロジェクトが津波被災農地で栽培・収穫したナタネ油で、復興の灯火をともしました。



『当日の講演資料はこちらです』

http://www.nanohana-tohoku.com/kikaku20130315.html

(2013/02/18)食・農・村の復興支援プロジェクト活動報告会 開催のご案内

各位

東北大学大学院農学研究科

環境システム生物学

教授 中井

 

食・農・村の復興支援プロジェクト活動報告会 開催のご案内

 

拝啓 立春の候、皆様にはお変わりなくご健勝のこととお慶び申し上げます。

平素は、格別のご支援、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

 さて、東北大学大学院農学研究科「食・農・村の復興支援プロジェクト」におきまして、このたび活動報告会を下記のとおり開催することになりました。震災を機に立ち上がったプロジェクトはまもなく3年目を迎え、その活動も多岐に広がりを見せております。その成果を発表するとともに、復興に向けた農学研究科の取組みを今一度ご紹介する機会ととらえております。

 ご多用中かと存じますが、ぜひご来場賜りますようお願い申し上げます。

敬具

 

 

日時 3月15日(金)報告会 午前10時~午後5時(9時30分より受付)

           懇親会 午後17時30分~

場所 仙台国際ホテル2F(平成の間)電話 022-268-1111

   仙台市青葉区中央4-6-1(JR仙台駅より徒歩5分)

アクセスマップ http://www.tobu-skh.co.jp/access.html

参加費 報告会(無料)懇親会(5,000円)

              懇親会ご参加の方は当日受付にて現金でお支払下さい。

 

【申込方法】

氏名(団体名)、連絡先、懇親会出欠を記載し、メールまたはFAXにてお申し込み下さい。

ホームページからも参加申込を受け付けています。(http://www.nanohana-tohoku.com/

※お申込みが無い場合でも、当日ご参加いただけます。

 

【お申込、お問合せ先】
東北大学大学院農学研究科

食・農・村の復興支援プロジェクト事務局  担当:大串

Tel:022-717-8934 Fax:022-717-8929
infonanohana-tohoku.com (*を@に変換してください)
  

 

東北大学は、災害復興新生研究機構を設立して、東日本大震災からの復興に向けて、「8つのプロジェクトと復興アクション100」に取り組んでいます。食・農・村の復興支援プロジェクトは復興アクション100の1つとして農学研究科の教職員が自主的に活動しています。 

災害復興新生研究機構⇒ http://www.idrrr.tohoku.ac.jp/

食・農・村の復興支援プロジェクト⇒ http://www.agri.tohoku.ac.jp/agri-revival


プログラムはこちら(PDF)

(2013/02/18)津波塩害農地復興のための菜の花プロジェクトのウェブサイトを移動しました

津波塩害農地復興のための菜の花プロジェクトのウェブサイトを移動しました。

菜の花プロジェクトの今後の活動内容等は、以下のページにてご確認ください。

http://www.nanohana-tohoku.com/

(2012/11/15)菜の花の生育状況のお知らせ(11月15日)

仙台市農業園芸センターの菜の花(キザキノナタネ)は順調に成長しています。



葉は5~6枚。これから本格的に寒くなってきますが、元気に育って欲しいです。

(2012/10/25)菜の花の生育状況のお知らせ(10月24日)

10月6日に播種を行った仙台市農業園芸センターの菜の花(キザキノナタネ)が発芽しました。順調に成長しています。
 

(2012/10/22)「菜の花種まき・菜種油試食イベント」開催しました

106日(土)仙台農業園芸センターにて、「菜の花種まき・菜種油試食イベント」を開催しました。当日は約30名の方々に集まっていただき、約20aの畑に菜の花の種を播きました。また、園芸センターの復旧作業として、津波を被って枯れたまま圃場に残っていたカマクラヒバを根を掘り起こすという作業も行いました。

ご参加いただい皆様、大変ありがとうございました。

 

【当日のスケジュール】

10:00 仙台駅西口集合 

                      ~バス移動~

11:00   農業園芸センター(仙台市若林区荒井)到着                               

    同センターの被災状況の見学

           ナタネ油の試食など

12:00   昼食

13:00 菜種の播種作業、

           センターのカマクラヒバ撤去作業

15:00            ~バス移動~

15:30   キリンビール仙台工場見学

                      (仙台市宮城野区港)

                      ~バス移動~

17:30   仙台駅解散




地震が起きた直後のセンターの様子を、
仙台農業園芸センター阿部さんにお話し
いただきました。
外に出て津波の被害の現場を見せてもらいました。
 

菜の花の種を播く畑のチェックを皆さんで。


仙台農業園芸センター阿部さんが
首から下げているのは播種機。

播種機で種まき。
広い畑に小さな種を一様に播くのは
熟練した技が必要です。

この後、みんなで畑を一列になって歩き、
種の“沈圧”をしました。

津波で枯れてしまったカマクラヒバ。
根が深くて抜くのが大変なものもありました。






最後はキリンビール工場の見学を行い、
美味しいビールの試飲をしました。
汗を流した後のビールの味は格別でした。
最後に記念撮影。集まっていただいた皆様、ありがとうございました!


(2012/09/13)菜の花の種まき、菜種油の試食体験イベントのご案内(ボランティア募集)

地域の農業振興に貢献してきた仙台農業園芸センターは、津波による甚大な被害を受け、未だその爪痕が深く残っています。復興への思いを込め農業園芸センターの畑を菜の花でいっぱいにしませんか?園芸センターの活動を支援する作業も行います。また昨年度、本プロジェクトで収穫した菜種の油の試食も行います。園芸センターの職員の皆さんとボランティアの方同志の交流も交えながら進めて参ります。ご協力いただけるボランティアの皆様方のお申込をお待ちしております。

 

【日時】10月6日(土) 10:00~18:00 ※仙台駅発着

【主催】東北大学 菜の花プロジェクト事務局

【参加費】1,000円(保険加入代、昼食費等)当日集金

仙台駅までの交通費は含まれておりません。

 【定員】50名 ※お子さんも参加できます。

【プログラム】

10:00 仙台駅西口集合

11:00 農業園芸センター(仙台市若林区荒井)到着。菜種油の試食体験など。

12:00 昼食

13:30 菜種の播種作業、センター内の清掃活動など。

15:30 キリンビール仙台工場見学(仙台市宮城野区港)

18:00 仙台駅解散

【申込方法】申込用紙に必要事項を記入の上、メール又はFAXにてお知らせください。

 

○お問い合わせ・お申込みはこちらへ

東北大学大学院農学研究科 先端農学研究センター 大串

981-8555 仙台市青葉区堤通り雨宮町1-1

電話 022-717-8934 FAX 022-717-8929

メール o-field.s.t m.tohoku.ac.jp (*を@に変換してください)

申込用紙はこちら(Word

(2012/08/02)『2012年の作付を希望する方々への菜の花プロジェクト説明会』を開催しました。

7月23日(月)、東北大学において『2012年の作付を希望する方々への菜の花プロジェクト説明会』を開催し、約40名にご参加いただきました。

まずは東北大学の中井裕教授より「津波塩害農地復旧のための菜の花プロジェクト」と題し、
プロジェクトの成り立ちと昨年度の活動を振り返るとともに、今後の東北大学菜の花プロジェクトの課題が示されました。

 

東北大学の南條正巳教授からは「農耕地土壌に対する津波影響の概要」が発表され、農地津波被災の概況が調査結果とともにご紹介頂きました。

 

東北大学の北柴大泰准教授は「ナタネ耐塩性系統の選抜と圃場試験の概要」と題し東北大学が保有するナタネの耐塩性系統の選抜に関する実験結果をご紹介いただきました。

 

続いて有限会社千田清掃の鈴木様より「菜種の収穫とBDF(バイオディーゼル燃料)について」をご紹介いただきました。千田様には実際に地域で行っている廃油回収からBDF事業のご紹介や東北大学菜の花プロジェクトとの関わり等をお話いただきました。

岩沼洋菜生産組合の平塚様からは「なたねの栽培」について、昨年度の栽培経験から得た知見を様々な角度からまとめ、ご紹介をいただきました。

 

株式会社宮果様は「菜種の食用販売」と題し、菜の花プロジェクトの活動、とくに摘み取った菜の花の販売面での活動のご報告や、収穫した菜種油の販売シュミレーションなどについてご紹介いただきました。

 

 

(2012/07/05)『2012年作付分 菜の花プロジェクト経過報告会』 開催のお知らせ

『2012年作付分 菜の花プロジェクト経過報告会』 開催のお知らせ


日時:7月23日(月)13:30~16:00 (会場受付 13:00~)
場所:東北大学農学部 講義棟10番講義室
対象:今年度の作付を希望する農家団体等
定員:30名

内容
13:30~14:00 菜の花プロジェクトについて
(東北大学農学研究科先端農学研究センター 中井 裕氏)
14:00~14:30 菜種の収穫とBDFについて(有限会社千田清掃)
14:30~15:00 休憩
15:00~15:30 菜種の栽培について(農家 平塚氏)
15:30~16:00 菜種の食用販売について(株式会社宮果)

申込方法:所属団体名と氏名を記載し、メール又はFAXにてお知らせください。

○お問い合わせ・お申込みはこちらへ
東北大学大学院農学研究科 先端農学研究センター 大串
〒981-8555 仙台市青葉区堤通り雨宮町1-1
電話 022-717-8934 FAX 022-717-8929
メール o-field.s.t* m.tohoku.ac.jp (*を@に変換してください)
 

(2012/05/17)5月4日、現地見学会が開催されました

54日、東北大菜の花プロジェクト現地見学会が実施されました。

天候に恵まれ、集合から解散まで、良いお天気でした。



キリンビール仙台工場に移動し、工場見学の後、中井教授からARP活動の紹介がありました。




中井教授から報告されたARP活動の最新情報についてはこちら(PDF)

(2012/04/13)5月4日(金)、菜の花プロジェクトの現地見学会(キリンビール工場見学つき)開催のお知らせ

東北大菜の花プロジェクト現地見学会

 

開催日時:201254日(金)先着60名限定

     10時から15時まで(仙台駅発着)

募集対象:一般

参加費:大人1,500円、子供(小学生以下)500円、当日支払い

27日までにキャンセルを受け付けます。それ以降のキャンセルは、後日参加費を全額請求致しますのでご了承ください。)

申込方法:FAXあるいはE-mailにてお申込みください。

FAX022-717-8929(申込用紙は別紙のとおり)

E-mailnanohana.project.tohoku@gmail.com

氏名、住所、e-mailアドレス、緊急連絡先(携帯番号)をご記入ください。

ご家族の場合は、ご家族全員の氏名をご記入願います。

 

申込受付期間:平成24416日から

平成2442717時まで

スケジュール:

1000-     仙台駅西口集合~バス移動(車内にて被災状況等説明)~

1040-1110  岩沼市圃場にて現地見学

((株)宮果、農家より解説)~バス移動

1150-1230 キリンビール仙台工場見学ツアー

1230-1250 菜の花プロジェクト概要説明(中井教授)

1250-1310 キリンビール試飲会(ソフトドリンクあり)

1310-1410 キリンビール工場レストランにて菜の花メニュー試食+軽食

1410-     バス移動~仙台駅解散予定


申込用紙はこちら(Word

(2012/01/05)津波塩害農地復興のための菜の花プロジェクトのウェブサイトを作成しました

菜の花プロジェクトの今後の活動内容等は、以下のページにてご確認ください。

http://www.agri.tohoku.ac.jp/health/nanohana/katsudo.html

(2011/12/28)菜の花プロジェクト講演会(12月10日)を開催いたしました。

菜の花プロジェクト講演会


 会議の冒頭、東北大学菜の花プロジェクトリーダーの中井教授からこれまでの活動経過が紹介されました。菜の花プロジェクトは既に約半年に渡って様々な企業・行政・個人・団体の皆様と協働してきました。この会は、そうした協力者の方々と一同に会する最初の機会となりました。中井教授からは、本プロジェクトに対して、今なお多くの注目・関心が寄せられていることが紹介されました。
 




 有限会社千田清掃からは、小西俊夫常務取締役と鈴木昌好業務次長に「カーボンデモクラシー低炭素革命プロジェクト」と題してご講演頂きました。大崎市のバイオマスタウン構想と、その中で千田清掃社が実施している菜の花栽培、廃食用油回収、バイオディーゼルフューエル(BDF)の製造、B5と呼ばれるBDFを5%含有する軽油の製造、さらにはエマルジョン燃料の製造に至るまで、時折ジョークを交えてご紹介頂きました。




 株式会社宮果からは、遠藤哲夫代表取締社長に「宮果の菜の花プロジェクトの取組について」と題してご講演頂きました。株式会社宮果が実施する菜の花プロジェクトの中心メンバーである岩沼市の農家・平塚氏、佐藤氏にもご登壇頂きました。遠藤社長からは、震災直後の市場の様子、農家の様子から、復興にかける思いを語って頂きました。株式会社宮果は市場運営会社であることから、菜の花プロジェクトでは生産した「菜の花」や「ゆきな」あるいは関連商品の開発や販売方法について検討されている旨、ご紹介頂きました。



 株式会社環境科学コーポレーションからは、丸谷聡東北事業所長から「農地回復までの道のりを菜の花で灯そう~これからの菜の花プロジェクト~」と題してご講演頂きました。株式会社環境科学コーポレーションは、菜の花プロジェクトの中でも、土壌分析・放射能調査等で中心的な役割を担って頂いています。丸谷所長からは、次年度以降の菜の花プロジェクトについて、菜の花の持つ様々な機能や、これまでに当プロジェクトのために集ったメンバー構成を鑑み、コンソーシアム設立に関する提案がありました。回復が遅れた被災農地で、菜の花栽培を契機に農業を再開するプランなどをご紹介頂きました。




 株式会社クレハからは、佐藤通浩リビング営業統括部長から「東日本の「食と農の復興」への願い」と題してご講演頂きました。株式会社クレハも一部の生産工場で被害を受けたことや、そうした体験に基づき、東日本大震災を風化させないため今後3年間にわたって被災地を継続的に支援する「いっしょに笑顔。東日本応援プロジェクト」をご紹介頂きました。岩手県・宮城県・福島県で、それぞれ地元密着し、様々な支援活動を実施されている旨ご紹介頂きました。




 キリンビール株式会社からは伊藤一徳CSR推進部渉外担当専任部長に「東日本大震災復興支援の取組について~今、「絆」を深めるために~」と題してご講演頂きました。伊藤部長ご自身の復興にかける熱い思いを語って頂くと供に、キリンビール株式会社が今後3年間にわたって継続支援を行う「復興応援キリン絆プロジェクト」の活動内容等について、「地域食文化・食産業の復興支援」「子どもの笑顔づくり支援」「心と体の元気サポート」の3本柱で復興支援を行う旨ご紹介頂きました。





 バイオディーゼルアドベンチャー山田周正さん(フォトジャーナリスト)からは廃食用油からBDFを製造する装置を積み込んだ自動車で世界一周を実施した際の紹介や、岩手県で実施している菜の花プロジェクトのご紹介を頂きました。




 仙台市役所経済局農林部農政企画課 農商工連携推進室の吉田技師からは、仙台市と菜の花プロジェクトの関係や、地域農家の皆様の声をご紹介頂きました。




 最後に参加者一同でグループディスカッションを行い、盛会のうちに幕を閉じました。




(2011/12/05)菜の花プロジェクト講演会(12月10日)プログラムのお知らせ

菜の花プロジェクト講演会

2011.12.10(土)13:00~16:00 10番教室

 

13:00-13:10  菜の花プロジェクトの進行状況
                     プロジェクトリーダー 中井裕 教授


13:10-13:30  カーボンデモクラシー低炭素革命プロジェクト
                    有限会社千田清掃 小西俊夫 常務取締役
                             鈴木昌好 業務次長


13:30-13:50  宮果の菜の花プロジェクトの取組について
                     株式会社宮果 遠藤哲夫 代表取締社長


13:50-14:10  農地回復までの道のりを菜の花で灯そう
               ~これからの菜の花プロジェクト~
          株式会社環境科学コーポレーション 丸谷 聡 東北事業所長


14:10-14:30  休憩


14:30-14:50  東日本の「食と農の復興」への願い
              株式会社クレハ 佐藤 通浩 リビング営業統括部長


14:50-15:10  東日本大震災復興支援の取組について
                ~今、「絆」を深めるために~
          キリンビール株式会社 伊藤一徳 CSR推進部渉外担当専任部長


15:10-16:00  グループディスカッション 「菜の花プロジェクトに期待すること」

興味のある方は、ご自由にご参加ください。会場には余裕がございますので、
ご来場お待ちしております。

(2011/12/02)食・農・村の復興支援プロジェクト報告 第1巻第2号を発刊しました。

食・農・村の復興支援プロジェクト報告 第1巻第2号

 

発行にあたって(html,pdf)                       プロジェクト・リーダー 中井 裕

 

目次

◆津波によるコンブ目褐藻アラメ海中林の被害と再生過程(html,pdf)
                             水圏植物生態学 吾妻行雄、遠藤 光、青木優和

◆土壌を必要としない新農業技術(アイメック)を活用した被災農地の復旧・復興プロジェクト(html,pdf)
                           分子酵素学 内田隆史 /メビオール株式会社 森有一

◆攪乱後の女川湾、佐須浜、蒲生干潟のプランクトン・ベントス相の現状(html,pdf)
                    
生物海洋学 大越和加・阿部博和・寺本 航・大野博正・内海修平・

                          鈴木陽大・綾小路法孝・近藤智彦・西谷 豪・遠藤宜成

◆これまでの農業復興支援政策からみた今後の課題(html,pdf)        フィールド社会技術学 大村道明

◆東日本大震災マガキ養殖復興支援プロジェクト(html,pdf)            水圏動物生理学 尾定

◆大津波による農耕地土壌への影響-宮城県の広域土壌調査の事例から-(html,pdf)   土壌立地学 菅野均志

◆『福島で被爆したウシを生かしたまま残す』(*)(html,pdf)            家畜福祉学 佐藤衆介

◆地域の林産物・森林生態系を活かした震災復興(html,pdf)             生物共生科学 清和研二

◆震災から7ヶ月経った今、農地・農業の復興の復興を考える(html,pdf)     環境システム生物学 中井裕

◆農地土壌に対する東日本大震災の影響と対策(*)(html,pdf)            土壌立地学 南條正己

◆塩害に強いアブラナの作出に向けて(*)(html,pdf)               植物遺伝育種学 西尾剛

◆「食」領域からの復興支援一端(*)(html,pdf)              テラヘルツ食品工学 藤井智幸

 

(*)東北大学農学カルチャー講座の要旨を転載しております。

 

(2011/11/18)菜の花プロジェクト講演会(12月10日)のお知らせ

これまでの活動を振り返り、来年からの活動に向けて動き出すため、菜の花プロジェ

クトを支援いただいている方々に、

復興にかける想いをお話しいただく講演会を開催いたします。

 

講演者は、現在のところ、

有限会社 千田清掃

株式会社 宮果

株式会社 環境科学コーポレーション

キリンビール株式会社

 

4社の方からの講演後、会場全体でグループディスカッションあるいは総合討論を行

うことを予定しております。

以下の日程等で開催いたしますので、ぜひご参加くださいますようお願い申し上げま

す。

 

日時:平成23年12月10日(土)13時から16時

   講演会およびグループディスカッションor総合討論(無料)

   16-18時には懇親会を予定しております(会費制2,000円)

 

場所:講演会(東北大学農学研究科 講義棟10番)
  ・アクセスマップ:http://www.agri.tohoku.ac.jp/agri/
    ・キャンパスマップ:http://www.agri.tohoku.ac.jp/agri/ad3.html

   (キャンパスマップ内の4.講義棟10番)

   懇親会(農学研究科 食堂)

 

対象者:菜の花メンバー、支援企業、一般、学生

 

講演会・懇親会にご参加くださる方は、a-miyukibios.tohoku.ac.jp(阿部)まで

ご連絡ください(*を@に変換してください)。

 

当日のタイムスケジュールは、後日ホームページにてお知らせいたします。

 

(2011/11/18)菜の花の生育状況のお知らせ(11月17日)

9月25日に播種を行った仙台市農業園芸センターの菜の花(キザキノナタネ)は、

下写真の左から1、2枚目のように順調に成長しています。

 

10月10日に播種を行った田んぼの菜の花は、下写真の左から3、4枚目です。
こちらも順調
に育っています。

 

丁寧に栽培管理をしていただき、仙台市、協力農家の方には大変感謝しております。
寒い中、この後も元気に育ってほしいです。

(2011/10/11)菜の花プロジェクト・第2回種まき作業(10月10日)を行いました。

平成23年10月10日(月)12:30~

 

二か所で種まきと苗の間引きを行いました。

 

1.仙台市若林区の圃場にて菜の花の種まき作業

2.仙台市農業園芸センターにて苗の間引き作業(9月25日に種まきを行った箇所)

 

仙台市社会福祉協議会のご協力により、約30名のボランティアの方にお集まり
いた
だき、さらに支援企業の方々、仙台市、東北大学生にご協力いただきました。
総勢約70名で作業を行い、作業終了後には参加者の菜の花への想いをお話しいただき、
今年度の菜の花プロジェクトの野外作業は終了いたしました。

 

来春には、菜の花が満開になった姿をお見せできると思います。

皆様には、これからもご支援いただきますようよろしくお願いいたします。


(2011/10/03)菜の花プロジェクト・第2回種まき作業(10月10日)のお知らせ

開催日時:1010日(月)1200受付開始、1230作業開始、16:00作業終了

集合場所:仙台市農業園芸センター駐車場集合

http://www.sahpa.or.jp/annai/index18-3.html

交通手段:自家用車、自転車等にて

持 ち 物:マスク・軍手・長靴等、汚れてもよい服装、飲料

作業内容:菜の花の種まきを行います。種まき機械もしくは手で播く作業です。

作業場所:仙台市農業園芸センター近くの圃場(車で移動)

 

*雨天の場合は、中止。

 

ご参加いただける方は、10/3(月)までに下記へご連絡くださいませ。

代表者名、代表者連絡先(当日連絡のつく携帯番号等)、参加者人数を
お知らせください。

 

Tel&Fax:022-717-8664
E-mail:a-miyuki*bios.tohoku.ac.jp(阿部)


(2011/09/30)菜の花プロジェクト・種まき作業(9月25日)を行いました。

平成23年9月25日(土)12:30~

 

菜の花プロジェクト・種まき作業を仙台市園芸センターの花壇にて行いました。

災害ボランティアセンター、支援企業、東北大学生のご協力により、約30名の

ボランティアの方にお集まりいただき、作業を行いました。

みなさま、ご協力ありがとうございました。

(2011/09/21)政府海外広報用電子書籍「Highlighting JAPAN」9月号に菜の花プロジェクトの記事が掲載されました。

『Highlighting JAPAN』 HP
(http://dl.gov-online.go.jp/public_html/gov/book/hlj/20110901/index.html#page
=1)

(2011/08/23)フィールドセンター国際シンポジウムで、津波被害の土壌についての講演発表(9月3日(土))があります。

93日(土)東北大学・川内北キャンパスで、複合生態フィールド教育研究センター主催の第9回国際シンポジウム「土壌と環境」が開催されます。

http://www.agri.tohoku.ac.jp/agri-data/topics/kd506l0000001j6c.html

 

 今回は、東日本大震災による環境の激変が土壌環境に及ぼした影響とその修復に関する特別セッションを設けました。

 2004年のインドネシア・スマトラ沖大津波で被害を受けた土壌の調査にあたったF. Agus博士(インドネシア土壌研究所)から、その調査結果を紹介していただくとともに、東北大学の研究グループからは、津波によって大きな被害を受けた宮城県沿岸部の土壌の実態(南條教授)と、その修復に関わる研究プロジェクト(「菜の花」プロジェクト)(西尾教授)について講演いたします。

福島第一原子力発電による放射能汚染土壌の対策の基盤となる土壌中における放射性セシウムの挙動について、環境科学技術研究所の武田博士から報告していただきます。

 

また、次のセッションでは、特に地球温暖化に関わる土壌からの温室効果ガスの発生について、中国および日本の第1線の研究者からの講演があります。

(2011/08/04)菜の花プロジェクト・ヘドロ除去作業(7月30日)を行いました。

平成23年7月30日(土)9:30~

 

菜の花の播種を予定している仙台市若林区の圃場にてヘドロの除去を行いました。

 

災害ボランティアセンターのご協力により、約50名のボランティアの方にお集まりいただき、

さらに支援企業の方々や宮城県、仙台市、東北大学生にも協力いただき、総勢約120名で
作業を行いました。

 

地権者の方およびご参加いただいた方々、誠にありがとうございます。
これからもご支援いただきますようよろしくお願いいたします。

(2011/07/29)図書館農学分館オープンキャンパス(第四回ARP報告会)を開催いたしました

日時:平成23年7月27日(水)、28日(木)午前10時から午後4時まで

場所:東北大学大学院農学研究科農学分館

 

プロジェクト・リーダー 中井裕教授     プロジェクト立ち上げの経緯と概要(PDF

生物共生科学 清和研二教授           地元産材利用と種多様性復元による
持続的な震災復興プログラムの構築(PDF


土壌立地学 南條正巳教授              津波をかぶった土の塩を見る(PDF


資源動物群制御科学 多田千佳准教授     トイレからエネルギーを!(PDF

水圏動物生理学 尾定誠教授            東日本大震災マガキ養殖復興支援プ
ロジェクト(PDF

フィールド社会技術学 米澤千夏准教授      人工衛星による水産養殖施設の被害
観測(PDF

栽培植物環境科学 伊藤豊彰准教授          津波被災農地の復旧を支援する(PDF


植物遺伝育種学 北柴大泰准教授       塩害に強いナタネ系統の選抜(PDF

陸圏生態学 佐藤衆介教授              福島原発20km圏内に取り残され
たウシの保護プロジェクト(PDF

動物微生物学 磯貝恵美子教授          東日本震災後における人および動物
における土壌由来の細菌感染症のリスク(PDF

海洋生命遺伝情報システム学 中嶋正道准教授  東北独自の地域ブランドを守り・育
てる(PDF




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2011年7月21日寄稿 被災地で早急に調査・検討すべき5つの事項

被災地で早急に調査・検討すべき5つの事項

 

農林水産省は、被災地・被災農家の詳細な調査を開始する。農家には既に農協の共済等の被災状況調査等が入っている場合もある。我々研究者の調査も未だ充分とは言えないが、被災農家に対して同じような調査を重ねることは、無用な負担を強いることになる。このような事態を避けるため、これから被災地の農家調査を行う研究者は、既往または実施予定調査と内容を異にし、なおかつ喫緊の課題について調査しなければならない。以下では、宮城県の某沿岸町村における農家・行政・農協への予備調査から明らかになった、今後早急に調査・検討すべき5つの事項について述べる。

 

1.復興に係る生産組織像(水田農業の場合)

 農地の回復では、ガレキ・ヘドロの撤去を行政が実施し、最終的な「仕上げ」の部分を農家による「復興組合」が担うこととされる。復興組合には、10aあたり3.5万円の作業労賃・経費が交付される。しかし、復興組合は農家の当面の生活支援が主眼であり、復興後の地域を担う生産組織とイコールにはならないとも考えられる。(この交付金の事業主体は行政であるが、行政はもちろん、JAも復興組合の組織形成のために多大な調整コストを負担していることを付記しておく。)

 被災直前の状況にあっても、水田農業は既に集約化・大規模化が進んでいた。被害程度の軽微な兼業農家の動向は不明であるが、被害程度の重い兼業農家と小規模専業農家は自家経営内での水田農業を諦める可能性がある。一方で、被災前まで地域内の水田農業を担ってきた者は、個人の場合もあれば複数農家による共同組織の場合もある。後者の場合は、行政による復興支援補助事業に乗れる要件を満たすことは比較的容易であるが、個人経営にとっては難しい。農家経営の大規模化・効率化を目指す行政の意図は解るが、復興後の農業の担い手像をもっと具体的にイメージして制度設計を行う必要があると考えられる。

 以下の2点目の項目とも関連するが、「水田の回復が23年で実現するならば自分の経営判断、それ以上かかるなら、次世代の担い手の経営判断となる」と考える高齢農業経営者は多い。水田農業にあっては、地域内の生産者組織に、ここ数年内にどのような変化が生じうるかを慎重かつ早急に予測するための調査が重要と思われる。

 

2.農地の回復・利用調整

①集団移転に関係する事項

 被害程度が重く、農地としての回復を見込めない程に被災した地域にあっては、集団移転が計画されている。しかし、震災前から既に規模拡大路線を辿っていた非被災エリアでは、集団移転した農家に対して積極的に自己経営内の農地を提供することは考えられない。減反政策が継続中の現在、新しく農地を開墾することも非現実的であることから、農地を失った農家が農業を継続するためには何が必要か、早急に検討しなければならない。

 経営効率の観点からは、大規模化・集約化が望ましい。しかし、健全な農村社会・地域社会の維持の観点からは、農業から退出させられてしまう者、つまりその地域から断絶されてしまう者が多く出ることは望ましいことではない。

②小作・小作料に関する事項

 借地で水田農業を行う場合、多くは「10aあたり年間2俵」というような、いわゆる小作料を耕作者が地主に対して支払う。このような固定的な契約の場合、たとえ豊作であっても小作料の割増は行われないのが通例である。したがって、凶作の場合には、地主と耕作者の間で小作料の値引きをめぐって問題が発生する。今回のように、水田が被災して全く耕作ができない場合には、耕作者はコメを買って地主に納める事態も生じうる。農地が被災し、機械類も津波をかぶったような重被災農家の場合、小作料の支払いは苦しい。また、被災程度は軽く、水田自体は無事であっても、用排水路の都合で作付できなかった耕作者も居る。このような場合にも、小作料を請求された耕作者は不満を感じると思われる。さらに、地主・耕作者とも被災した場合もある。この場合、地主側も小作料を期待するに相違ない。

これは基本的には地主と耕作者の間の問題であるが、例えば「被災による作付不能期間は小作料を免除、ただし作付再開後は一定期間割増で支払い」或いは「今年度の小作料は不要」といった事例情報を公開し、早めに議論を開始する必要がある。

また、水田の立地条件が悪く、土地改良費が比較的高い場合、耕作者が土地改良費を負担しない、いわゆる「ヤミ小作」が行われることもある。震災で用排水路等が破壊され、今後より高い土地改良費が設定されることになれば、今後ますます利用権設定は実施されにくくなる。地主は小作料だけでは赤字であるが、震災で赤字を農外収入で埋められなくなる可能性もあり、こうした地域の水田の今後の用途等も検討しなければならない。

 

3.農家経営の回復プランの全体像

 現時点では、行政による市町村区域内の土地利用グランドデザインが具体的に明確になっていない場合が多い。この場合、土地利用計画に関係する可能性のある農家は、農地(施設等)に投資する判断が難しい。

 しかし、現有の農業施設(ハウス等)が、骨格だけでも無事だった場合、とりあえず施設農業を回復しようとする動きは多い。これも補助事業に乗ろうとすれば「複数農家による共同経営」や「一定面積以上」といった要件をクリアしなければならず、結局は個別経営を選択する可能性もある。

 季節にほぼ関係なく、年に複数回の収穫、つまり収入が見込める施設農業は、収入の断絶した農家にとっては経営再建の第一歩として選択される可能性は高い。被災によって施設野菜の生産量は落ち込んでいるとはいえ、現在のような世界規模の物流を背景に持つ消費市場を相手にした場合、施設野菜への大幅シフトが生じ、中期的には当該作物の値崩れに繋がる可能性もあるのではないだろうか。

 環境負荷の観点からは、もともと栽培適期ではない時期にエネルギーをかけて栽培することは望ましくない。今回の震災で全く被災しなかった農家であっても、物流の途絶で出荷できず、出荷再開後も量販店が復旧するまでは低価格での出荷を余儀なくされた。大規模災害にも強い農業を目指すのであれば、復旧期における特定の作物への過度な集中を排し、新しい産地形成の可能性について早急に検討し、その可能性を公開することが重要と考えられる。

 

4.復興までの「待ち時間」を前向きに過ごすための方策

 例えば水田農業にあっては、ある程度の地域ではガレキの撤去が終わり、ヘドロの撤去と農地の再整備を待つ状態になりつつある。しかし、東北の水田農業は多くが年1作であり、来春までに整備が完了しなければ、当然もう1年作付できないことになる。現在の行政の農地回復ロードマップ通りには進まないと判断し、独自に除塩や農地回復を開始する経営体もあるようだ。(確かに、水田造成のプロフェッショナル業者が不足するとは思われるが。)

 農業を主たる収入源としていた農家にとって、このような状態が長く続くことは、農業再開への意欲を削ぐことに繋がることは想像に難くない。被災直後は何もかも、場合によっては家族までも失い、離農を覚悟した農家も、その後の復旧・復興のなかで、特に復興組合の結成に至って、農業の再開を決意する農家も多いと聞く。しかし、そうした農家が再び心を折ってしまわないよう、経営再建のロードマップを示す必要がある。個々の農家経営は条件も環境も千差万別であろうことから、現在までの支援メニュー等の情報を正しく整理し、農家自身が自分で再建の方向性・可能性を探ることができる資料作りが急がれる。

 

5.復興支援事業を利用できない「地域住民」の救済策

 現在までのところ、行政が提示する復興補助メニューは、いずれも複数農家による共同体の形成をその要件に入れている。それは経営効率の向上、つまり、より少ない人数で、より大きな規模での経営を目指している。しかし一方で、農業を実施する空間は限られている。この二つの事実を考え合わせると、将来的に地域内で農業に従事する者は、現在よりも少なくなるということである。これは、被災地町村にとっては深刻な問題と考えられる。被災地域内に就労先を持たない人々は、不便な思いでそこに留まる必要はない。ただでさえ少子高齢・人口減少に見舞われていた地域が被災した場合、さらなる人口流出は地域社会に決定的なダメージを与えかねない。

 現在は復旧のための土木工事等に労働需要があり、地域内でもある程度の収入が得られるだろう。しかし、復興が成って、土木工事は無くなり、農業にも就労の余地が無くなった時、果たして「地域住民」はその地域に留まる事を選択するだろうか?

 地域内での新規就労先の創出は、地域内で一定程度の人口を維持するためには最重要課題である。従来のような大企業の工場誘致や、新エネルギー産業の誘致も有効な手段のひとつだろう。しかし、震災直後、我々は何に困ったのか?水・食糧・エネルギーである。未だに大規模余震のリスクが去った訳では無く、100年単位では再び大規模地震災害が起こりうる。そうした事態に備えるための産業をこそ、いま重点的に整備すべきであり、そのためにはどのような産業を、どの程度の規模で創出すべきかを早急に検討し、復興・再建計画の中に位置づけられるよう、情報公開して働きかける必要がある。

フィールド社会技術学分野 大村道明

(2011/07/14)図書館農学分館オープンキャンパス(第四回ARP報告会)のお知らせ

震災後、農学研究科では「食・農・村の復興支援プロジェクト(ARP)」を

発足し、これまで活動してきました。

この活動を未来を担う高校生に紹介したく、農学分館の協力を得て、

パネルにて展示いたします。

一般の方もご参加いただけますので、ARPの具体的な活動内容をこの機会に

ご覧ください。

 

場所:東北大学附属図書館農学分館

日時:2011727()28()10時から16

入場無料・入場制限なし

 

オープンキャンパスの詳細は、こちら(PDF)をご覧ください。

 

(2011/07/06)日本水産学会主催・緊急シンポジウム(第三回ARP報告会)のお知らせ

 水産学の調査研究を通して、震災による被災からの復興を目指すため日本水産学会の

災害復興支援拠点が東北大学農学部に設置されました。 
そして水産学会が主催する
「日本水産業復興対策緊急シンポジウム」が716日午後、
東北大学農学部第一講義
室で開催されます。


詳しくは、こちらをご覧ください。

(2011/06/23)菜の花プロジェクトがJSTで紹介されました。

菜の花プロジェクトについて(PDF
 

2011年5月30日寄稿 トイレからエネルギーを!〜災害時に頼れるトイレをつくる〜

トイレからエネルギーを!〜災害時に頼れるトイレをつくる〜

 

1. 被災地のトイレ事情

1.1 避難所のトイレ事情

1.1.1 水を使えた避難所

 東日本大震災の後、水が止まり、電気がとまり、ガスも止まり。ライフラインが止まったと同時に、人が生きている限りに行う、排泄行為をするトイレも水が使えないことで利用できなくなってしまった。下水処理場は津波で壊滅状態になった。バキュームカーも流されてしまった。

 避難所では、電気がないために汚物処理もできず、汲取が十分にできない中で汚物があふれるのを防ぐように水を飲むのを制限した避難所もあったほどだ。

 2011430日、気仙沼の避難所3カ所(O中学校、K中学校、Hセンター)のトイレを見て来た。避難所では、水を利用できたか、できないかで、ずいぶんトイレ事情が異なっていた。

 O中学校では、幸い、建設会社の生コン車を利用し、近くの川から水を汲み取り、タンクに水を溜め、それをバケツに汲んで流し水として利用し、通常の水洗トイレを使用していた。トイレの数は、中学校にある5カ所のトイレで、男小便用16, 大便用10、女洋式2, 和式13という数であった。避難者は、震災直後は約600人であり、現在は約250人であるが、トイレに行列ができて困ることにはならなかったそうだ。仮設トイレも6機が送られて来たが、使用しなかったそうである。今回、問題だったのは、避難所のトイレが、和式しかなく、お年寄りの利用が非常に困難であったという点である。O中学校だけでなく、2011517日毎日新聞の記事によれば、岩手県釜石では、避難所の和式トイレが使えず、自宅に戻っているお年寄りもいることが報じられている。

 さて、O中学校のトイレの衛生状態は、避難者の当番制で毎日そうじが行われており、非常にきれいに保たれていた。

 水で流された汚物類は、学校の蒸発散装置に貯められ、学外への排水をしないように努力されていた。しかし、それでも容量を超えそうになったため、汲取を一回して、難を逃れたとのことである。

 

1.1.2 水を使えない避難所

 続いて、K中学校では水がまだ止まっており、仮設トイレを利用していた。

 避難者は、現在のところ約200人である。仮設トイレは、大きく分けて2カ所にあり、避難民用の13カ所と、中学生用の4カ所があった。避難民用の13カ所のうち、一カ所は兵庫県提供の災害用トイレであり、残りは仮設トイレになっている。中学生用の仮設トイレは、すべて洋式タイプであったが、その他は和式タイプで、兵庫県提供の災害用トイレのみ、洋式用トイレの形をしている。

 こちらのトイレは、どこもかなり汚れていた。やはり、水がないので、仮設トイレの掃除もしにくいのであろう。水がなくてもきれいに使えるトイレの必要性を感じた。また、仮設トイレの下のタンクが小さく、浅いために、すぐにいっぱいになってしまうことも問題だと感じた。

 

1.1.3 ボランティアがあふれている避難所

 Hセンターは、小さな建物で、50人程度が避難している。水はでていない。また、多数のボランティアのメンバーが集まっており、非常に狭いところが雑然としていた。

 屋内トイレは、これも支援物資の物置として使用されていた。避難者は、生ゴミやトイレの臭いに悩みを抱えていた。本センターでは仮設トイレ4つに、災害用トイレが1つであったが、ボランティアも多くきているため、トイレの供給が足りず、新たに2つの仮設トイレを増設していた。

 仮設トイレのすべてが和式トイレであり、お年寄りが多いために、洋式トイレ型の仮設トイレを要望していた。避難所のご婦人方は、トイレの臭いについて不満があるようだった。

 

1.2 避難所以外のトイレ問題と諸事情

 現在、0中学校グランドでは、仮設住宅153世帯分が建設中である。仮設住宅の建設には、150人の作業員が参加している。作業場では、建設会社が仮設トイレを持って来ている。これらの仮設トイレは、すぐにいっぱいになるので、一週間に2回汲取にきてもらっているそうである。

 建設会社の人たちは、423日から工事を始めて3週間で終わらせるという、非常に短い工期の建設が必要なため、厳しい労働を要求されている。まず、地元の職人がいないため、新潟、秋田、山形から作業員を集めている。また、大工がいないため、10人ほど東京からも呼び寄せている。被災地周辺は旅館も被害にあって使用できないため、車で2時間ほど離れた一関の厳美渓の宿から、毎朝5時に出発して朝7時から作業を開始しているそうである。寝る場所も旅館の大座敷をなんとか借り、避難所さながら、作業員は雑魚寝しているそうだ。旅館では、作業員すべてに与える食料を十分に確保できないらしい。カレーライスにしたら、ごはんを通常の2倍消費し、米がなくなる有様。建設会社から米を支給したとのことである。一時ニュースで流れていた仮設住宅の材料不足(合板等)は、不足は、輸入により解消されている。ところが、ユニットバスを工事する職人、大工といった職人が足りないと嘆いていた。仮設住宅のトイレ関連だが、置き型の浄化槽で排水処理するらしい。しかし、浄化槽そのものの在庫が少なく、なかなか手に入らないとのことである。現場監督さんの話では、このような過酷な労働条件は続ける事が難しいとしている。とにかく、こういった状況の中での仕事は、プロの建設会社の人にとっても初めてのことで、非常に大変だということを教えていただいた。

 また、現場監督さんの話では、今後、被災地の人たちの仕事がどうなるのか?そのあたりを非常に心配していた。仮設住宅に入れたとしても仕事がない。そのため、光熱費をどうやって払うか、食費をどうするか?と自立した生活を行う事は困難であるだろうと。現場監督さんは被災地の人の思いを代弁してくれた。

 この他、日本赤十字からのボランティアに来ている人によれば、がれき撤去等の作業をしてくれるボランティアの人々のトイレの場所がないことも問題だそうだ。特に、女性ボランティアは、作業現場にトイレがなく、その対応に困っているとの事である。

 

2. 仮設トイレの汲取り事情

 人数(300)と仮設トイレのタンク容量(320L)、仮設トイレ数(10個)、一人一日あたりの尿量を約1.2Lおよび糞量を0.2Lから算出すると、すべての仮設トイレは、7日でタンクいっぱい(タンク容量の約94%がふん尿)になり、週1回の汲取が必要となる。しかし、災害時には汲取業者も十分に機能できるとは限らない。実際に、宮城県大崎市の汲取会社に聞いたところ、石巻では、バキュームカーも流されてしまい、通常7台で汲取業を行っているが、現在は、他の地域のバキュームカーを借りて2台で行っている会社もあるそうである。320日には、滋賀県から東日本大震災の被災地でトイレの衛生環境を守るため、県内のし尿収集業者らが被害の大きかった宮城県に向け、バキューム車など20台で県庁を出発し、下水道が機能していない被災地でし尿のくみ取り作業にあたるなどの支援もあった。

 

. 災害トイレのあり方

3.1 長く使えるトイレ 

 今回の仮設トイレを見れば明らかなように、糞は、どうしても、便器の中心付近に山状に蓄積する。そのため、仮設トイレ(通常320L)のタンク容量があっても、その半分強ほどしか入らないということが、貯留量を減少させる。また、実際に使用する側としても、おしりをだす所に、糞便の山の頂点がいちばん接近することになるため、衛生的にも問題であり、気分的にも悪い。

 この山を崩す仮設トイレの設計が必要である。バイオトイレの多くは、好気性分解を目的とするため撹拌器がついている。このため、タンク内の糞尿が、ある一部分に高く蓄積する事はない。

 仮設トイレにおいても、バイオトイレのような撹拌システムの導入が、緊急時に長く使えるトイレとなる一工夫だと考える。また、単純に、タンク容量をもう少し大きくすることも必要である。

 

3.2 汚れないトイレ

 次に、便器が汚れないようにするにはどうしたらいいか?を考えた。

 第一に、小便と大便は、別の場所ですることが必要だと思う。小便は小便用トイレ、大便は大便用トイレである。

 大便用トイレは、水がない場合、通常の和式や洋式トイレでは便器が汚れる。また、掃除も困難である。よって、災害トイレには、生分解性プラスチックの袋を大量にストックしておき、それを便器に広げてそこに大便をして、最後にその袋を閉じてタンクに落とすのがよいと考える。

 この方法であれば、水がなくても便器を汚す事がない。タンク内には、生分解性プラスチックの袋に入った状態で、糞が蓄積するので悪臭の拡散も抑制できる。

 このような考えでつくられているトイレとして、災害用ポータブルトイレ、ラップポンがある。しかし、これも電気を利用しているため、長い避難、多数の避難者の利用には限界がある。

 現在、私は、別のプロジェクトで、生分解性プラスチック袋に生ゴミを投入し、それをメタン発酵する研究を進めるために、生分解性プラスチックの製品会社にお願いして、生分解性プラスチック袋の準備を進めてきた。しかし、現在、製品化された生分解性プラスチック袋は、分解が遅いという問題がある。コンポスト用ゴミ袋としての生分解性プラスチック製品が販売されているが、分解までに約1ヶ月を要する。

 上記の新たなトイレで、たまった糞をどのように利用するか?によって、生分解性プラスチック袋に求められる分解特性が変わってくる。現在、商品化されているものでは、分解が早くて1ヶ月なので、糞をストックするのであれば、十分に利用可能である。

 しかし、私が考えるトイレで糞を分解しながら、エネルギー生産を行う場合には、より分解性の高い生分解性プラスチック袋の開発が必要となる。生分解性プラスチックは、現在、受注生産が主で、採算が合わない製品を試しにつくってもらえるような感じではなかった。このあたりも共同研究ができれば、可能性が大きく広がると考える。

 

3.3 トイレからエネルギーを!

 さて、トイレでエネルギー回収することが可能であるかを試算した。

糞と尿は分離したトイレを考える。Hotta(2009)によれば、人糞の含水率は約80 %前後、窒素は乾燥重量あたり70 mg/g-dry,炭素は500 mg/g-dryである。CN比は約7であり、窒素含有率が炭素含有率に比較して多い。人糞をメタン発酵する上で、高い窒素含有率によるアンモニア阻害が生じる可能性がある。仮に、含まれる窒素すべてがアンモニアであるとすると、1人一回あたりの糞量を150 gとすると含水率80 %で、残り20 %が固体30 gとなる。そのうち、窒素含有量は70 mg/g-dryなので、2100 mg/一回分の糞となる。糞150 gを仮に150 mlと見なすと窒素濃度として14000 mg/Lとなってしまうため、アンモニア阻害が起こると考えられる。メタン発酵のアンモニア阻害は、通常、アンモニア濃度約1500 mg/Lより阻害があり、 3000 mg/L以上だと著しい阻害が起こる事が報告されている(McCarty, et al, 1961;Hobson, et al, 1976;Sawayama et al, 2004)。そのため、一度の糞排泄に対して、ぎりぎり著しい阻害が抑制される濃度までの希釈(水をできるだけ節約するため)と考えると、希釈水として45 Lの水が必要である。これは、通常使用しているバケツ(8 L)の半分強の量なので、実際に、災害時にトイレで水を流すときに使用する量になると考えられる。あるいは、これまでもアンモニア阻害の抑制方法としてゼオライトを添加する研究(Tada et al. 2006, 2005)もあるので、災害時用トイレとして、そのようなアンモニア阻害を抑制するものをあらかじめ付加したような設計も必要かもしれない。

 それでは、炭素はどうか?先ほど同様の仮定で糞中の炭素濃度を計算する。一度の糞で15000 mg/一回分の糞となる。単純に糞150 gを仮に150 mlと考えると炭素濃度として100 g/Lとなり、5 Lで希釈すると20 g/Lとなり、メタン発酵を行う上で問題ない濃度になる。

 このときに得られるメタンガス量は、300人の避難者で、炭素の90 %がガス化されるとすると、単純計算で一日あたり7.6 m3のバイオガスを得る事ができる。これはエネルギーとして152 MJになり、発電効率を25 %とした場合、電力変換すると32インチ液晶テレビを70時間つけることが可能であるし、テレビの代わりに夜5時間、電球35個を点すことができる。

 いずれにせよ、水が使える前提の話である。水の代わりに尿を利用すればいいと考える人もいるだろう。しかし、尿は糞に比較してさらに窒素含有率が高いために、メタン発酵の阻害方向に働いてしまう。どのように避難所にある有機源、水をブレンドするか?トイレの下のタンクに、何を引き込んでくるか?そのあたりの策を考える必要がある。

 水がない最悪状態で、尿を利用するか?否か?乾式メタン発酵にするか?など、もう少し考える必要がある。今回は、ざっとした考えを列挙したが、中国では豚の糞で、料理用ガスとして活用し暮らしているところもある。よって、人のトイレからエネルギーをつくる話は、全くの夢物語ではなく、非常に実現性の高い話である。上記にあげた課題をすべて解決するシステムを構築したい。

 

参考文献

Shinya Hotta, Naoyuki Funamizu(2009) Simulation of accumulated matter from human feces in the sawdust matrix of the composting toilet, Bioresource Technology, 100 , 1310–1314

 

McCarty, P.L. and McKinney, R.E.(1961)Salt toxicity in anaerobic digestion, J. Water Pollut. Control Fed., 33, 399-415

 

Hobson, P.N. and Shaw, B. G.(1976) Inhibition of methane production by Methanobacterium formicicum, Water Res., 10, 849-852

 

Sawayama,S., Tada, C., Tsukahara, K. and Yagishita, T. (2004) Effect of Ammonium addition on methanogenic community in a fluidized bed anaerobic digestion, J. Biosci. Bioeng., 97, 65-70

 

Tada, C, Yang Y, Hanaoka T., Sonoda A, Ooi K, Sawayama S(2005) Effect of natural zeolite on methane production for anaerobic digestion of ammonium rich organic sludge, Bioresource Technology, 96(4), 459-464

 

Tada C, Hayahibara, S. Utatsu Y, Sawayama S(2006) Artificial Fe-type zeolite enhances methane production in anaerobic digestion under ammonium-rich conditions, Japan Society of Water Treatment biology, 42(3), 99-106

環境システム生物学分野 多田千佳

(2011/05/16)日本環境共生学会(共催)ワークショップを開催します。

[日本環境共生学会 ワークショップ]
東日本大震災の経験から再考する自然環境との共生
~食と農と村をつなぐ地域再生への展望~

日時:平成23年6月25日(土) 14:00~16:50
場所:東北大学大学院農学研究科 第一講義室
(仙台市青葉区堤通雨宮町1-1 東北大学雨宮キャンパス講義棟)


詳しくはこちらのページをご覧ください。
http://www.agri.tohoku.ac.jp/agriecon/japanese/kankyo/JAHES-WS2011.htm

(2011/05/13)東北大学による食・農・村の復興支援報告会を開催しました

東北大学による食・農・村の復興支援報告会

日時:平成23年5月11日()午後1時から4時まで

場所:東北大学農学研究科 1番教室

 

プログラム

研究科長挨拶                                農学研究科長 山谷知行教授

「食・農・村の復興支援プロジェクト」の概要 (html,pdf)       プロジェクト・リーダー 中井 裕教授

津波をかぶった土の概況 (html,pdf)                       土壌立地学 南條正巳教授

東北地方太平洋沖地震に伴う津波被災農地の宮城県広域土壌調査計画の概要 (html,pdf)  
                                    
栽培植物環境科学 伊藤豊彰准教授

耐塩性アブラナ科植物を使った塩害対策 (html,pdf)        植物遺伝育種学 西尾剛教授/北柴大泰准教授

大津波と地盤沈下による沿岸岩礁潮下帯の海藻群落の変化 (html,pdf)     水圏植物生態学 吾妻行雄教授

水産種苗の大量供給による海面養殖業の緊急復興 (html,pdf) 
                    
  水圏動物生理学 尾定誠教授/水圏植物生態学 吾妻行雄教授

豊かな海の遺伝資源の有効利用を考える (html,pdf)        海洋生命遺伝情報システム学 中嶋正道准教授

東日本震災後における人および動物の感染症リスク (html,pdf)        動物微生物学 磯貝恵美子教授

地元産材利用による震災復興と森林のランドスケープデザイン (html,pdf)    生物共生科学 清和研二教授

農畜林水産業を有機的に連携させた生産システムによる復興モデル (html,pdf)   陸圏生態学 佐藤衆介教授

地震・津波による農業被害:実態と復興への途 (html,pdf)                作物学 國分牧衛教授

総合討論とまとめ

(2011/04/28)東北大学による食・農・村の復興支援報告会(5月11日(水))のお知らせ

東北大学による食・農・村の復興支援報告会

 

 東北大学大学院農学研究科は、「食・農・村の復興支援プロジェクト」を323日に立ち上げ活動してきました。震災2ヶ月をむかえるにあたって、その活動状況、短期および中長期的な復興支援に対する考え方などについて報告します。

http://www.agri.tohoku.ac.jp/agri-revival/

 

 

日   時: 511日(水) 午後1時から4時まで

場   所: 東北大学農学部 1番教室 

主   催: 東北大学大学院農学研究科、食・農・村の復興支援プロジェクト

参加費等: 無料。興味ある方はどなたでもご来場下さい。

 

おもな内容:

· 津波被災農地の土壌分析と早期復旧の見通し

· 海草類、貝類、魚類の養殖種苗生産

· 水産業生産システムの再構築

· 耐塩性アブラナ科植物を使った塩害対策

· 震災復興と森林のランドスケープデザイン

· 農畜林水産業を有機的に連携させた生産システムによる復興モデル

· 土壌由来細菌感染症のリスク

 

 

 

問い合わせ先: 

東北大学大学院農学研究科庶務係

Tel: 022-717-8603

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e-mail: agr-syom@bureau.tohoku.ac.jp

 

2011年4月22日寄稿 東北の独自ブランドを守れ

東北の独自ブランドを守れ


 今回の震災で被害を受けた方々に心からお見舞い申し上げます。また、一日も早い復興を祈念するとともに何らかのお手伝いが出来ればと考えております。

 東北太平洋沿岸は今回の震災での津波による甚大な被害を受け、養殖施設にも大きな被害が出ております。養殖はいま現在育てている個体だけではなく次世代へ繋ぐための種(種苗)が重要な役割を持っています。東北太平洋沿岸ではノリ、ワカメなどの海藻類、カキ、ホタテ、アワビなどの貝類などのほかにギンザケやホヤなどの多種多様な海産物が養殖されてきました。これらの産物の多くは三陸沿岸など東北太平洋沿岸に起源を持つ種苗が代々、養殖に用いられてきました。三陸のカキやワカメ、松島のカキやノリなどは地域独自のブランドとして日本全国に流通して来ました。これは単に産地が東北というだけでは無く、味や食感など他の産地とは異なる特性を持っていたことから東北独自のブランドとして成り立っていた面があります。これは東北太平洋沿岸の環境が育んだ産物であるとともに、これら環境に適応した独自の遺伝子を有する貴重な遺伝資源であるともいえます。今回の津波被害により養殖されていた個体だけではなく養殖のおおもととなる種苗にまで影響が及んでいます。

 養殖業の復興、再開に向けて様々な取り組みがなされていますが、個々で注意していただきたいのは、安易に他の地域や、ましてや外国などから種苗を導入するべきではないということです。他地域からの種苗の導入は東北太平洋沿岸が育んだ独自の遺伝資源、独自のブランドを崩壊させてしまう可能性があるからです。最近ではホヤの種苗不足により韓国から導入した種苗を原因とする病気(被嚢(ひのう)軟化症)の発生があり、ホヤ養殖に多大な損失をもたらしました。他地域からの安易な導入は病気だけでなく、味や食感などのこれまで売り物であった東北独自の特性が失われてしまう可能性があります。これはそれぞれの地域が地域ごとに異なった遺伝的特性を有しているためで、東北沿岸とは異なった地域の環境に適応していた種苗を導入した場合、それらの種苗が有していた遺伝的特性が導入した水域に広まり、独自の遺伝子と交じり合うことにより、独自の特性が変化してしまう可能性があるためです。

 その地域の種苗を再生させることが第一です。再生しようとする地域の遺伝的特性を把握し他の特性とともにその地域のものを選び、種苗生産を行う必要があります。一報、他地域から導入しなければならなくなった場合、病気がないことはもちろん遺伝的特性やその他の性質がもともとの地域の特性と似ているものを選ぶ必要があります。

 これまでに我々の研究室ではDNAをはじめとする遺伝マーカーを用いて魚介類の地域の遺伝的特性やそれぞれの特性の遺伝支配、新たな品種開発のための手法開発の研究を行ってきました。これまでの研究で培った経験や知識は養殖業の復興にお役に立てると考えております。また、お役に立てることを希望しております。気軽にお声掛けいただければ幸です。

海洋生命遺伝情報システム学 中嶋 正道

 

2011年4月16日寄稿 東日本震災後における人および動物における土壌由来の細菌感染症のリスク

 東日本震災後における人および動物における土壌由来の細菌感染症のリスク

1.はじめに

 

東日本大震災の復旧作業が急ピッチで行われている。復興計画の検討が様々の領域から開始された。東北大学農学研究科は、その叡智を結集し、「安全安心で持続可能な食の確立」、「農林水畜産業の復興」、「農・漁村の再興」に関する多面的な支援を行うためのプロジェクトを立ち上げている。何をなすべきか?何ができるのか?答えを探すために仙台市沿岸部での被害状況を知る必要があると考え、現場を視察した。がれきと何もなくなった地帯を目の当たりにした(写真)。ここでは、中長期的な展望を記載する前に、復旧作業や震災に伴う傷口からの人獣共通感染症のリスクおよび予防について述べたい。

 

2.土壌由来の人獣共通感染症

土壌由来の人獣共通感染症としてあげられるのは、偏性嫌気性細菌(酸素存在下で死滅する細菌)として様々のクロストリジウム属の細菌があげられる。典型的な土壌菌で、環境中に芽胞として長期間生存し続ける。芽胞は細菌にとって生存条件の悪い時に生きぬくための耐久型スタイルで、熱(100度Cでも死なない)・放射線・消毒剤などにも抵抗性を示す。芽胞が生体内に侵入すると、発芽し、栄養型となって増殖する。強力な毒素を産生し、人や動物を死に至らしめることがある。

クロストリジウム・テタニーは破傷風の原因細菌であり、皮膚の傷口から感染する。破傷風の発症には、芽胞が酸素の利用ができない組織に深く到達した場合にリスクが高まる。がれきのとげや釘が深く刺さった場合は注意が必要である。破傷風は強力な毒素をもち、4-10日の潜伏期の後、筋肉のこわばりから始まり、後弓反張(イナバウアーのような症状)、握りしめられた拳、牙関緊急(顎のこわばり、開口困難)などの兆候をもたらす。末期症状での痙攣は骨折を引き起こすほど激しい場合もあり、結果として呼吸筋麻痺によって死亡する。日本では破傷風予防のためのワクチンが国民に接種されている。そのため、発症はほとんどなかった。ワクチン効果が低下している場合に発症リスクがある。芽胞はあらゆる土壌に認めら、とりわけ肥料によって肥沃な土地ほどよく検出できる。

ボツリヌス菌(クロストリジウム・ボツリナム)はもっとも強力な毒素(ボツリヌス毒素)を持つクロストリジウム属の細菌である。一般的に食中毒の細菌として知られているが、土壌由来であり、深い傷からの感染例が報告されている。傷をおってから、約1週間で毒素は神経と筋接合部にたどり着き、進行性の麻痺を起こす。最終的には呼吸筋麻痺によって死亡する。

創傷感染症として、その他のクロストリジウム属の細菌としてはウエルシュ菌、クロストリジウム・ノービー、クロストリジウム・ゼプティカムなどガス壊疽の原因細菌があげられる。ウエルシュ菌は最も多く、広く土壌に分布する。創傷が浅い場合は消毒のみで治癒するが、菌が深部に到達し増殖すると蜂巣炎が起こる。重症例では四肢の高位切断を要する場合がある。

好気性細菌としては炭疽菌が知られている。本菌は典型的な土壌菌で、環境中に芽胞として長期間生存し続ける。芽胞が生体内に侵入すると、発芽し、栄養型となって増殖する。強力な毒素として浮腫因子と致死因子をもち、ときに人や動物を死に至らしめる。炭疽という名前は感染死した動物から黒く粘ばりのある血液が流れ出るためについたものである。ウシをはじめとする草食動物は感受性が高く、豚、犬、人は比較的抵抗性である。日本に常在している細菌であるが、近年の感染例はきわめて稀である。

3.がれき撤去時等における土壌由来の嫌気性細菌感染症-破傷風の報告

河北新報社のニュース記事(4月13日)を以下に抜粋する。「震災で被災した宮城県内沿岸部で破傷風の発生が相次ぎ、県は12日、がれきの撤去作業時の負傷で感染する恐れがあるとして、各市町村や保健所を通じ注意を呼び掛けた。県と仙台市によると同日現在、発症が確認されたのは仙台、石巻、塩釜、岩沼各市の計5人。筋肉がこわばって口を開けにくくなったり、しゃべりづらくなったりといった症状を訴えた。いずれも津波で被災した際の負傷が原因とみられる。破傷風は、土の中にある破傷風菌が傷口から侵入して感染。発症するまで3日から3週間かかるとされる。あごのこわばりが特徴的な症状で、進行すると呼吸困難に陥ることもあるという。被災地では、くぎやとげの出ている廃材などに触れ、けがをした際の感染が懸念されている。」

4.がれき撤去時の感染症予防

怪我防止のためには素肌を出さない服装と丈夫な手袋、長靴を身に着けることが必要である。手袋としては軍手ではなく、作業用手袋もしくは皮手袋のうえに炊事用手袋をするなどが望ましい。長靴についても通常の長靴を使用する場合、釘などが貫通する場合がある。汚水が靴内に侵入したとき、足になんらかの傷口がある場合には注意が必要となる。小さな傷だからと安心せずに、けが防止だけでなく感染予防に努めることが大事である。作業後は手洗い、消毒を行う。作業中に深い刺傷(とげのような場合でも)を受けた時は、傷口を開放し、よく洗い、消毒する。なお、過去にワクチン未接種の場合やハイリスク作業を行う場合、破傷風感染予防のワクチンを病院で受けることができる。

津波で生還した動物において、傷口からの感染のリスクがある。よく消毒を行い、感染・発症を未然に防ぐことが重要である。

5.冠水地域におこる感染症-カトリーナから学ぶべきこと

傷口からの感染以外にも感染症のリスクはある。冠水したときにどのような感染症が起こるかの参考事例として、USでのハリケーン・カトリーナ被害があげられる。ハリケーン・カトリーナ災害は2005年8月にフロリダ南部に上陸し、死者1695人を出した災害である。ニューオリンズの堤防決壊後、都市機能は完全に崩壊した。汚染氾濫水からの感染症発生リスクの警告が出されたが、Vibrio vulnificus 感染症、ノロウイルス下痢症流行(1,165人発症/6,500人避難民)などの感染症が起こった。冠水した家屋では数カ月後で高濃度のカビ胞子検出-生活住居不適切(たとえば、645000/m3)となっている。冠水地帯の水は基準をうわまわる大腸菌や重金属汚染があったという。未曾有の災害に際しては、様々の感染症のリスクがあるといってよい。どのような疾病が起こりうるかを知り、なんらかの症状を有する患者(動物も含めて)が出た場合の早期対策、感染・発症を未然に防ぐための努力が必要とされる。

 

動物微生物分野 磯貝恵美子

 


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2011年4月12日寄稿 2011年3月25日 仙台市南東部における津波被災農地の視察

2011325 仙台市南東部における津波被災農地の視察

 

 仙台市の案内で表記視察の機会を得た。その概況は以下のようであった。

 

視察経路

 高砂南部排水機場園芸センター南側荒井地下鉄駅予定地脇東部道路下通過周囲には黒泥土に似た土が路肩等に10cm程度堆積大堀排水機場荒浜集落荒浜集落南端農地(土壌サンプリング)

 

視察地域の概要

 当地域は七北田川と名取川の間にあり、津波は海岸から約4km内陸に及んだ。被災農地面積は水田を中心に1800ha以上とされる。この地帯の主な土壌は、灰色低地土、グライ低地土、黒泥土、褐色低地土(土壌名は現行の農耕地土壌分類に読み替え)である(経済企画庁, 1967)。特に、グライ低地土、黒泥土は排水不良地に分布する。当津波被災農地は海抜数m以下で、4つの排水機場が設置されている。これらの排水機場は津波で破壊されたが、応急ポンプで排水した結果、1週間前に比べて排水が大きく進んだとのことであった。道路脇の排水路では建物破砕物の掃除が進みつつあり、排水路の水位は田面より2030cm下に下がり、排水路は機能しつつあった。

 

水田の状況

 被覆物の状態と作土の管理から次の区分が可能と見られた。

 被覆物の状態:

(1)建物破砕物が多い、

(2)粗砂の被覆物(畦や農道が高まりとして認められる)、

(3)黒泥に類似の被覆物(荒井と大堀の間)、

(4)被覆物が少ない(耕起前なら稲株が根元から露出)、などである。

 この他、面積はわずかだが丸い陥没様カ所が所々にあり、水位が田面より2030cm低い水たまりとなっていた。

 作土の管理:

(a)耕起前、

(b)耕起済み。



 

荒浜集落南側における農地土壌のサンプリング
 当津波被災農地(海岸からの距離約800m)には水たまりが散在していた。
この地域の被覆物は砂で、
農道や畦の近くに多く、農道等から離れると少ない

傾向にあった。A地点はスコップで砂の被覆物を掘ると水がすぐ湧き、砂が崩れた。
砂に稲ワラのよう
なものが混入し、耕起された水田の可能性があり、

上記区分で表現すると(2)(b)の状態と推察した。

B地点も砂の被覆物はやや厚く、掘っても水は出なかったが、土は黄色部と褐色部が混合し、水田ではないと見られた。 Bと道路の間にはビニルハウスの鉄骨が倒れ、さらに道路の近くには葉菜があり、薄く砂が堆積していた。C地点は水田であり、稲株が根元から見え、立っていた。株間には稲の上根が一部露出し、表層02cmは津波ではぎ取られ、そこに2 cm程度の砂が堆積したと推察した(下の写真)。この地点では津波による侵食が必ずしも激しくない。上記区分で(4)(a)の状態である。

 

C地点の土壌断面。赤い部分はジピリジル反応の結果で、Fe(II)の存在を示す。

 

土壌の断面形態

 上記のように、この地点の稲株が立ったまま残っており、作土に対する津波の大きな影響は上部23cmである。その部分は粗砂とその上のごく薄い細粒物質である。粗砂の下には作土が保存されていた。鋤床層は青灰色でジピリジル反応が++であり、その保存状態は良いとみられた。土壌断面の概要については上の写真と表1の備考欄に示した。塩分が土壌のどの深さまで及んでいるかを判定することは、修復技術策定の参考になる。

 

土壌の分析値

 当地点の0-2cmは津波による被覆物で、1:5水抽出液の電気伝導度(EC)と陽イオン濃度が高く(表1)、海水の影響が強かった。これに対して4-13cmの作土は、海水の影響を受けているが、ECと陽イオン濃度が急減し、影響の度合は大きくなかった。

 




 

 粗砂の被覆物(0-2cm)自体の電気伝導度(EC)は海水の約1/10程度であった。この値は乾土相当での1:5水抽出液の値で、被覆物の含水比が0.52であったことを考慮すると被覆物に含まれていた水が 10倍希釈で測定されているので、被覆物に含まれる水の塩分は海水と同程度と見られる。Na, K, Mg濃度も同様であった。これに対して、Ca濃度は海水より高かった。これは津波の往復または海水の停滞に伴い、作土が混入または作土から溶出したものと考えられる。

 作土のECは被覆物の1/8以下、Na濃度は1/10以下であった。このように耕起前の稲株の立っている水田では作土への海水の影響があまり大きくなかった。1:5水抽出液を遠心分離で除去した後に測定した作土の1M酢酸アンモニウム抽出陽イオン(交換性陽イオン)の組成もCa主体の状態を保っていた(表2)。

 鋤床層、下層になるにつれて海水の影響はさらに弱かった。この地点は低地にあり、鋤床層は還元状態で、透水性が低いことを示している。これらが下方向への水の浸透を制限したためと考えられる。

 この地点のサンプリング時点における津波の影響と除塩対策の概要を下図にまとめた。海水は作土に影響したが、それは被覆物に比べて小さかった。

 

 

  なお、上記は325日午後に採取した試料の結果である。塩分の濃度は気象条件や排水条件等の影響を受けて変化する可能性がある。

 津波直後の海水による影響が土壌のごく表層に留まる事例は200412月のインド洋津波でもタイの樹園地土壌で認められた(中矢他 2005; Nakaya et al. 2010)。そして、その塩分の大部分は次の雨期に溶脱し、油ヤシとキュウリはほぼ正常に生育した(Nakaya et al. 2010)。ランブータンは津波被災後に枯れる中で、ゴムの木は樹勢と樹液の質が低下する程度であったが、その塩害の影響は雨期後も残った(Nakaya et al. 2010)。インド南東部海岸(Kume et al. 2009Chandarasekharan et al. 2008)、アンダマン島南部(Raja et al. 2009)でも雨期を経た翌年には多くの地点で土壌の塩濃度が大きく低下したが、地下水の塩濃度は高かった(Chandarasekharan et al. 2008)。アチェ(インドネシア)の津波後の土壌中における塩分の挙動は様々で、透水性の低い水田では相対的に塩分が抜けにくい傾向であった(MacLeod et al. 2010)。津波被災土壌で栽培した稲の耐塩性品種は対照品種より収量が高かった(Reichenauer et al. 2009)。

 インド洋津波でも砂質の被覆物が広く認められた(Bahlbung and Weiss 2007Srisutam et al. 2010)。その砂は海岸から津波で侵食・運搬され、陸側に堆積したとされる(Srisutam et al. 2010)。

 

過剰な塩分の除去

 低地土壌に対する海水の影響は、土壌水中の塩濃度上昇、交換性Naの増加、粘土の分散性増加、単粒化と乾燥時の固化などである。海水の主な塩分である塩化ナトリウムは土壌に強く吸着せず、土壌水に溶けている部分はかんがい水で洗い流すことができる。但し、土壌のイオン交換基に保持されたナトリウムイオン(交換性Na)は、かんがい水で洗っただけでは除去されにくい。

 高潮等による海水流入、潮風害に関する塩害対策及び干拓地の除塩過程とその研究成果は、各方面からウェブサイト、新聞を含め多数示されている(例えば、米田,1958a,b,c;三宅 1988,1991; 佐藤 1990;福島県 2004;熊本県農業研究センター 2001;熊本県農政部 2001;木田他 2007a,b; 中田 2011,他)。それらによれば土壌の除塩方法には、海水があれば排水し、被覆物が厚ければ除去し、溝切り湛水排水、湛水暗渠排水、湛水代掻き排水、などがあり、圃場の諸条件に合わせて効果的な方法を選択する必要がある。

 移植時の稲苗は耐塩性が強くなく、土壌懸濁液のEC値は苗の移植後数日間後以降も葉が巻かない程度(概ね0.5 dS m-1前後,報告により幅がある)以下になれば生育可と見られる。しかし、土壌中に塩濃度の高い部位が残ることもあり、注意を要する。

 

当地点(耕起前)の土壌修復の可能性

 当地点は排水不良と見られ、暗渠が機能しなければ、表面から塩分を除去する必要がある。

(1) 外来の被覆物(塩分濃度が高い)→多い場合は機械で除去する。

(2) 土壌表面に停滞した海水 →溝切り等明渠により排水する。

(3) 作土 →溝切り湛水排水により表面を洗浄する。排水能力によるが、可能ならこの段階までを速く行うことが望ましい。その後、排水が機能し、続けて潅漑水が使えれば、湛水浅く代掻き—排水、などを必要に応じて繰り返し、ECを下げる。

(4) 交換性Na →作土では増加がわずかである。かんがい水は普通 CaNaより多く、次第に交換性 Naが減少することが期待される。積極的に交換性Naを除去するには、除塩後、石灰資材を施与し(三宅他 1988)、湛水-代掻き排水を繰り返すなどの対策が考えられる。石膏を使う場合、作土の鉄含量が少なければ、イオウが過剰にならないよう注意を要する。

(5) 陥没様カ所 →土木的に修復し、農業機械が通れるよう硬盤を作る必要がある。

 

耕起済みの水田

 作土全体が表1,2の被覆物(0-2cm)の状態に近いと推察する。耕起前の場合は作土上部までの対策[(1)-(3)]で十分な可能性があるが、耕起済みの水田ではその対策を作土全体に施す必要がある。場所によっては作土全体が砂と混合またはほとんど砂と置き換わった可能性も考えられる。だが、耕起済み水田でも鋤床層には海水の影響があまり大きくない可能性もある。被覆物が厚ければ除去し、暗渠が機能する場合には溝切り湛水排水により表面を洗浄後、湛水暗渠排水により下層方向への除塩(熊本県農業研究センター 2001)が有効とされる。

 

おわりに

 津波被災農地の水田には上記のような多様性がある。その中で、耕起前の水田は耕起済みの水田より海水の浸透が浅い可能性がある。このような多様性に対応しながら速い回復を実現するには一筆ごとの判定が必要になる。大津波は数十年以上の長い周期で繰り返されており、津波の土壌影響に関するさらに充実した調査と記録は今後の土壌修復に役立つ。インド洋津波の土壌影響に関する論文はその後数年かけて出されている。

 上記の対策はかんがい水を充分に使える場合を想定している。しかし、当津波被災農地では、排水機場の機能が回復しなければ、多量のかんがい水は使えない。49日の報道では津波被災水田に2011年の作付けは行わない方向であった。その一方、年間1500mm程度の降水がある。可能なら、砂の被覆物が多いところは梅雨入り前に砂を除去し、除塩溝を櫛状に入れる(米田 1958c)など、雨水による除塩促進が望まれる。豪雨時の排水や排水路に対する砂の流出にも留意を要する。

 今回の視察の機会を頂いた仙台市に謝意を表する。

 

文献

 Bahlbung, H., and Weiss, R.: Sedimentology of the December 26, 2004, Sumatra tsunami deposits in eastern India (Tamil Nadu) and Kenya, International Journal of Earth Science 96, 1195-1209 (2007)

Chandarasekharan, H. Sarangi, A, Nagarajan, M. Singh, V.P., Rao, D.U.M., Stalin, P., Natarajan, K., Chandrasekaran, B., and Anbazhagan, S.: Variability of soil-water quality due to Tsunami-2004 in the coastal belt of Nagapattinam district, Tamilhadu, Journal of Environmental Management 89: 63-72 (2008)

福島県:塩害、平成16年度福島県稲作・畑作指針、p.217-2192004

木田義信・佐々木園子・佐藤正一:土壌塩分が水稲苗の活着に及ぼす影響, 東北農業研究, 60, 35-36(2007b)

木田義信・佐藤正一・佐藤紀男:福島県南相馬市北海老地区の高潮流入による塩害の実態 第1報 高潮流入後の土壌塩分の推移, 東北農業研究, 60, 33-34 (2007a)

経済企画庁:土地分類基本調査図(国土調査)第72号(1967

熊本県農政部:平成11924日の台風18号による農作物等被害状況及び対策、130pp.(2001)

熊本県農業研究センター:平成11年台風18号塩害対策試験成績書, 81pp.(2001)

Kume, T., Umetsu, C., and Palanisami K.: Impact of the December 2004 tsunami on soil, groundwater and vegetation in the Nagapattinam district, India, Journal of Environmental Management, 90: 3147-3154 (2009)

McLeod MK, Slavich PG, Irhas Y. Moore N, Rachman A, Ali N, Iskandar T, Hunt C, Caniago C: Soil salinity in Aceh after the December 2004 Indian Ocean tsunami, Agricultural Water Management 97, 605-613 (2010)

三宅靖人:塩害地水田土壌の除塩に及ぼすかんがい水の効果, 岡山大農場報告, 1314, 1-2(1991)

三宅靖人・下瀬 昇・河内知道:笠岡湾干拓地畑土壌に対する土壌改良資材の除塩効果, 岡山大農学報, 72, 77-87(1988)

中田 均:海水の浸水被害を受けた水田土壌の塩類滞留実態と水洗浄による除塩対策のモデル的解析, 富山県農総研研報, 2, 27-37(2011)

中矢哲郎・丹治 肇・桐 博英:インド洋津波によるタイ南部塩害農地の現地調査, 農業土木学会全国大会講演要旨集, pp.618-619 (2005)

Nakaya, T., Tanji, H., Kiri, H., and Hamada, H.: Developing a salt-removal plan to remedy Tsunami-caused salinity damage to farmlands: Case study for an area in Southern Thailand, JARQ, 44, 159-165 (2010)

Raja, R., Chaudhuri, S.G, Ravisankar, N., Swarnam, T.P., Jayakumar, V., and Srivastava, R.C.: Salinity status of tsunami-affected soil and water resources of South Andaman, India, Research Communications, 96: 152-156 (2009)

Reichenauer, T.G., Panamulla, S., Subasinghe, S. and Wimmer, B.: Soil amendments and cultivar selection can improve rice yield in salt-influenced (tsunami-affected) paddy field in Sri Lanka, Environ Geochemistry and Health, 31, 573-579 (2009)

佐藤 敦:八郎潟干拓地の土壌と農業,粘土科学,30,115-125(1990)

仙台市経済局農林土木課整備係、株式会社秋元技術コンサルタンツ: 東北地方太平洋沖地震津波被災地域図(2011)

Srisutam C and Wagner J.-F.: Tsunami sediment characteristics at the Thai Andaman Coast, Pure Appl. Geophys. 167, 215-232 (2010)

米田茂男:塩害と土壌[1],農園,33, 1028-1032 (1958a)

米田茂男:塩害と土壌[2],農園,33, 1077-1080 (1958b)

米田茂男:塩害と土壌[3],農園,33, 1338-1342 (1958c)

 

 土壌立地学分野 南條 正巳

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2011年4月12日寄稿 農林水産復興モデル研究農場の設立を 

農林水産復興モデル研究農場の設立を      

 

 東日本大震災の復旧・復興計画の検討が開始され始めた。宮城県は10日、震災復興基本方針(素案)を固め、10年間を目途に復興モデルの構築を目指している。農業に関しては、震災前の土地利用や営農計画を見直し、稲作から施設園芸への転換や畜産の生産拡大を打ち出している。11日には政府は「復興構想会議」の新設を決め、菅首相は、「この復興は単に前に戻すのではなく、新たな未来に向かってのスタートと位置付けたい」と表明している。今回の震災の特徴は、ライフラインの完全途絶に加え、農業関連としては、肥料工場、飼料工場、牛乳加工施設、食肉処理施設等の大規模な損壊であった。水、電気、燃料、肥料、餌、出荷先を全て外部化することで短期的な合理性を追求することが、農業を含む今日の産業の特徴であるが、それが災害に対する脆弱性をもたらしたことも否めない。従って復興のコンセプトは、より長期的なリスクに対応できる合理性を持ったシステムの構築であり、それは地域閉鎖型産業の構築にあると言える。

地域閉鎖型農業は、これまでもマイナーに指向されてきており、それらはパーマカルチャーや有機農業として展開されてきた。パーマカルチャーとは、永久農業とか永久文化という豪州のB. Mollisonの造語で、植物、動物、建物、及び生産基盤を生態学的並びに経済的に合理的に配置し、それぞれの機能を組み合わせることで、有機的に連携させるリサイクル生産システムである。一方、有機農業の目的は、土壌、植物、動物、そして人間からなる相互依存共同体の健全性と生産性を最適化することで、技術的には、①農業システム外からのインプットの最小化、②化学的資材の使用制限、③家畜福祉の保障、④生産環境への非汚染性と生物多様性の助長からなる。いずれも、生態学的発想の重視である。

我が国では、農業、畜産、林業、水産業を有機的に連携させた生産システムを構築した経験はない。しかし世界には、スイスのFiBL(有機農業研究所)や英国Oxford大学農場のFAI(Food Animal Initiative)といった総合的で大規模な研究所があり、さらに英国には800haにもなるシープドローブ有機農場や540haからなるイーストブルック有機農場などの商業的な閉鎖型農場も存在する。さらに本HP上で見る通り、農学研究科の各教員が提言する農業、林業、水産業に関する被災地修復技術がある。これらの個別技術を世界で展開されているような生態系重視農場として統合・実践することで、日本型の本格的な地域循環型食糧生産システムを提案する研究農場の設立が期待されていると言える。

陸圏生態学分野・家畜福祉学寄附講座 佐藤 衆介

 

2011年4月7日寄稿 水産業の復興支援策

水産業の復興支援策

 震災後も高い再生産力が維持されると想定される沿岸生態系の変化を漁業生産に有効に結びつける方策とそれを支える水産遺伝学的な配慮、および養殖・漁業生産システムを構築する3つの柱で水産業の復興を導く。

 なお、東北太平洋岸の集落では住民・漁民の生産活動の基盤が壊滅的であること、また沿岸域も廃材等の堆積や地形・地質の大きな変化によって、提案内容が具体化できる地域・海域は極めて限定的であると思われる。しかし、その限られた地域・海域から芽吹く復興の輪が広がっていくことを期待するものである。

 

1. 震災が沿岸生態系におよぼす影響と漁業の復興策

 1-1. 沿岸岩礁域 海藻群落の形成による植食動物の増殖(エゾアワビ、キタムラサキウニ)(吾妻)

 沿岸岩礁域においては、地盤沈下によって潮間帯が新たに創出されて生物群集が形成される。また、北海道南西沖地震による津波被害でみとめられたように、ウニ・アワビの大量死亡が想定される。さらに、海底の攪乱によって新規の着生面が創出されて海藻が入植し、陸上由来の海水中の懸濁粒子あるいは堆積粒子の影響がない場所では、海中林とよばれる大形褐藻群落の形成にいたると考えられる。海中林構成海藻は海況条件によって左右されてアラメなどのコンブ目あるいはホンダワラの仲間のヒバマタ目にいたる。形成した海中林が維持しうるエゾアワビやキタムラサキニの種苗を移植して漁業の復興を図る。

 

 1-2. 河口域、干潟域、砂浜浅海域 稚貝の着底場の特定と保護(アサリ、ヤマトシジミ、ホッキガイ、コタマガイ、アカガイ)(片山)

 仙台湾には、中規模の河川が多く流れこみ、その河口域・干潟域ではアサリやヤマトシジミが生息している。また砂浜浅海域ではホッキガイ、コタマガイ、アカガイ等の漁場が形成されている。海底地形や地質の変化を伴うような大きな撹乱は、その生物相を一変させるとともに、新たな低次生産者(底性珪藻や海藻類)の繁茂が可能となる。二次生産者(底性珪藻を摂食する潜砂性二枚貝や植食動物)はその生活基盤の消失から一時的に減少するものの、同時に高次生産者(肉食性動物・魚類)も一時的に減少するため、着底・加入した個体を保護(もしくは種苗放流)すれば、生産量が高くなった一次生産を有効利用できるものと考えられる。したがって、潜砂性二枚貝については、限られた面積であろう稚貝の着底場を特定し、その場を保護することによって年級豊度を確保し、その後の漁業生産を回復させることを目指す。

 

 1-3. 生態系モニタリング(大越)

震災により大規模な攪乱が生じた後には、その海域の構造が壊れ、本来持っていたさまざまな機能を失い不安定な環境になっている。海洋の生態系をモニタリングすることにより、生態系の変遷を理解し、回復の度合いに応じた柔軟な水産業の対応策を講じることが可能になる。このことは、健全な海洋環境下での持続可能な水産業の構築を目指すものである。

 

2.水産遺伝学に関連した研究領域からの提言(池田)

2-. 移殖導入に際してのガイドライン策定(保全遺伝学的立場から)

壊滅あるいはほぼ壊滅 状態にある養殖施設の復興策として有効と考えられるオプションの一つに域外からの移植導入が挙げられる。しかし、移殖が成功するか否かは、種苗が持つ環境適応力にかかっている。そのような観点に基づけば、移殖種苗は、当該海域に生息していた従来の個体群と同等の遺伝的特性を持っていることが望ましい。このことは同時に生物多様性の復元にも貢献することになる。DNAマーカーを利用して、高い定着可能性と生物多様性の復元を同時に満たすような導入種苗の選定を行いたい。

 

2-2. 種苗放流の成功度を評価するためのDNAトレーサビリティ

移殖も含めた人工種苗の放流は、津波によって減少した水産資源を補填する上で有効な手法の一つである。一方で、魚種によってはその効果が疑問視あるいはゼロとされているケースもあり、そのような場合には別の方策を考えなければならない。したがって、適切な手法により放流効果を評価し、放流の継続と中止の意思決定に関して客観的な科学的根拠を提示する必要がある。DNA多型を標識とし、複数世代にわたって放流効果を評価できるトレーシングシステムの構築に貢献したい。

 

2-3. 持続的な陸上養殖を可能にする適品種の創出

陸上養殖施設は、津波災害からの退避システムとして有効に機能する可能性がある。しかし、閉鎖的システムであるため、継代化の成功が持続的再生産のための必須課題となる。育種学的な観点による調査研究を行い、継代に耐えうる適品種の確立に貢献したい。また、このような検討が各地で行われることにより、地域ブランドの創出に貢献できる可能性もある。

 

2-4. 原子力発電所近海における生物モニタリング体制の確立

原子力発電所近では、海海水、海底土、海草、海産生物など、海洋試料の放射能分析によりモニタリングが行われてきた。しかし、対象生物のDNAに与える実際の影響については検討されてこなかった。このような検討を行う上で有効と考えられるのは、分散能力が限定され、世代交代の速い海洋生物であろう。そのような生物のDNAが原発の放射能によって大きな影響を受けているならば、原発周辺海域における個体群のDNAの変異量は、原発のない他の海域に比べて有意に高いことが予測される。そのような調査を通じて、水産生物の持続可能性に配慮した生物モニタリングの確立に貢献したい。

 

3.漁業生産システムの再構築による復興策

 3-1. 海面養殖 種苗供給システムと水産業施設の再配置(ワカメ、コンブ、マガキ、ホタテガイ)(尾定・大越)

 

3-1-1. 貝類種苗生産拠点づくり

 東北地方太平洋沿岸における養殖漁業の再生・復興には、その主要生産物であるホタテガイやマガキなどの二枚貝類の生産基盤の再生が急務である。養殖漁業に再度取り組むことを考えている漁業者は、津波被害を受けていない域外からの生産種苗確保や移植を考えている。しかし、その後の継続的な人工・天然採苗を得るシステムを維持し、また、外来生物による攪乱のリスクや疾病の危険性を回避するために、海域毎の種苗生産体制を構築して水産業復興を支援する。

1) 域外からの種苗導入を行う際のガイドライン作成、警戒すべき外来生物・疾病情報の提供、病原生物検査手法の提供。

2) 域内における安全かつ安定的な人工種苗供給システムの構築(但し、完全な人工種苗へ移行するのではなく、養殖母貝数の増加にともなう従来型の天然採苗との並立型を目指す)

 

 

3-1-2. 養殖・漁獲生産体系・加工体制を見直した新たな漁村復興

日本における水産養殖業は、各漁業者個人の漁業権に基づいた家族経営によって成り立っているが、復興に向けては、養殖業の集約化・効率化を目指した生産体系の見直しは必須である。同時に、沖合遠洋大型漁船の水揚げを促すことによって地域水産業全体を復興させることも重要である。そこで、漁村復興にあたり適切なモデル地区を設定し、以下のように生産体系を効率的集約化させた新たな漁村復興を目指す。

1) 各漁業者単位の経営ではなく、生産共同企業体経営により集約的な生産を行う。同時にコスト削減と品質向上により国際競争力を強める。

2) 漁業権行使の特例と生産共同体の実現を可能にする特区認定を求める。

3) 冷凍倉庫などの基盤を集約的に整備した沖合遠洋漁業の水揚げ拠点形成。

4) 養殖・漁獲生産から加工まで一体化した生産ラインを整備し、魅力的な漁業基地および雇用の創出と安定化を目指す。

 

 3-2.海面漁業 増加傾向にある浮魚資源を対象とした定置網等漁業の再配置(マイワシ、暖水性魚類)(片山)

 三陸から東北常盤の海域は、仙台湾および三陸東北の太平洋側の海域では、北海道の沿岸沿いに南下し東に流れる親潮と、房総沖を北上し東に流れる黒潮が複雑に分布する混合域と呼ばれている。混合域には多獲性浮魚が来遊し、高い漁業生産を支える漁場が形成されている。その一部は極沿岸域にも来遊し、定置網等の漁業によって漁獲されている。

 我が国の定置網の漁獲量は、他の沿岸漁業種に比べて安定しており、しかも近年は暖水性の魚類の増加が、定置網による漁獲量を底上げしている。また数十年スケールで増減を繰り返し、資源量の低位水準が続いていたマイワシが増加傾向に転じており、東北海域においても漁獲量の増加が期待できる。

 定置網は定置漁業権の対象であり新規参入が難しい漁業であるが、地域関係者の合意および知事認可を経て、今後増加が期待できる上記のような魚種を対象とした小中型定置網を、可能な海域に配置して、沿岸漁業ならびに漁村の再興を目指す。

 

情報:放射性核種(セシウム)の土壌-作物(特に水稲)系での動きに関する基礎的知見 (外部リンク)

社団法人日本土壌肥料学会HP (http://jssspn.jp/info/secretariat/post-15.html

2011年4月6日寄稿 地元産材利用による震災復興と森林のランドスケープデザイン 

地元産材利用による震災復興と森林のランドスケープデザイン  

      

 

1. 地場産業の整備と持続的森林管理 

 

  特に岩手・宮城・福島では震災復興のための仮設住宅をはじめとする建築用材

の需要が高まっています。緊急にかつ大量の資材を必要とするため、被災地周辺や県産材だけではとうていまかないきれないので、当面は全国的な助けを借りて応急的な措置が必要でしょう。しかし、長期的に見れば、被災者の住居建設のためにも地場産材を使うシステムを早急に作る必要があります。そのためにはスギ人工林を主とした強度間伐や主伐による大量の木材供給が必要であり、林道網の整備や高性能機械の投入が効果的でしょう。東北地方で伝統的に行われて来た馬搬も有効でしょう。さらに製材・乾燥・住宅建築など一連の工程を地元で行うには地元の木材業者や建築業者の施設整備が緊急になされる必要があります。これらへの公的資金の援助によって地元雇用が増え、自助努力を主とした復興が順調に進むと考えられます。

 このような森林への大きな投資は、間伐遅れの解消、林道網の整備、地元製材業の基盤強化などを通じて将来の林業生産の体質強化に繋がると考えられます。しかし強度間伐や皆伐によって一時的に大きく減少した蓄積をどう回復させるか。また、強度間伐後に侵入する広葉樹にどう対処し、どのような林型を目指すかは、長い将来を見越したビジョンが必要です。例えば、地利・地位も良い一等地では再造林を行い木材生産林の保続をはかる。一方、急傾斜地や尾根・水辺では、水源涵養機能・土壌保持機能などを高めると同時に木材生産の持続性を図るため、ある程度広葉樹との混交を図る。といった長期的視野に立った将来構想が必要です。多様な広葉樹との混交はさらに多様なキノコ生産や広葉樹の無垢材生産による経済効果ももたらします。生物多様性に富んだ森林を創出していくことが今や世界的な潮流であり、それが持続的な物質生産を保証していることが明らかになりつつあります。個々の自然条件・経済的および社会的条件によっても森林の目標林型は異なりますが、個々の森林所有者が最適な目標林型を選ぶ際に判断材料となる科学的知見を、我々は様々な見地から提供する事で長期的な復興(森林管理)にお手伝いできればと考えております。 

 

2. 災害に強い森林のランドスケープデザイン

 

  陸前高田の松林が崩壊し防潮林は津波に対しなんら効果が無いのではと言われています。しかし、女川では、海から100mも離れていない所で、太いケヤキが根返りもせず複数個体立っていました。津波に抵抗力のある樹種が存在する事を示唆しています。他の樹種についても立木の調査を始めたいと考えています。しかし、津波への抵抗力をもつ樹種が明らかになり、それらで林帯を造成したとしても津波を抑制する効果がどれ位あるのかはシミュレーションによる推定しかないと考えられます。いずれにしても、海沿いの低地に、例えばケヤキ並木などの大規模な緑地帯をつくれば景観も良くなるし木材生産も期待でき、観光と木材生産業の振興にも繋がります。幾分の津波抑制効果もあれば、多面的な用途が期待できるかもしれません。

 また、比較的高所の山林を切り開いて宅地造成する場合、森林と居住場所の配置をどのようにするのかといったランドスケープデザインは、地すべりや土石流などに会わないようにするといった防災上重要です。同時に、森林がもつ水源涵養機能・水質浄化機能を十分に利用した方が得策であり、また情緒的な安心感をもたらす景観の創出も既存の森林との配置を適正にすることによって生み出されると考えられます。このような森林のもつ様々な生態系機能についての科学的な知見から、居住空間をプランニングする際にお手伝いできるものと考えております。

 林業経営や森林の取り扱いにはさらに多くの専門性の高い情報が必要です。したがって、我々の研究室のみならず東北地区の他大学・国公立の研究機関や行政機関とも緊密に連絡を取り合って情報を提供し、復興のお手伝いをしたいと考えております

 

 

生物共生科学分野 清和 研二

2011年4月4日寄稿 植物遺伝育種学分野からの緊急提言(塩害対策)

植物遺伝育種学分野からの緊急提言(塩害対策)

 

<氏名、分野名>

北柴大泰、西尾剛 (植物遺伝育種学分野)

<キーワード>

塩害、植物による環境浄化、植物遺伝資源提供

 

<支援内容>

今回の震災では津波による被害地が多く、仙台市近辺においては若林区、名取、多賀城の田畑が壊滅的な被害を受けた。これらの土地の改良・ 復旧を進めて行く上で考慮すべき問題の一つに塩害がある。田んぼでは淡水による灌漑・排水によって年々土壌中の塩を取り除くことが出来る が、畑地は長い期間塩の影響を受けると想定される。当研究室で対象としているアブラナ科植物は起源が地中海地域であるため、乾燥や塩等の環境ストレスに比較的に強い植物である(1,2)。栽培されているアブラナ科植物の中でもB. junceaは一般的に比較的塩ストレスに強く、亜鉛、カドミウムなどの重金属吸収にも優れており(3,4)、植物による環境浄化(ファイトレメディエーション)として有効な植物種である。日本ではB. juncea在来種が高菜として知られ、漬け物として食されている一方、インドでは油糧つまりナタネとしても利用されている。ハマダイコンは海岸沿いに生育するアブラナ科植物であり塩耐性が高いと考えられる。葉や根の量(マス)が一般のダイコンに比べ小さく食用としては難があるが、近年岡山県北部の浜坂町で取り組まれているように観賞用、食用として特産化を狙う動きもある(http://www.sinonsen.com/hamadaikon/hamasaka/)。我々植物遺伝育種学分野では古くからアブラナ科植物の遺伝資源を世界から広く収集・管理しており、B. junceaでは39系統を保存している(http://www.agri.tohoku.ac.jp/pbreed/Seed_Stock_DB/SeedStock-top.html)。現在までにどの系統が塩耐性に有望な系統であるかは不明であるが、種内には塩耐性の強い系統が含まれていると考えている。また、ハマダイコンについては今春にハマダイコンの自生地を訪れ採種・収集することを計画している。その他にダイコンRaphanus sativus31系統、その近縁な野生種R. raphanistrum25系統当研究室で保存している。以上のことを踏まえ、我々は農地、産地、農村復興に向けて、田畑の土地改良及び産業面でB. junceaやハマダイコンが復興の一助になると考え、そのリソース提供や共同振興の面で支援する。さらに技術・品種開発を目指し遺伝資源や収集した系統の中から耐塩性の強いものや塩吸収力の強いものを選抜し改良する基礎的な研究も平行して進める。

 

<引用>

1.Tsunoda (1980) In Brassica crops and wild allies, Japan Scientific Societies Press,Tokyo, p109-132

2.大沢孝也 園学雑30241-252

3.Rai et al. (1977) Indian J. Agric. Sci. 42, 70-73

4.寒地土木研究所月報 646:42-44 (2007)

 

 

植物遺伝育種学分野 北柴 大泰

2011年4月4日寄稿 政宗の遺産を継承して農地の復興を

政宗の遺産を継承して農地の復興を

 

3月下旬、仙台市東部沿岸の被災地帯(仙台平野東部)を視察しました。仙台市の中心部から10kmほど東に位置し、標高が0~数mの平坦な水田が広がっています。3月11日の夕刻、高さ10mに達する巨大な津波が防潮林をなぎ倒し、内陸へ数kmにわたって襲いかかりました。地震当日、テレビを通じ全国に放映された恐ろしい情景です。津波に襲われた水田には、押しつぶされた自動車、家屋の断片・家財、樹木などが無数に散在しており、かつての美田地帯の無残な姿に呆然としました。

 

この地帯だけで約2000haの農地(大部分は水田)が冠水被害を受けました。対策としては、まずはこれらの津波が運んだ無数の廃棄物の除去が先決です。泥も堆積しており、有害物質が含まれている恐れもあります。このような水田では完全復元に少なくとも2,3年は必要かもしれません。廃棄物や泥の堆積が無い農地では、塩分除去が課題となります。降雨や灌漑水によってできるだけ塩分濃度を低めることがもっとも有効な手段でしょうか。塩分がどれだけ深く浸透したかによって対策は異なるでしょうから、水田毎のきめ細かな調査が必須でしょう。

 

仙台湾に沿って「貞山堀」と呼ばれる運河が南北に走っています。仙台藩祖伊達政宗公が命じて築造されたものです。北は北上川、南は阿武隈側に連なり、幹線は約60kmにも及びますので、おそらく日本では最長の運河でしょうか。当時は御城米を江戸に運ぶためでしたが、現在では水田の排水幹線路として活躍しています。仙台平野の多くの排水路はこの貞山堀に連結して太平洋に排水されます。今回の津波により、一部崩壊したものの、主要部分は崩壊を免れて、津波が残した滞水の排水に活躍しています。400年前に築造された運河が、現在の災害からの復興に役立っているわけで、水田を含めた農地は先人の英知と汗の結晶であることを再認識しました。同時に、このような貴重な先人の遺産を継承しつつ、甚大な被害を受けた農地・農村の復興に務めるのが私達の使命との思いを強くしました。

 

作物学分野 國分 牧衛

「食・農・村の復興支援プロジェクト」を立ち上げるにあたって

「食・農・村の復興支援プロジェクト」を立ち上げるにあたって

 

 20113111446分、私がいた東京駅近くの古ビルの大会議室は船のように揺れた。震源地は宮城県沖、ワンセグの画面に押し寄せる津波が映し出された。20時間後、交通が麻痺した東京から脱出することに成功した。笹谷峠を夜中に越え、国道286号線から仙台方面を見た。真っ暗な街の上には、これまで見たことがない数の星が輝いていた。

 翌朝から、電気・水道・ガス・ガソリンがない状態で、雪の中を自転車で移動しながら、朝から晩まで大学と家の復旧のために駆け回った。周りがやや落ち着きを取り戻す中、今、自分が社会のためにできることは何なのかを考え始めた。得意とする自転車修理のボランティアでも良いのだが、農学部で学び、農学部に勤務している私がすべきことは、農業、畜産業や村の復興の手助けだと結論した。

 このことを323日に提案し、山谷知行農学研究科長主導のもとに「食・農・村の復興支援プロジェクト」が立ち上げられた。農学研究科のメンバーにメールで声を掛けたところ、翌朝までに28名の方の賛同を得た。研究室や自宅の復旧に粉骨砕身されている中での素早い反応に私は素直に感動した。

 プロジェクト立ち上げに前後して、仙台市の依頼があり、奥山恵美子仙台市長の車に同乗して南條正巳教授、國分牧衛教授と若林区の荒浜の土壌調査に行った。私がサイクリングで親しんできた美しい海辺の村落が松林と共に消え去っている光景に愕然とした。津波は村落の人々と町並みを破壊尽くしていた。翌週には、義援金を届ける在日デンマーク大使メルビン氏とともに東松島市、その翌日には農学研究科附属の女川フィールドセンターの支援のために女川町を訪れた。阿部秀保東松島市長や安住宣孝女川町長との面談の折りに復興支援プロジェクトの説明をした。多くの人が亡くなり、家々や施設が瓦礫の山と化した街の一角に立ち、現場から乖離した概念は、絵に描いた餅以上に役に立たないと強く自戒した。

 南條教授は荒浜調査から数日のうちに分析を終了した。この採材地点では土壌表面数センチを除去して、作土を水洗することにより塩害は低減できるとのデータの裏付けを持つ提言を行った。プロの研究者による素早い分析とデータの公表は、稲作農家に前向きのエネルギーを与える。農学研究科や東北大学には、様々の分野の研究者が多数いる。研究者の多彩な繋がり、共同によって、短期的な支援だけではなく、地域コミュニティや地域の風土・歴史を大切にした復興支援などの長期にわたる支援ができる。私だけではなくこのプロジェクトのメンバーたちは、復興に向けた支援を地道に長期にわたって続けて行きたいと考えている。

 

プロジェクト・リーダー 中井 裕