伊勢湾を対象とした生態系モデルの適用事例を基に、流入負荷条件の精度が内湾の水質・生態系シミュレーション結果に与える影響について研究成果が紹介された。
No | 質問 | 回答 |
1 | 河口から流量観測点までを計算領域に含めているのか? | 含めていない。流量観測点から河口境界までの負荷流入は無視したことになる。 |
2 | 植物プランクトンの群集を考慮する必要があるのではないか?それが、「河川からの無機態の栄養塩(リン、窒素の両方)の負荷を倍にしても、クロロフィルの変化ほとんどない」という結果に繋がっているのでは? | 今回紹介したシミュレーションでは、種やサイズによって植物プランクトンの分画は行っていない。 |
3 | LQ式のズレが生じる流量の生起確率は? | 具体値は不明。 |
4 | 負荷の真値が仮に既知だとすると、予測の精度はどの程度か? | 通常は真値とは程遠い推定しかできないようなデータ数しか存在しない。生態系モデルはそれなりに成熟していると思われるので、与える負荷の条件が正しければそこそこの予測は可能と考えられる。 |
5 | 底質モデルを入れないと感度解析が難しいのではないか? | 諏訪湖では下水道普及によって近年負荷が減少傾向にあるが、その一方で、土砂の流入による覆砂効果により栄養塩の溶出も抑えられているとの指摘もあり、負荷の流入による底質の変化を考慮する必要があると考えられる(司会)。 |
6 | 生態系モデルでデータ同化の実施状況は? | まだ実施していないが、今後必要な取り組みだと考えられる。 |
生物分野の素過程に関する最新の知見を反映して、最新のモデルも改良がなされているが、@具体的にパラメータをどのように設定すべきか、A現在のモデリングの枠組みで検討できることは何か、等の点が実務のレベルでは重要であり、科学的な最先端モデルと実務に供するモデルにギャップがあるのが現状である。また、実務で得られた有用な成果・知見を研究者にフィードバックする機会が少ないのも問題である。(安達)
行政対応モデルと科学的最新モデルとの間には実績等の都合上、ギャップが見られる。
環境アセスにおいて、今後より精緻なモデルを適用する必要があるが、そうするとパラメータが増加する。元々コンセプチャルなパラメータも多いので、各対象領域でパラメータのチェックを行う必要がある。