東北大学 大学院農学研究科

 酵 素 化 学 分 野 Laboratory of ENZAYMOLOGY
研究室の沿革

酵素化学講座(農産利用学講座,農産製造学講座)

 

 本講座は平成4年4月より農学部改組に伴い名称が変わり酵素化学講座として現在に至っているが,本講座の発足は昭和23年9月にさかのぼる。昭和22年4月東北帝国大学農学部創立から一年半後,昭和23年9月に設置された農産学第六講座(農産製造学)が本講座の前身といえる。昭和24年2月に麻生清が理化学研究所より初代教授として着任した。同年4月松田和雄が東京大学より助手として赴任,6月には山内文男,7月には中山悌三が技官として採用され,さらに12月には柴崎一雄が盛岡高等農林専門学校(現岩手大学農学部)より助教授として着任し,講座の陣容が整った。麻生研究室の中心課題は醸造食品中の非発酵性オリゴ糖に関する研究で,世界に先駆けて新規のグルコ二糖,コージビオース,サケビオース(英国との競争で,現在ニゲロースと命名されている)を発見し合成にも成功した。本研究により昭和34年”非発酵性糖に関する研究”として,麻生清,柴崎一雄,松田和雄が日本農学賞を受賞した。昭和27年には中山悌三が助手に昇任した。

 昭和28年3月旧制大学終了と同時に,講座名が農産利用学に改められ,同年4月,渡辺敏幸が技官に採用された。昭和30年2月 中山悌三がアサヒシードルに転出し,後任として佐藤昭雄が助手として採用された。同年4月山内文男は学部入学のため退職した。昭和33年4月佐藤昭雄は工業技術院醗酵研究所に転出し,杉沢博が後任として助手に採用された。昭和35年9月柴崎一雄は教授に昇任し,新設された食糧化学科食品保蔵学講座に移った。昭和36年2月には松田和雄が柴崎の後任として助教授に,渡辺敏幸が助手に昇任した。昭和38年1月に麻生清が残念ながら志半ばにして倒れ麻生研究室は幕をとじた。

 昭和40年4月に後任の教授として玉利勤治郎が新潟大学農学部より着任,同じ頃志田(旧姓佐々木)万理子が非常勤として研究室に加わり後技官として採用された。昭和40年から43年3月まで村上(旧姓葛巻)洋子は教授秘書(技官)として勤務し,昭和43年4月には後任として横尾(旧姓大村)洋子が採用され現在に至っている。昭和43年9月に加治順が農薬化学講座から助手で転入した。

 玉利研究室の研究課題は稲イモチ菌を中心とした,毒素,酵素そして細胞壁の構造と機能の研究が主なもので,一方では麻生研究室時代からの糖質の研究も継承された。昭和45年9月杉沢博は香川大学に教授として転出した。昭和49年3月玉利は定年により退官した。

 昭和49年9月松田和雄が後任として教授に昇進した。昭和50年4月には加治順が岩手県立盛岡短期大学助教授として転出し,後任として中島佑が同年7月に助手に採用された。昭和51年4月には小林幹彦が助手に採用され,松田研究室は教授1,助手3,技官2というメンバーでスタートした。

 松田研究室では,多糖を中心とした生化学的研究が行われ,昭和57年には,中島佑が”真菌細胞壁多糖の構造と生合成に関する研究”で,昭和61年小林幹彦が”デキストランの生合成および分解に関する酵素化学的研究”で,また昭和63年加藤陽治が”植物細胞壁多糖キシログルカンに関する研究”でそれぞれ農芸化学奨励賞を受賞した。松田は昭和57年”オリゴ糖および多糖の生化学的研究”で日本澱粉学会賞,さらに昭和59年に”オリゴ糖および多糖の研究”で日本農芸化学会鈴木賞を受賞した。この間昭和58年3月に志田が助手に昇任し,同年4月に山梨学院短期大学に助教授として転出した。昭和59年7月に渡辺が助教授に昇任し,翌,昭和60年4月に福島大学教育学部教授として転出した。昭和60年10月には中島が助教授に昇任した。松田は昭和61年3月,定年により退官した。昭和62年1月に加藤陽治が助手として採用され,同年4月に弘前大学教育学部助教授として転出した。

 昭和62年4月,東京農工大学農学部教授,一島英治が第四代目の教授として東京より着任した。同年5月吉田孝が助手として採用され,また平成2年4月に小林幹彦が農林水産省食品総合研究所に室長として転出し,後任として同年5月に山形洋平が助手に採用された。

 一島は酵素化学,分子生物学を研究の中心にすえ,タンパク質工学的手法を用いて,プロテアーゼをはじめとする各種酵素の触媒機構を解析するとともに,産業的に有用な酵素の開発を行った。これらの成果により一島は,平成7年にInternational Award of Recognition 5000 Personalities of the Worldを米国より,そしてThe 20th Century Aword for Achievementを英国より受賞,さらに平成9年”産業酵素の機能開発に関する分子論的研究と応用”で日本農芸化学会功績賞を受賞した。この間平成4年4月,学部改組に伴い講座名が酵素化学に改められた。平成7年4月,横尾正道が,学科共通の技官から助手として昇任し当講座に所属した。平成9年3月,一島は定年により退官した。(中島 佑)

 

 以上「東北大学農学部五十年の歩み(50周年記念誌)」より引用

 

 その後,

 

 

工事中

歴代教授

初代  麻生 清  (昭和23年9月〜昭和38年1月)

第2代 玉利勤治郎 (昭和40年4月〜昭和49年3月)

第3代 松田和雄  (昭和49年9月〜昭和61年3月)
第4代 一島英治  (昭和62年4月〜平成 9年3月)

第5代 中島 佑  (平成 9年4月〜平成17年3月)
第6代 内田隆史  (平成17年9月〜平成31年3月)

第7代 小川智久  (令和 2年4月〜)

東北大学大学院農学研究科農芸化学専攻

生物化学講座 酵素化学分野

〒980-8572 仙台市青葉区荒巻字青葉 468-1