東北大学 大学院農学研究科

 酵 素 化 学 分 野 Laboratory of ENZAYMOLOGY

レクチンの多様な機能と糖鎖科学への応用

 

サケ科魚類卵をはじめ新規の動物レクチンファミリーとなるラムノース結合性レクチン(RBL)ファミリーを単離し、構造と機能の解析をおこなっている。Gb3に非常に高い結合特異性をもち、糖鎖科学への応用が期待される。

ナガイモ塊茎からマルトース特異的レクチンおよびマンノース特異的レクチンを単離、構造決定した。さらにレクチンの抗昆虫活性を利用した遺伝子組み換え植物への応用を検討している。

 【参考文献など】

Kato et al., Plant Biotechnology 27, 141–145 (2010)

Ohizumi et al., J.Agric.Food Chem., 57, 2896-2902 (2009).

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【参考文献など】

Shirai et al., J. Mol. Biol., 391, 390-403 (2009).

Watanabe et al., Dev. Comp. Immunol., 33, 187-197 (2009).

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Terada et al., Biochi.Biophys.Acta, 1770(4), 617-629 (2007).

Naganuma et al., Mol. Div., 10(4), 607-618 (2006).

Tateno et al., J. Biol. Chem., 273, 19190-19197 (1998).

魚類卵レクチンの構造と機能 ナガイモ塊茎レクチンの構造・機能と組換え植物への応用

魚類卵レクチンのGb3を介したアポトーシス誘導活性

祖先を知る:タンパク質の分子進化を模して新しい機能をもたせることができるか?

魚類マアナゴの体表粘液に含まれている2種の糖鎖認識タンパク質,レクチンCongerin I (Con1) とCongerin II (Con2) は、外敵からアナゴの身を守る働きがある。これらはガレクチンと呼ばれるレクチンであり、病原菌などが持つ糖鎖に結合し、それら病原菌を凝集することによって身を守っている。

 私たちの研究室では、この2つのタンパク質の機能および構造を解析し、これらが加速的な進化によって構造安定性や糖結合特異性の変化などがもたらされていることを明らかにした(図a)。これらCon1およびCon2の祖先配列を系統樹からもとめ、調製した祖先型変異体(Con-anc, Con-anc’)の機能および立体構造解析により、Con1およびCon2がどのように進化してきたのかを明らかにした(図b,c)。

図 マアナゴガレクチンCongerin Iと II および祖先型変異体Con-ancの立体構造と機能進化

【参考文献】

Shirai et al., Structure 7, 1223–1233 (1999)

Shionyu et al., J. Mol. Biol., 347(2), 385-397 (2005).

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Watanabe et al., J.Biol.Chem. 287, 31061-31072 (2012).

小川ら,生物物理, 46(4), 201-208 (2006).

Ogawa, Mol. Div., 10(4), 511-514 (2006).

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東北大学大学院農学研究科農芸化学専攻

生物化学講座 酵素化学分野

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