令和6年度日本栄養・食糧学会 技術賞を受賞 -食用油脂の劣化制御に資する技術開発と先導的な環境負荷低減策の提案が評価-
株式会社J-オイルミルズ(東京都中央区、代表取締役社長執行役員 CEO:佐藤 達也)と東北大学大学院農学研究科の仲川清隆教授(食品機能分析学分野)、加藤俊治准教授(J-オイルミルズ油脂イノベーション講座)らは、食用油脂の酸化に関する共同研究の成果が評価され、2024年5月24日(金)~26日(日)に開催された第78回日本栄養・食糧学会大会において、令和6年度日本栄養・食糧学会技術賞を受賞しました。同大会では、あわせて受賞者メンバー(株式会社J-オイルミルズ 境野眞善 氏)による受賞講演を行いました。
[受賞内容について]
〇受賞タイトル:「食用油脂の劣化制御に資する新たな技術の開発と先導的な環境負荷低減策の提案」
食用油脂の過度な劣化は食品の味や香りを損なう要因となりますが、その反応メカニズムは複雑であるため、劣化を完全に制御できる技術は確立されていません。株式会社J-オイルミルズと東北大学大学院農学研究科は共同研究講座「J-オイルミルズ油脂イノベーション共同研究講座」(以下、本講座という)を開設し、食用油脂の劣化に関する基礎研究やそれを基にしたさまざまな技術開発を行ってきました。
本講座では、食用油脂を廃棄する際の重要な劣化指標である「酸価」に関する研究を行い、酸価の上昇に寄与するカルボン酸の発見に成功しています。酸価は「油脂1グラム中に含まれる遊離脂肪酸を中和するのに必要な水酸化カリウムのミリグラム数」と定義されており、水分が原因で生じる劣化指標として、食品業界では油脂を廃棄する際の指標として広く用いられています。
そのような中で、本講座は熱により生じるカルボン酸を発見し、このカルボン酸が遊離脂肪酸とともに酸価として測定され、フライ油の酸価上昇に寄与することを証明しました。これは遊離脂肪酸以外で酸価に寄与する成分が存在することを初めて報告したものです。この知見は、酸価の上昇を抑えて油脂の使用を延長するためには、水分による劣化反応を抑えることに加えて、熱による酸化を抑制することが有効であることを示しています。
食用油脂の重要な劣化指標に関する新たな事実を解明したため、長持ちするフライ油の商品開発やフライ食品の品質劣化を抑える管理方法の提案が可能となりました。こうした取り組みを続けることは、年間に国内で消費される油脂の廃棄量の削減に繋がると考え、本講座で得た知見を根拠とした管理方法など先導的な環境負荷低減策を継続的に提案していきます。


[関連URL]
日本栄養・食糧学会:https://www.jsnfs.or.jp/
株式会社J-オイルミルズプレスリリース:
https://www.j-oil.com/press/article/220729_003399.html
[問い合わせ先]
仲川 清隆
東北大学大学院農学研究科 食品機能分析学分野
Tel: 022-757-4416
E-mail: kiyotaka.nakagawa.c1*tohoku.ac.jp(*を@にして送信してください)
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