研究ハイライト&トピックス

2020/07/27

日本一の多収米「秋田63号」の解析から見えてくる今後のコメ増産の戦略

「秋田63号」は本学農学部S52年度卒眞崎聡さんによって秋田農業試験場で育種された大粒米で、本学農学部S48年度度卒滝田正さんによって育種された大粒米BG-1系統が使われています。秋田63号は4年におよぶ試験期間の平均精玄米収量で、日本の平均収量の1.7倍である928 g m-2 (=kg/10)を記録しました。その超多収はバイオマス生産能力の高さに依存するものではなく,もっぱら収穫指数(可食部乾物重比)の増加でした。このことは,シンク(可食部)拡大戦略のみで現在のイネの増収はまだまだ可能であることを意味しましたが、同時に、本研究の成果から、光合成能の向上を伴わない超多収の限界点が明確になりました。さらなるコメの増収を図るためには、可食部(シンク)の拡大と光合成(ソース)の同時改善が必須となるとことがわかりました。なお、本研究の栽培試験は秋田農業試験場大潟村農場で行われ、栽培は本学農学部S50年度卒金田吉弘さんが担当しました。
本研究は、科学雑誌『Scientific Reports』オンライン版(7月24日付)に掲載されました。


High Yielding Ability of a Large-grain Rice Cultivar, Akita 63

The large-grain rice cultivar Akita 63 showed higher N-use efficiency for grain production.
The average brown rice yields of Akita 63 were 928 g m-2 (corresponding to 1160 g m-2 of rough rice yield) for 4 years. This yield level was 1.7-fold higher than Japan’s average yield.
The success in Akita 63 breeding was due to overcoming such a trade-off between single grain weight and grain number. Thus, an enlargement of grain size can have a great impact on an increase in yield with improved N-use efficiency. However, an enlargement of sink capacity led to source limitation. Thus, both sink and source improvements are essential for a further increase in the yield of today’s high-yielding cultivars.


[発表論文]

雑誌名:Science Reports 10: 12231. (2020) doi: 10.1038/s41598-020-69289-0
論文名:High Yielding Ability of a Large-grain Rice Cultivar, Akita 63
著者名: Amane Makino*, Yoshihiro Kaneta, Mitsuhiro Obara, Keiki Ishiyama, Keiichi Kanno, Eri Kondo, Yuji Suzuki and Tadahiko Mae *Corresponding author


(写真)収穫時の秋田63号。品種登録以前に当時の日本最高収量1057 kg/10aを2000年に記録した。現在の日本記録は2009年のインディカ米「タカナリ」の1161 kg/10a。
(右図)収穫時の吸収窒素量に対するコメの収量。窒素吸収量に応じてコメの収穫量が上昇することがわかるが、秋田63号は同じ窒素吸収量に対して収量が高い(赤シンボル)。09、10、11はそれぞれ2009年、2011年、2012年の記録。秋田農業試験場大潟村ほ場での記録。

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