出芽酵母を用いたオートファジー機構の解析

 

 細胞は栄養飢餓条件に陥ると、細胞質成分をリソソーム・液抱に直接運んで分解します。オートファジーと呼ばれるこの機構は、細胞の恒常性維持に重要な役割を果たしています(1)。私たちは出芽酵母を用いてオートファジーの詳細な分子機構を明らかとすることを目指しています。

(1) Shintani and Klionsky, Science, 2004


5-1. 新規 Cvt 経路輸送基質の同定

 出芽酵母には、オートファジー機構を利用して液抱加水分解を液抱に輸送する機構が存在します。この機構は Cytoplasm-to-vacuole targeting (Cvt) 経路と呼ばれ、これまでにα-マンノシダーゼとアスパラチルアミノペプチダーゼ (Ape1) が輸送基質として知られていました。私たちは新たに、Ape4と命名したアスパラチルアミノペプチダーゼが Cvt 経路の新規輸送基質であることを明らかとしました(1)。

(1) Yuga et al., J. Biol. Chem., 2011


5-2. オートファジーにおける小胞輸送ネットワークおよび膜融合機構の役割

 近年、オートファジーの研究が飛躍的に進展し、詳細な分子機構が明らかとなりつつあります。しかし、オートファジーの膜動態については未解明である点が多く残されています。私たちは、オートファジーにおける小胞輸送ネットワークおよび膜融合機構の役割を生化学的手法によって明らかとすることを目指しています。


5-3. 窒素源飢餓以外の飢餓条件におけるオートファジー機構

 これまでに行われているオートファジー研究の多くは、窒素源飢餓に対する細胞応答を解析しており、窒素源飢餓以外の飢餓条件に対する細胞応答については研究が遅れています。そのため、私たちは窒素源飢餓以外の飢餓条件におけるオートファジー機構についての解析を進めています。

 

2013年10月21日月曜日

 
 
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