説教部屋

最近の学生に言わせてください!

 

特に大学院生に対して

 西澤潤一氏と同じことを言うことになるのですが、とにかく、考えることをしてほしいです。本を読むのは研究ではありません。

    知識を蓄えるのは研究とは違います

 2年位前にある4年生に、「本を読むな」、「読書量を減らせ」と言ったことがあります。はじめて研究らしきものに打ち込むのに、一生懸命勉強しようとするこの学生に、少し違和感を覚えたのです。研究(Research)の生命線はモデルです。人の考えたモデルを使えば使うほど、その人の研究レベルは下がります。本を読む(勉強する)目的は自分のモデルをつくり、それを洗練する能力を養うための道具の獲得です。人のつくったモデルを探し、理解し、そしてそれを応用するのは学習(Learning)といって、学部生がすることです。

  大胆に言ってしまえば、人がどう言おうが、どう書いてあろうが、ある内容に興味をもつことと、それを研究することは、全く無関係なのです。

 勘違いしないで下さい!

 関係ということは、同時的なこともありうるし、正反対にもなりうる、ということです。教育する立場から言わせてもらえば、興味のないことを研究することはよくあることです。

 では、モデルとは何でしょう。簡単に言えば、自己を表現するための論理体系(システム)です。論理体系というと形式的で無味乾燥に聞こえますが、この体系のもつ普遍性が、特定の自然・社会現象に対する自己表現に大きく役立つのです。人は時空を超えたこの普遍性に「美」を感じます。

 誤解なきよう言っておきますが、大学院生に勉強するなと主張しているのではありません。勉強することが研究の基礎づくりになる、と安直に考えてほしくないのです。勉強することによって、論文が肥えることはあっても骨太になることはありません。もっと自分の頭を使ってください。その切れ味を見せてください。若いうちから読書に頼りすぎることなきよう、希望します。

 

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