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酸性黒ボク土の植物への抑制作用-アルミニウム毒性はアロフェン質黒ボク土でもおきているか

非アロフェン質黒ボク土はしばしばアルミニウム(Al)感受性植物の根にAl毒性を示し,その毒性の程度は1 mol L-1 KCl抽出Al(AlKCl)含量で評価されてきた.一方,アロフェン質黒ボク土はAl毒性をめったに示さないが,強酸性化するとAlKClをもつようになる.しかし,強酸性化したアロフェン質土壌が植物にAl毒性を示すか,すなわち黒ボク土の酸性障害がすべてAl毒性で説明されるかは明確になってはいなかった.

yamada2011

この研究では,広い範囲の酸度を示すアロフェン質土壌(pH(H2O) 4.6~7.0)を用いて,Al感受性植物のゴボウとオオムギ,およびAl集積植物のソバを栽培し,根の伸長とAl吸収量を調べた.その結果,強酸性のアロフェン質黒ボク土でのゴボウ,オオムギの生育抑制とソバによるAl吸収は非アロフェン質土壌での傾向と同様であった.このことは,黒ボク土での酸性害は,非アロフェン質かアロフェン質かにかかわらず,Al毒性に起因していることを示唆している.Al毒性を制御しているとみられる物質(アルミニウム-腐植複合体,アロフェン質物質,結晶性粘土鉱物)について土壌の性質との関連で考察した.

(Kohei Yamada, Kiyoshi Ito, Tadashi Takahashi, Hitoshi Kanno, and Masami Nanzyo: Inhibitory effect of acid Andosols on plants - Is aluminum toxicity true for allophanic Andosols? Soil Science and Plant Nutrition, 57:491-499 (2011))

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