令和2度せんだい次世代農業経営者育成ゼミ

令和2度せんだい次世代農業経営者育成ゼミ開講式を実施しました。

 令和2年8月日17(月)、東北大学大学院農学研究科内「大会議室」を会場において、開講式を実施しました受講生6名(1名欠席)のほか、多数のご来賓の皆様にもお越しいただきました。
 本ゼミの塾長を務める東北大学大学院農学研究科の伊藤教授から塾長講話が行われました。まず、コロナ禍の中、本ゼミが無事に開催できたのは仙台市農林部からの支援のおかげと感謝の意を述べ、各関係機関が応援団として塾生を見守って頂くようと講話を始めました。その後、「塾生の心得」の題に沿って、農業経営者の経営能力を技術力・デザイン力・構想力として、農業経営者の素質を地域の一員である自覚、健康・健全である自制心、常に学習姿勢をもった謙虚な姿勢として提示しました。また、農業経営者の心得として、常に問題意識を持つべきこと、ネットワーク作りに怠らないこと、経営データに鋭い観察力を鍛えること、業界の慣習に柔軟に対応することを強調しました。最後は、経営を科学するために、PDCA・期間限定の経営手法を紹介して講義を終えました。
 続いて、岩手県花巻市にカフェを経営し、無農薬玄米の生産から六次産業化、商品デザインや食養生の啓蒙など幅広く活動している(株)惣兵衛の髙橋惣兵衛代表取締役から基調講演が行われました。髙橋惣兵衛氏は代々当主が「惣兵衛」を襲名する稲作農家に生まれ、元々デザインの仕事を行なわれていましたが、屋号を引き継ぐために(株)惣兵衛を設立されました。自身のデザイナー経験を活かしてオリジナルブランドの無農薬玄米「惣兵衛米」をプロデュースし、六次産業化の先駆となられました。本講演では、髙橋惣兵衛氏が自分の長年実践して来たことをベースに、マーケティング戦略から人生設計までの見解を塾生に伝承してくださいました。まず、商品開発に関しては、ニーズと市場を自分で創出することが第一歩だと言い、創造性(クリエイティビティ)の重要性を強調されました。また、エジソンや稲盛和夫を例として挙げて、社会に良い創出を目指すための動機作り・挫折しない心持ちの大事さを伝え、人間のコンフォートゾーンを突破することの意味を説明されました。そして、経営戦略や人生設計を練る際に、自己認識を変えること、ゴールを大きく決めることを含めて、自分が何を通して何を達成したいかという信念体系を完成することを塾生に勧め、人生劇場のシナリオを書くことで目的の明確化を提案してくださいました。彼女は愛嬌のある口調で参加者を引き込ませ、あっという間に1時間の講演を終えました。
 これから来年の2月まで受講生7名の皆様と一緒になって地域のリーダーとなりうるような農業経営者を目指して頑張っていきます!


8月20日・21日に戦略マネジメントゲームを実施しました。

 令和2年8月20日(木)・21日(金)に経営シミュレーション研修として、2日間にわたり戦略マネジメントゲームを実施しました。
今回は、塾生に加え、希望する一般参加者5名(うち一名は20日のみ参加、二名は1組としての参加)も加わり、A・Bの2班に分かれて研修を実施しました。
戦略マネジメントゲームは、参加者の各自が架空の会社を運営し、財務会計の基礎を体感的に学ぶことができるアクティブラーニング形式の研修である。研修1日目の終わりには会計講義も行われます。
塾生は、2日間にわたる5期の経営を耐え抜き、経営感覚と財務諸表作成の原理を直感的に体感し、学習することができました。また、2日間の連続した研修を受講したことにより、仲間意識が生まれ、和やかな雰囲気で研修を行うことができました。
最優秀経営者賞は、戦略的に売上高を上昇し、第4期で「V字回復」を果たした仙台市職員の平間技師でした。続いて、二番目の売上高と利益を達成した正規塾生の酒井さんが優秀経営者賞を取りました。そして、大赤字を作り出した「やっちゃった賞」は正規塾生の板橋さんとなりました。


8月28日に第3回講義を実施しました。

 令和2年8月28日(金)に第3回目となる講義を実施しました。
 今年度も㈱YACコンサルティングの古髙常務取締役をお招きして、財務管理に関する講義を行って頂きました。最初は、一般法人における経理や財務、会計などの役割について例を交えながら説明し、自社の「経営成績」や「財務状態」を把握するための決算書についてその意義と活用方法をまとめて頂きました。その後、損益計算書について実際の企業データを用いてわかりやすく説明して頂き、どの項目を見るべきかを個人/法人の視点から教えて頂きました。そして、個人/法人貸借対照表の実例を参照に、資本と負債などの項目を用いながら説明し、最後は決算書を読むポイントについて教授して頂きました。
 1限目に引き続き、古髙常務による講義が行われました。2限目は、損益分岐点について詳しく説明して頂きました。受講生に問いながら固定費や変動費の違いについて説明し、さらには損益分岐点売上高計算の演習問題を用いて受講生の理解を深めました。そして、実際に農業を営む受講生に対して、損益分岐点を用いながら利益をアップする三つのポイント(固定費を削減する、売上高を上げる、限界利益率を上げる)について教授し、また追加資料として、前回戦略マネジメントゲームの結果を用いて、塾生と一緒に実例の運用策を考えて頂きました。
本講義を通じて、塾生に前回の戦略マネジメントゲームからの啓発を振り返るとともに、今後の経営へのヒントを得ることができたでしょう。


9月9日に第4回講義を実施しました。

 令和2年9月9日(水)に第4回目となる講義を実施しました。
 1限目から、塾長である伊藤教授から「経営理念をつくる」を題として講義が行われました。まずは、本ゼミのガイダンスも兼ねて、経営学の守備範囲(経営戦略、マーケティング、アカウンティング、ファイナンス、人・組織、オペレーション)をカリキュラムの設定科目と照らし合わせながら受講生に説明して頂きました。また、農業経営とはなにかについて、経営者目標・理念を実現するため、外部環境の変化への適応が大事だと伝えて頂きました。その後、経営理念を考える基本的な視点を社会性・文化性・経済性の三つからまとめて、新福青果の「あんぽんたんシステム」-「安心・安全・安価」のアン、「本物・本質」のポン、「単純・簡単」のタン-を先進事例として紹介して頂きました。そして最後は、受講生に自身の経営現状、将来について考えさせて、経営理念を伝えるようなキャッチフレーズを作らせることで、農業・経営についての受講生の思いを明確化にさせました。
 2限目から、(有)伊豆沼農産の伊藤秀雄代表取締役をお招きして、『持続可能な「農村産業」をめざして』を題とした講義を行って頂きました。まず、自社の概要と経営理念を説明し、受講生に「方策から方針を作り、経営理念を固めて行く」道筋を教えて頂きました。そして、農業経営者の心構えとして、食料供給責任を持つこと、環境保全に関心あること、後継者育成に寄与することを挙げ、自身の経営を展開していく受講生にミッション・ビジョン・バリューを考え直すきっかけを与えられました。その後、自社の歩みと共に経営戦略の特徴を紹介して頂き、地域資源の活用法(宝探しから地域本来のものをプロデュース)や、経営戦略の五つの視点(農業者、お客様、地域、女性、運動の視点)、輸出とブランド戦略及び経営計画のPDCAを詳しく教えて頂きました。最後は、受講生に新しいビジネスの構築仕方として、ニーズからプロポーザルへと提言し、若手受講生による地域イノベーションへの期待を熱く語って頂きました。


10月28日に第5回講義を実施しました。

 令和2年10月28日(水)に第5回目となる講義を実施しました。
 1限目は、株式会社ウジエスーパーの吉田常務取締役をお招きして、アグリマーケティング戦略を題に講演して頂きまた。株式会社ウジエスーパーは宮城県登米市に本社を置き、宮城県内に32店舗を有して食品スーパーを展開しています。まず、「エコーガニック」をコンセプトに、地球環境にやさしい食品廃棄物を肥料にする循環資源再生利用、商品価値の極大化を目指して地元企業の連携商品開発・販売、無農薬・無化学肥料で不揃い野菜やハーブを栽培する自社農場での障害者採用などの自社取り組みを例に挙げ、福祉・環境・連携を融合したウジエスーパーの事業展開を説明して頂きました。そして、現状の課題に合わせて、コロナ禍の農業経営について、ヒントを出しながら塾生と一緒に対策案を考えてくださりました。次世代の経営者として、社会背景の変化に応じて思考プロセスを変えること、成長社会から成熟社会に移り変わり、情報処理力より情報編集力が求められること、バリューチェーンを理解し、競走から共創・共走に切り替わる思考の大事さを教えて頂きました。その後、最新のトレンドをキーワードとして「健康志向」「食の安全」「地産地消」「即食の充実」「お手頃価格」「ターゲットは女性」にまとめ、複数のキーワードの集合体で商品ヒットをめざすマーケディング戦略を塾生に提示して頂きました。
 2限目は、新型コロナウイルス感染対策として、農林水産省の窪山富士男大臣官房参事官(デジタル戦略グループ長)にオンライン講演をお願いし、最新の農業政策についてお話し頂きました。まず、ご自身が関わった政策改革の経験を用いて、戦後農政の大きな流れを細かく説明して頂き、令和2年度基本計画の内容と狙いの説明で農林水産政策の全体像を教えて頂きました。そして、田園回帰の動き、地域資源を活用した6次産業化の展開など、農業に取り巻く最新状況を教えて頂きました。その後、最先端の農業分野でのデジタルトランスフォーメーション(DX)の仕組みを紹介して頂きました。生産現場、流通及び行政の3視点からデジタルトランスフォーメーション(DX)による利便性向上と価値創出の可能性を説明し、また、スマート農業実証プロジェクト、農林水産省共通申請サービス(eMAFF)、農林水産省地理情報共通管理システム(デジタル地図)、農業者向け情報通信アプリ(MAFFアプリ)と起業支援プラットフォーム(INCOME)と現在進行中のプロジェクトを詳細に紹介して、担い手不足、高齢化などの課題を抱えている農業の新たな未来を提示して頂きました。講演後、講師と塾生及び参加者との簡単な意見交換が行われ、画面越しにもかかわらず、塾生と良い交流ができました。


11月11日に第6回講義を実施しました。

 令和2年11月11日(水)に第6回目となる講義を実施しました。
 1限目は、㈱エスエムティの小島壮司代表取締役をお招きして、「ビジネスプラン作成のポイント」を題に講義して頂きました。まず、事業計画策定のステップ図を用いて、事業環境の分析把握から戦略企画の確定、財務シミュレーションを交えて戦略を絞り込み、アクションプランの作成とPDCAサイクルによる検証を終えて、事業計画の実行管理までの流れを説明して頂きました。そして、クロス3C分析法を紹介し、「市場・競合」「市場・自社」「自社・競合」の3視点から情報を整理して、自社の差別優位点―KFS(Key For Success)を見つけ出す手順を教えて頂きました。その後、ストラテジー・クエスチョン(戦略の基本)として、「自分はどこにいるのか」、「どこに向かいたいのか」から「何を変えるべきか」、「どのように測るか」の質問形式で戦略策定の手順を説明して頂きました。そして、変化適応の戦略的アプローチに沿って、情報収集から市場構造変動の把握、5rightsを基準に顧客の望むモノを提供できる仕組みを説明し、事業計画をSMART(Specific・Measurable・Achievable・Realistic・Time-related)にと受講生に心かけるよう教えて頂きました。最後は、今後事業計画を作成するにあたっての事業構想シート作成を宿題として課されました。
 2限目は、(同)キャリア・リソース研究所の阿部裕一社会保険労務士をお招きして、「農業経営者のための労務管理」を題に講義を行って頂きました。まず、ご自身の仕事経験をベースに農業経営体の労務管理の実態を整理し、農業が長年直面している労働力不足問題を解決するために、働きやすい職場作りの大事さを強調されました。そして、働きやすい職場作りにあたり、働きやすい・にくい職場の特徴、働くモチベーションの影響要因と上げる工夫を丁寧に教えて頂きました。特に、最近の研究調査結果を引用しながら、従業員の性質・価値観の多様化によって仕事に求めることも違うため、それに合わせた働きやすい環境の提供を考慮すべきだと話されました。そして、県内農業法人の事例をまとめて挙げて、身近の例を通して農業経営体における労務管理の重要性を受講生に分かりやすく説明して頂きました。その後、働きやすい職場づくりの第一歩として、労務管理、安全管理、公的保険及び事業主向け労災保険特別加入制度の四つの分枝から、労働法令の基礎知識、農業現場での安全衛生対策、従業員・事業者向け労災保険及び関連制度の利用など実務的な内容を教えて頂きました。最後は、農業の労務管理に関する参考図書を受講生に紹介して講義を終えられました。


11月25日に第7回講義を実施しました。

 令和2年11月25日(水)に第7回目となる講義を実施しました。 1時限目は(株)パイロットフィッシュの五日市知香代表取締役をお招きし、お客様に選んでいただくための商品開発について講義して頂きました。まず、商品開発の最初段階において、商品コンセプト(方向性)の立て方及び消費者目線のコンセプトの重要性についてお話し、動く商品のキーワードとして「健康」「手軽さ」「無添加」を挙げて、具体的な商品例を交えて詳しく説明して頂きました。続いて、ターゲットの決め方、利用シーンの提案など企画から商品開発までの段取りについて、ご自身の経験談を交えながらお話をして頂きました。また、商品表示の注意点、価格設定と流通体制を考慮する工夫やパッケージデザインのポイント、商品名の付け方など細かくご説明頂き、受講生にご自身の状況に応じての商品開発とブランド化を提言してくださりました。そして、商品開発ができた段階からFCP商談シートの作成をお勧めし、作成の注意点も教えてくださりました。最後は商品販売の段階において、取材側へ常に感謝すること、物語(ストーリー)の要素を取り入れることを含めて、商品販売の流れについてご説明頂きました。講義全体を通じて、商品開発の流れや注意点、動く商品の開発に必要なポイントを塾生に教えて頂きました。2時限目は岩沼技術士事務所の岩沼幸一郎代表をお招きし、6次産業化研修-農産加工における食品衛生、食品表示についての講義をして頂きました。最初に、日本における食中毒の発生件数の推移、原因物質の割合などのデータを用いて食中毒発生状況をまとめ、その中農産物、農産加工品による食中毒の状況を詳しくお話しされました。海外に比べて日本では食中毒の発生件数が少ないものの、毎年食品中毒で死者が出るほど食品衛生の課題も重大であると指摘されました。そのため、フードチェーン全体での衛生管理という現在食品衛生管理の考え方が必要であることを説明し、国内における衛生管理の対応と強化策を紹介して頂きました。そして、その実施策の一環としてHACCPシステム導入による衛生管理の制度化とそれに基づいた衛生管理事項についてご説明頂き、受講生に衛生管理手引き書の活用を助言してくださりました。その後、農産物における有害微生物汚染対策として家畜ふん堆肥、水、有害生物の管理や従業員管理のやり方を教えて頂きました。最後は、新型コロナウイルスと食品の関係、GAPへの取り組みや食品表示についてもお話し頂きました。


11月25日に第7回講義を実施しました。

 令和2年11月25日(水)に第7回目となる講義を実施しました。
 1時限目は(株)パイロットフィッシュの五日市知香代表取締役をお招きし、お客様に選んでいただくための商品開発について講義して頂きました。まず、商品開発の最初段階において、商品コンセプト(方向性)の立て方及び消費者目線のコンセプトの重要性についてお話し、動く商品のキーワードとして「健康」「手軽さ」「無添加」を挙げて、具体的な商品例を交えて詳しく説明して頂きました。続いて、ターゲットの決め方、利用シーンの提案など企画から商品開発までの段取りについて、ご自身の経験談を交えながらお話をして頂きました。また、商品表示の注意点、価格設定と流通体制を考慮する工夫やパッケージデザインのポイント、商品名の付け方など細かくご説明頂き、受講生にご自身の状況に応じての商品開発とブランド化を提言してくださりました。そして、商品開発ができた段階からFCP商談シートの作成をお勧めし、作成の注意点も教えてくださりました。最後は商品販売の段階において、取材側へ常に感謝すること、物語(ストーリー)の要素を取り入れることを含めて、商品販売の流れについてご説明頂きました。講義全体を通じて、商品開発の流れや注意点、動く商品の開発に必要なポイントを塾生に教えて頂きました。
2時限目は岩沼技術士事務所の岩沼幸一郎代表をお招きし、6次産業化研修-農産加工における食品衛生、食品表示についての講義をして頂きました。最初に、日本における食中毒の発生件数の推移、原因物質の割合などのデータを用いて食中毒発生状況をまとめ、その中農産物、農産加工品による食中毒の状況を詳しくお話しされました。海外に比べて日本では食中毒の発生件数が少ないものの、毎年食品中毒で死者が出るほど食品衛生の課題も重大であると指摘されました。そのため、フードチェーン全体での衛生管理という現在食品衛生管理の考え方が必要であることを説明し、国内における衛生管理の対応と強化策を紹介して頂きました。そして、その実施策の一環としてHACCPシステム導入による衛生管理の制度化とそれに基づいた衛生管理事項についてご説明頂き、受講生に衛生管理手引き書の活用を助言してくださりました。その後、農産物における有害微生物汚染対策として家畜ふん堆肥、水、有害生物の管理や従業員管理のやり方を教えて頂きました。最後は、新型コロナウイルスと食品の関係、GAPへの取り組みや食品表示についてもお話し頂きました。


12月9日に第8回講義を実施しました。

 令和2年12月9日(水)に第8回目となる講義を実施しました。
 1時限目は、㈱エスエムティの小島代表取締役をお招きして、「事業計画を作ってみる」を題に講義して頂きました。本題に入る前、ビジネス視点から物事を考える練習として、小島先生ご自身の体験例を基にディスカッションが展開されました。高評価な果物を注文し、商品の傷を発見、カスタマーサービスへの連絡との一連の出来事から、農産物の生産、品質管理、流通、販売及びアフターサービスにおいて重要なものは何か、改善すべき問題点とその対策案を受講生と一緒に議論を行い、ビジネス思考による刺激を与えてくださりました。そこを踏まえて、事業計画作成の注意点を教えて頂きました。まず、事業計画作成の5つのキーポイントとして、「客観的であること」「一貫していること」「具体的であること」「目的に合致していること」「実現可能であること」を挙げ、例に沿ってお話し、計画策定の進め方を教えて頂きました。そして、実際に農業を例に売れる商品(農産物)づくりのステップを細かくわけ、マーケディング構図(STP)を紹介しながら事業計画を作成する際のヒントを説明して頂きました。その後は、受講生が後半で行う事業計画作成のフォーマットを実際の事例に沿って教えていただき、何をどのように具体的に書くのかについて述べられ、2時限目の演習に向けての基礎知識を受講生に教えて頂きました。
 1時限目に引き続き、受講生に事業計画を実際に作成してもらいました。事業計画の作成が未経験な受講生がほとんどなので、最初の題目から苦労する人が多かったです。そこで、小島先生は一人ずつと交流し、受講生自身経営の見直し、新事業展開の方向性をイメージできるようにガイドしてくださりました。そして、詳細項目を練っていく上で、視野を広げること、自身商品の狙いをはっきりすることなど、適切なアドバイスを与えてくださりました。途中までとなったが、受講生が未完成の事業計画書を宿題として持ち帰り、小島先生と連絡を取りながら作成を続けて、次回1月27日に完成と演習発表を目指すようと講義を終えました。


12月16日に第1回現地視察を実施しました。

 令和2年12月16日(水)に第1回目となる現地視察を実施しました。
 午前中は天童市に位置する㈱ねぎびとカンパニーにお邪魔して、清水寅代表取締役にお会ました。「日本一を目指して」ネギ栽培を始めた清水社長は異色な人生経験の持ち主であり、ご自身の人生観と経営論について語った著書も出版されています。清水社長のご要望により、本人及び㈱ねぎびとカンパニーの紹介は著書による事前共有とし、当日は受講生一人一人の課題解決を目的とした講義になりました。受講生のからは、世代交代、販路拡大、経営展開の判断など方向性の問題、圃場整備のコツ、栽培技術の習得法、子育てとの両立など様々な課題が出されました。それに対して清水社長は、受講生の立場に立って、現状及び問題点の整理、問題解決のための目標設定や目標達成に向けたプロセス、更に注意点や解決案などを親身になって考えてくださいました。また数字的な思考を用いて、受講生が経営判断する際に気を付けるべきことを資金、人事、販路の面から幅広く教えてくださいました。最後は、㈱ねぎびとカンパニーの作業場も見学させていただき、会社理念の掲示、整理整頓の模範例を拝見することができました。
 午後の現地視察は河北町商工会にお邪魔し、芦埜貴之商工振興課長に企業組合かほくイタリア野菜研究会についてのお話を伺いました。企業組合かほくイタリア野菜研究会は農商工連携及び6次産業化を目的として生産者と商工会がタッグを組んでスタートしたもので、今は専門分野の異なった17名の生産者が年間約60品目のイタリア野菜を生産して、有名レストランや百貨店を中心に販売を行っています。商工会が中心となり、飲食店、有名料理人や野菜ソムリエなどの専門家も巻き込んで地域連携で行う事業としては全国的にも稀です。講義では、芦埜課長はなぜイタリア野菜に注目したのかを始め、当組合の成立経緯を教えてくださいました。そして、当組合の運営状況、販売状況、当面の課題と解決に向けた努力、普及啓発活動など今後の展開についても話してくださいました。講義を通じて、商工会を始めとした当組合に関わる方々が、イタリア野菜の産地を形成することで、若手農業者に魅力を伝え、河北町全体の地域創生を図る熱い意志が感じ取れました。最後は、河北町商工会に位置するイタリア野菜研究会の出荷場も見学させていただき、段取りよく梱包、出荷作業が行われている点も参考となりました。


12月23日に第9回講義を実施しました。

 令和2年12月23日(水)に第9回目となる講義を実施しました。
 今回の講義は、㈱藤崎の食品部販売担当大沼信幸チームマネージャーをお招きして、マーケティングに関する講義行って頂きました。講義は2部に分かれており、前半は百貨店及びバイヤー視点から販路拡大の秘訣を教えて頂き、後半は受講生有志との商談演習となりました。

○(前半)百貨店のお客様に農産加工品を売るために必要なことは?
前半講義の本題に入る前、大沼マネージャーは今年の大きな変化として、「コロナ禍」による商売形態への影響を提起し、新しい商売スタイルの形成について言及されました。続く本題では、百貨店における農産加工品の問題点について、消費の低迷、競合異業種の増加や家族構成の変化などといった百貨店を取り巻く環境が変化していること、農産物の5W2Hが不明確であることや消費者と生産者のつながりが出来ていないことなどを指されました。そしてこの問題点を踏まえて、接客販売の8つのポイントについて、受講生に問いかけながら説明して頂きました。その後、今求められている商品について、「ニーズがあるからモノを作る」、「モノ作り+コトの提案」、「マイナスの中にも必ずプラス要素がある」「生産者が直接販売するメリット」、「地域との親和性」、「産学連携によるギフト商品開発」…といった商品づくりのポイントと今後の方向性を㈱藤崎の取り組みを実例として挙げながら説明して頂きました。その後、商談成功のためにはバイヤーへの理解が必要とのことで、バイヤーの特徴と業務内容について教えて頂きました。最後は、補足知識として、百貨店の常識とクレーム処理の話しで講義を終えました。

○(後半)販路拡大のためにバイヤーとの商談成功の秘訣
後半の講義では、受講生の熊谷さんと佐藤さんとの商談実演を行い、バイヤーとの商談成功の秘訣を詳しく教えて頂きました。名刺交換の後、大沼マネージャーは商談者である受講生の話を引き出しながら商談進行を行い、商品ストーリー性の重視、多様な食べ方やセット販売の提案、季節感のあるバリュエーション開発、パッケージデザインの工夫などの注意点を商談成功のポイントとして挙げながら詳しく説明して頂きました。商談経験のない受講生がほとんどだったため、商談演習をした受講生も、見学した他の受講生も商談の段取りや注意点についての詳細な知識が得られ、販路拡大に繋げる有意義な講義でした。

 


1月20日に第2回現地視察を実施しました。

 今年度2回目の現地視察は福島県郡山市に足を運びました。
 前年度もお会いした「鈴木農場」3代目の鈴木光一さんにお話を伺いました。『直売所での野菜の品種の選び方、作り方~農業のブランディング~』を題にした講義で、鈴木さんから、まず、自社直売所、種苗店の経営状況、ご自身が発案した「郡山ブランド野菜」の取組みを紹介して頂きました。その後、単価、コスト、生産量の3要素からなる所得の数式を用いて、所得確保のためには単価を上げることが重要であると強調され、単価を上げるためにご自身が取り組んでいる直売所経営とブランド野菜づくりの工夫を教えて頂きました。また、直売所経営における売れるポイントとして「良い商品とサービス」「品揃え」「ブランド」「お客様目線」「イベント活用」「直売所のスターづくり」「出張販売」「地域特色の活用」を挙げて頂きました。更に、価値ある商品づくりを行うためには、消費者ニーズの把握が重要であることを教えて頂いた。そして最後は、ご自身の経験による売上げUPの5つの秘訣「品種を選ぶ」「出荷時期を計画する」「美味しさと思いを伝える」「お客さんと出会う」「農産物ブランディングで競争力を高める」を教えて頂きました。講義の後、直売所を見学して、鈴木農場の野菜を扱っているBest Tableにて昼食を取り、鈴木さんがこだわりを持って作った野菜を美味しく頂きました。


1月27日に第10回講義を実施しました。

 令和3年1月27日(水)に第10回目となる講義を実施しました。 
 ㈱エスエムティの小島代表取締役をお招きして、1時限目は事業計画を仕上げるための資金計画のポイントなどについて講義して頂きました。
「事業計画とは経営環境の変化を予測した上で成り立つものであり、計画を上回る利益の出し方、リスクマネジメントの仕方を考える際の基本だ」と改めて事業計画の意義についてご説明頂きました。その後、資金計画表、売上・利益等の計画表と資金繰り表の三つの財務表を用いて、事業計画における資金部分の仕上げ方を教えて頂きました。資金計画表では設備資金や運転資金の金額や調達の方法などの記載について、売上・利益計画表では、1年ごとの売上高や原価、さらには積算根拠などの書き方について、資金繰り表では、実際の経営上でのキャッシュフローの注意点について説明して頂きました。そして、事業計画づくりの原点に戻り、売上増を目指すにはお客様のニーズに合わせた商品の売り方が一番だと強調され、その上、事業計画の中で数字を用いて事業の実現性・信頼性を高めることの必要性や、今後の経営展開における数字感覚の重要性をご説明頂きました。 
 2時限目は各自の事業計画作成時間と位置づけ、各受講生と小島先生が個別相談をしながら、事業計画の仕上げに向けた準備を行いました。そして3限目は、出席した受講生3名から、それぞれの事業計画について、持ち時間15分の発表を行ってもらいました。その後、小島先生、日本政策金融公庫の石川課長から講評して頂きました。今回の発表演習は少数精鋭の体制となったが、受講生の完成レベルは高く、実現可能性の高い事業計画発表となりました。小島先生からは、各自の事業計画への助言や留意すべき点についてご指摘を頂いた上に、修了式での発表(本番)に向けた修正ポイントも提示してくださいました。日本政策金融公庫の石川課長も金融機関の視点から質問して頂き、主に資金面と事業計画の持続性について的確な助言を受講生にくださいました。今回の指摘を踏まえ、各自で事業計画の再修正を行い、修了式で本番発表してもらうこととなりました。



2月10日に修了式を実施しました。

 令和3年2月10日(水)に本年度の締めくくりとして修了式を開催しました。
塾長の東北大学大学院伊藤 房雄 教授から挨拶が行われ、「仙台ゼミ」の4年間を振り返りながら、本ゼミの無事修了にあたり、関係機関からの暖かい応援に感謝の意を表し、受講生の今後の展開に対する期待を述べられました。そして、(株)日本政策金融公庫仙台支店農林水産事業の石川 智章 課長から来賓祝辞を頂いた後、受講生4名から、ビジネスプラン(事業計画)の発表が行われました。
今年度も、コメンテーターとして、受講生のビジネスプラン作成に関する講義を行って頂いた(株)エスエムティの小島 壯司 代表取締役、戦略マネジメントゲームや財務管理に関する講義を行って頂いきました(株)YACコンサルティングの古髙 伸一 常務取締役の2名にご参加頂き、受講生のビジネスプランに対して助言、講評を行って頂きました。受講生にとっては、参加者の前でプレゼンテーション発表をする良い機会となり、また、コメンテーターとの質疑応答で多様な視点からビジネスプランを見直すことができて、今後の経営発展につながるに違いないと考えられます。
なお、今年度の最優秀ビジネスプランは、コメンテーターの選考により、実現可能性や将来性等の観点から高評価を得た熊谷農園の熊谷貴幸さんが選出されました。
最優秀賞発表の後、(公財)みやぎ農業振興公社の高橋 久則 常務理事、(一社)宮城県農業会議の小島 俊夫 専務理事や伊藤塾長から全体の講評がなされました。
そして最後は、伊藤塾長から受講生に対して修了証を授与し、仙台市経済局農林部の横山 敦史 部長より閉会の挨拶が行われ、修了式を終えました。