農家のたまご塾2018(みやぎ農産物直売所学校)

農家のたまご塾2018 開講式を実施しました。

 平成30年6月6日(水)、東北大学青葉山コモンズ内「ラーニング・コモンズ」を会場において、開講式を実施しました。塾生9名のほか、多数のご来賓の皆様にもお越しいただきました。
 塾長の東北大学大学院農学研究科 伊藤 房雄 教授の講話では、「自分の世界観を持て!!」というタイトルで経営理念の重要性、経営戦略を考えるときの基本的視点、問題意識を常に持つの重要性、さらには仲間づくりの大切さについて話していただきました。
 続いて、登米市で農畜産業の6次産業化等の先進的な取り組みを行う(有)伊豆沼農産の伊藤秀雄代表取締役にお越しいただき、「地域の人・もの・環境を活かした農村産業~急激に変わる環境変化にどう対応するか~」と題し、記念講演をしていただきました。伊藤社長が取り組んできた経営戦略や地域連携など農業経営者としての心構えについて話していただきました。
 今年度は塾生10名という少人数ながらも、少数精鋭のリーダーがここから生まれていくことを期待しています。特に今後は、川崎町や丸森町などで実施することから、「地域のリーダー」として活躍することも期待されます。塾生の皆様や関係者の皆様はこれから半年間よろしくお願いいたします。
 また、随時聴講生を募集しておりますので、お気軽にお問い合わせください。


川崎町でオリエンテーションを実施

 平成30年6月20日(水)、川崎町の「みやぎ川崎SPRING」を会場において、オリエンテーションを実施しました。今回は塾生10名全員が集まり、全体での初の顔合わせとなりました。
 講義では、村田町から「自然農場 風天」を営む中山建さんをお招きして「新規就農事例~村田町『自然農場 風天』の事例と新規就農の実際」と題して講義を行いました。ご自身も企業に勤めた後に地元宮城県に戻り、新規就農者として活躍されている経験から、その新規就農者としての経験や苦労、塾生向けの就農のポイントについて話していただきました。講義の中では、就農のポイントとして、人とのつながりの重要性や先輩農家などから失敗事例を聞くといった実体験を交えたアドバイスをしていただきました。講義後の質疑応答でも中山さんの経験について塾生が伺うなど活発な議論が行われました。
 その後は、事務局が主体となって、メンバー自身の現状や課題などを含めて自己紹介をしました。そのメンバーの課題について、他のメンバーからアドバイスをするディスカッションを行いました。メンバーの立ち位置を全体で共有でき、塾生同士の親睦を深めることができました。これを機に、横のつながりが活発化して、悩みや課題を仲間同士で解決できるようになれば、農業経営などがますます発展するのではないでしょうか。
 次回の講義は、商談会やせんだい農業園芸センターなどを現地視察してきます。


現地視察に行きました。

 平成30年7月24日(火)、ホテルメトロポリタン仙台にて「食材王国みやぎビジネス商談会」を視察し、その後、せんだい農業園芸センターとトータスファームに現地視察を行いました。今回参加した塾生は8名です。
 今回の視察は、商品の販売を重視する本塾としては、今週末に行われる商品販売プログラムの事前準備として、また、BtoBのビジネスにつながる商談の現場を学ぶ機会として実施したところです。ほとんどの塾生が今まで商談会に参加したことがなかったとのことですが、実際の商談の場に参加することで、将来の商談会への参加の際の参考となる知見を得ることができました。
 商談会後、せんだい農業園芸センターへ向かい、ブドウやリンゴ、イチジクなどの果樹の先端技術について学びました。養液栽培やジョイント栽培などの技術についての話を伺う際、塾生からも積極的な質問がありました。
 その後、トータスファームの相原美穂さんから実際に圃場を見学しながら話を伺いました。新規就農者として塾生と近い目線で語っていただき、経営や地域振興などの試行錯誤を話していただくことで塾生の方々の刺激となってもらいたいという意図で企画したところです。農地の活用方法やスーパーの全量買い取り、商品取引の戦略など、今後塾生が経営を展開していく中で必要な要素のヒントを教授して頂きました。
 次回は、蔵王酪農センターにて商品販売体験を行います。


蔵王酪農センターで商品販売体験を実施しました

 7月27日(金)、28日(土)の2日間、蔵王酪農センター産直売所を会場に、「商品販売体験プログラム」を実施しました。
 27日(金)は、東証から起業の意義、マーケティング基礎講座等を実施し、蔵王酪農センター笠原理事から蔵王酪農センターの紹介をしていただいた後、翌日の販売実習に向けて事業計画の策定、開店準備を行いました。28日(土)は、蔵王酪農センター産直売所において、塾生が野菜販売チーム、加工品販売チームの2チームに分かれ、販売実習を行った後、決算を行いました。
 2日間の研修を通じ、販売体験で天候などの不安定要因による商品販売の困難さを身に染みて感じるとともに、決算作業を通じ、経理事務の確実性を確保することの重要性などを学習することができたことでしょう。


大河原町で農業経営・財務経理の講義を実施しました

 8月8日(水)に大河原町のとんとんの丘もちぶた館を会場に、財務・会計にテーマにした講義を実施しました。
 一時限目は、㈱ヒルズの佐藤克美代表取締役による「数字に基づく農業経営」と題して講義を行ってもらいました。本講義の目的としては、仙南地区を代表する経営者の一人である佐藤社長とのつながりを増やすだけではなく、レベルは違えどデータを活用した農業経営をしてほしいという意図で行っていただきました。㈱ヒルズのこれまでの経緯や概況について話していただいた後、実際に使われている生産記録台帳や生産管理ソフトの写真を見せていただき、比較や分析による農業経営について話していただきました。データを使うことで現状を把握し、自社の生産面や経営面のどこに問題があるのか、さらには生産と財務の両輪のバランスが重要であると説明していただきました。
 二時限目は、㈱仙台銀行の佐々木真吾室長代理による「農業経営者の財務経理」と題して講義を行ってもらいました。財務経理の基礎的な知識を教授していただき、稲作や畜産などの例を使いながらわかりやすく説明していただきました。数字を意識する重要性や金融機関の農業支援などについて説明して頂き、一時限目の講義とリンクするような講義とななりました。またその後の質疑応答でも融資などに関する質問が出るなど、活発な議論がなされたました。
 次回は、戦略マネジメントゲームを名取市のJA学園宮城の教室をお借りして実施します。


JA学園宮城で戦略マネジメントゲームを実施しました

 9月8日(土)・9日(日)に名取市にあるJA学園宮城を会場に、戦略マネジメントゲームを実施しました。
 戦略マネジメントゲームは、財務・会計の講義の一環で、2日間にわたり経営を学びます。本研修は、農村地域における次世代のリーダーとなる農業者にとって必要な経営管理や財務・会計の知見を体験型のアクティブラーニングを通じて学習することを目的に実施しました。
 本研修は、参加者一人一人が経営者となり、一つのテーブルを5名程度で囲み、材料を仕入れ、加工し、販売を行うなど、模擬的に会社を経営し、毎期の事業経営の結果を、パソコンを使用せず、電卓を使用して紙ベースの財務諸表にまとめる内容となっています。長時間にわたり研修を行うため、体力や気力が必要となる講義であり、参加者の財務状況が会場に張り出されるなど緊張感のある講義となりました。
 塾生は、2日間にわたる5期の経営を耐え抜き、経営感覚と財務諸表作成の原理を直感的に体感し、学習することができました。また、2日間の連続した研修を受講したことにより、仲間意識が生まれ、和やかな雰囲気で研修を行うことができました。
 次回は丸森町で農業経営者から話を伺います。


丸森町で農業経営・財務経理の講義を実施しました

 9月12日(水)に丸森町のCULASTAを会場に、農業経営・財務経理をテーマとした講義を実施しました。
 1限目は、子牛や受精卵の販売も実施している㈲半澤牧場の半澤善幸代表取締役により、「最新技術の導入」や「数字による経営」について講義を行っていただきました。経営の数字はものづくりの過程で大事な要素であり、無駄やリスクを省く意味でも数字で考えて評価する経営者を養うことを目的とし、また、半澤社長は宮城県法人協会の次世代グループのリーダーであり、県南地区を代表する経営者であることから悩みがあればいつでも相談できる相手として知ってほしいということで講師をお願いしました。講義では、ゲノム評価をすることで効率よく牛乳を販売し、収益をのばすこと、また、視覚的にわかるデータを用いて経営判断をする重要性などについて語っていただきました。
 2限目は、丸森町の元地域おこし協力隊で、今年から農家民宿「Hütte Momo ~ヒュッテ・モモ~」をオープンする早川真理さんに講義をお願いしました。本経営塾の趣旨とは若干異なるが、里山を次に残す地域の一員として頑張ることにより、地域にプラスの効果を与えるという意義を塾生に知ってもらうことを目的として講義をお願いしました。スイスなどの海外研修の経験や丸森町で実際に関わった事業などが現在の農家民宿につながっていること、また、持続的な農業の実現の大切さについて語っていただきました。
 3時限目は、宮城県を代表する養鶏所である(有)竹鶏ファームの志村竜生常務取締役による「独自ブランド化」や「6次産業化」に関する講義を行っていただきました。先代の「竹鶏物語」から現在の「竹鶏ファーム」に至る独自ブランド化への道のりや6次産業化による経営戦略に関する講義を塾生に熟知してもらうことを目的に講義をお願いしました。これまで行ってきた経営の経緯やターゲット戦略、ブランドコンセプト戦略などの農業経営の戦略に関して語っていただきました。塾生たちの多くも購入したことがある商品についてのお話で、講義最後の質疑応答も活発に行われました。
 次回は山元町で農業経営者から話を伺います。


山元町で新規参入者による講義を実施しました。

 10月10日(水)に山元町のやました幸街堂を会場に、地域在住の一般社団法人代表、新規参入者の方々による講義を実施しました。
 1限目は、被災地域の復興や地域振興の推進を図ることを目的とした「スタンドアップ亘理(一般社団法人)」代表の加藤正純さんより、「山元町の現状」や「やました幸街堂を通じたまちづくり」に関する講義を実施していただきました。山元町では、高齢化率と20~39歳までの未婚率の増加に伴う人口減少が問題となっています。そのため、加藤さんは「スタンドアップ亘理」を通じて街づくりに関わる様々な活動を実施しており、「やました幸街堂」の話では、様々な目的を持った人や地域の子供たちが安心して立ち寄れる空間を目指して運営する際の苦労やポイントについてお話していただきました。
 2限目は、角田市のサトウ農園の佐藤雅和さんより、「新規就農」や「角田地区青年部を介した地域社会との関わり」について自身の体験を交えて講義を実施していただきました。佐藤さんは、福祉関係のお仕事に就業した後、実家であるサトウ農園に就農しており、その後、角田地区青年部に所属し様々な活動をしています。佐藤さんはこれらの人生経験の中で、様々な決断に至る経緯や新規就農者としての不安、苦労および農業経営について語り、さらに青年部を通じた地域および市外の関連行事 (角田市と友好都市である東京都目黒区の小学校での稲作指導など) を通じたやりがいを語っていただきました。
 3時限目は、亘理町にある結城果樹園の結城翔太さんより、「加工品を通じた農業経営」に関する講義をお話していただきました。結城さんは手塩にかけて育てた高品質なリンゴを直接お客様に届けることで主に経営していますが、台風などの自然災害により落果したリンゴや規格外のリンゴもあるため、全てを商品として出荷するのは難しいという弱みがあったとのことです。そこで、規格外のリンゴを用いてリンゴジュースやシードル (秋保ワイナリーにて) を生産し、これらの加工品生産を通じた地域やお客様への宣伝により、更なる顧客獲得を目指しているとのことです。上記のように弱みを強みとすることで課題を解決することについて語っていただき、講義後に塾生皆でワークを実施して「強み」、「弱み」、「今やっていること」、「課題」を共有化しました。
 次回は、日本政策金融公庫様のご協力で支援策や事業化プロセルの集中講義を実施します。6月から始まったたまご塾も大詰めを迎えます!

日本政策金融公庫様で集中講義を実施しました。

 11月7日(水)に㈱日本政策金融公庫仙台支店様の一室をお借りして、集中講義を実施しました。
 1限目は、宮城県大河原地方振興事務所の阿部総明農業振興部長より「県の支援施策と活用事例」に関する講義を実施していただきました。担い手支援事業の紹介や事業活用のメリットと注意点など、塾生が今後活用するにあたってわかりやすく説明していただきました。また、塾生の中に地域おこし協力隊に所属している人のための資料などを用意していただきました。
 2限目は、宮城県担い手育成総合支援協議会の土屋稔事務局長により、「新規就農者の支援策」について講義を実施していただきました。新規就農者の動向に関する資料では、宮城県の雇用就農者が前年度より減少したものの全体の半分以上を占めているなどの現状を語った。また、新規就農者、青年農業者に対する各種支援事業についてもパンフレットを用いて説明していただきました。
 3時限目は、㈱日本政策金融公庫情報企画部情報企画グループの清水良高課長代理より、「ビジネスプラン(事業計画)作成のポイント・手順」と題する講義を行っていただきました。事業計画・営農計画の基礎的な知識から説明して頂き、自身の営農計画について実際に手を動かして書いてもらう時間も取っていただきました。また、これまでの講義でも学んだ収支計画などもあり、塾生にとっては過去の復習にもつながったかもしれません。参考として、新規就農の現状や業界動向についても語っていただきました。
 4時限目は、農林中央金庫仙台支店東北営業第一部営業第四班の星雅之主任より、「JAグループの新規就農者、農業経営者支援」と題する講義を行っていただきました。日本農業経営大学校のパンフレットを用いての説明やクラウドファンディングサービスを活用したビジネスマッチング契約の締結に関する説明をしていただきました。
 これですべての講義が終了しました。残りは現地視察と修了式になります。