平成30年度せんだい次世代農業経営者育成ゼミ

平成30年度せんだい次世代農業経営者育成ゼミ開講式を実施しました。

 平成30年7月13日(金)、東北大学青葉山コモンズ内「ラーニング・コモンズ」を会場において、開講式を実施しました受講生7名(3名欠席)のほか、多数のご来賓の皆様にもお越しいただきました。
 東北大学大学院農学研究科の伊藤塾長から、受講生に対する講話が行われました。農業経営における戦略(社会性・文化性・経済性のバリュー・トリニティの大切さ)や持続性の高い経営について語っていただきました。特に、経営の基本となるPDCAの概念や農業経営者としての意識についての話もあり、今後の地域のリーダーとなりうる農業経営者の姿勢についての話も語っていただきました。
 続いて、三重県津市に本社を置き、生産開発から流通開発、さらには研究開発も行っている農業法人の㈱浅井農園の浅井雄一郎代表取締役から「三重県における次世代施設園芸開発の取り組み」という演題で記念講演が行われました。
多様な写真を用いながら、実際の現場の様子や海外の視察について話していただき、差別化戦略や数値化経営を行うためには、ただの農作業者ではない農学士集団が必要であると力強く語って頂きました。他にも、生産性の向上やリスク管理につながるICTの活用の仕方や浅井農園における農業バリューチェーン構築の話など、農業界の第一線で活躍する経営者の視点を分かりやすく話していただきました。
 これから来年の2月まで受講生10名の皆様と一緒になって地域のリーダーとなりうるような農業経営者を目指して頑張っていきます!


第2回講義を実施しました。

 平成30年8月3日(金)に第2回目となる講義を実施しました。今回はマーケティングと経営管理をテーマにしたものとなっております。
 宮城県内で31店舗の食品スーパーを展開している㈱ウジエスーパーの吉田芳弘常務取締役から主にアグリマーケテイングについての講義が1時限目に行われました。自社で取り組まれている事例として、各店舗から収集した食品残さを肥料製造工場に運び、有機質肥料を作り、それを地元生産者と連携したお米の生産を行っています。また、福祉にも積極的に力を入れ、農業と福祉の連携についても語っていただきました。経営者として一方的に生産するだけではなく、環境を守り、福祉と関わり、地域と連携する「エコーガニックwithノーマライゼーション」について説明していただきました。成功事例だけではなく、うまくいっていない事例なども語っていただき、経営者として「挑戦を続けるか」「撤退をするか」という選択をどう考えて決定するかなど、経営者としての姿勢についても語っていただいたことも受講生にとっては刺激的な話だったかと思います。
 1限目に引き続き、2限目も吉田常務による講義が行われました。前半は、業界の最新のトレンドについて説明していただき、生産者として消費者のニーズをつかむ重要性について語っていただきました。例えば、減塩やコレステロール抑制などが商品に記載されていることから「健康志向」であること、オーガニックや生産者の顔が表示されていることから「食の安全」が重要視されていることなどスーパーマーケットでそのトレンドを観ることができるなど、身近なところにヒントが隠されていることがわかります。後半では、ドラッカーの理論についての説明を問題形式で行いました。各々がマネジメント業務や管理者の役割をどのように考えているかを4つの選択肢から選んでもらい、ドラッカーの理論としてどれがいちばん近いものを説明し、経営に取り入れるヒントにしてほしいと伝えて講義が終了しました。
 熱のこもった講義で受講生も興味をもって聴いていた様子でした。次回は財務管理についての講義となります。


8月24日に第3回講義を実施しました。

 平成30年8月24日(金)に第3回目となる講義を実施しました。今回は財務管理をテーマにしたものとなっております。
 ㈱YACコンサルティングの古髙常務取締役をお招きして、財務管理に関する講義を行っていただきました。初めは経理や財務、会計などの用語について例を交えながら説明した後、決算書作成の目的や意義について説明していただきました。その後、損益計算書について実際の企業のデータを用いてわかりやすく説明していただき、どの項目を見るべきかを個人、法人の視点から教えてもらいました。次に、貸借対照表では、資本と負債などについて図を用いながら説明し、最後は決算書を読むポイントについて教授していただきました。
 後半では、損益分岐点を中心に説明をいただきました。受講生に問いながら固定費や変動費の違いについて説明し、さらには実際に財務分析演習を受講生に解いてもらいました。また、農業を営む受講生に対して、損益分岐点を用いながら利益をアップする三つのポイント(固定費を削減する、売上高を上げる、限界利益率を上げる)について教授していただき、農業経営者としての経営に活かすヒントを受講生は得ることができたのではないでしょうか。
 講義終了後は、受講生の質疑応答や感想を述べてもらうなど、非常に和やかな雰囲気で講義が進みました。そして次回はお待ちかねの戦略マネジメントゲームとなります。昨年度も非常に好評だった講義となります。今年はだれが最優秀経営者となるのか乞うご期待ください!


9月13日・14日に戦略マネジメントゲームを実施しました。

 平成30年9月13日(木)・14日(金)に経営シミュレーション研修として、2日間にわたり戦略マネジメントゲーム(以下MG)を行いました。
 今回は塾生に加え、希望する一般参加者3名(うち一名は13日のみ参加)も加わり、A・Bの2班に分かれて研修を実施しました。戦略MGは、参加者の各自が架空の会社を運営し、財務会計の基礎を体感的に学ぶことができるアクティブラーニング形式の研修です。研修1日目の終わりには会計講義も行われました。
 塾生は、2日間にわたる5期の経営を耐え抜き、経営感覚と財務諸表作成の原理を直感的に体感し、学習することができました。また、2日間の連続した研修を受講したことにより、仲間意識が生まれ、和やかな雰囲気で研修を行うことができました。
 次回は労務管理やマーケティング・商品開発に関する講義を実施します。



10月26日に第6回講義を実施しました

 平成30年10月26日(金)に労務管理やマーケティングなどに関する講義を行いました。
 1時限目は、(同)キャリア・リソース研究所の阿部裕一社会保険労務士をお招きして、事業主を取り巻く雇用問題である働き方改革への対応、人手不足問題や次世代継承問題について講義を行っていただきました。日本商工会議所による中小企業への調査結果(人手不足の現状や有効求人倍率、人員が充足できないと考える理由など)から全国の中小企業に対する調査結果を客観的に示し、全国の事業主の抱える現状を明確にした後、社員や求職者が仕事に対して魅力を感じている点や退職する理由について話していただき、ヒト(社員、求職者)が求める多様性に対応した働きがいのある職場づくりが重要であると説明していただきました。そして、最後に問題解決に向けた人事施策の視点として、労働環境の基盤整備や人材活用対策のポイントおよび多様な働き方の取り組み状況について、具体例を交えながら紹介していただきました。
 2時限目は、アサーティブ&シーエスの櫻井真理子代表をお招きして、「商品開発」と「ブランディング」について話していただきました。「商品開発」についてでは、まず自分の商品が手軽軸、商品軸、密着軸という3つの差別化の軸のどこに分類されるか、また売り場や日本人の消費行動を基としたターゲッティングの重要性について説明しました。その後、商品開発するにあたり必要不可欠であるマーケティングについて説明し、実際に商品開発する際の課題点(素材、世の中の流行へのマッチングや商品の方向性)やポイント(付加価値やストーリー性)を体験談や既存のヒット商品の紹介を交えてお話しいただきました。また、「ブランディング」について必要性や語源、ブランドの作り方を様々な商品の紹介を交えて、説明してもらいました。
 次回は事業計画や農業政策に関する講義を実施する予定となっております。