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プロジェクトリーダー挨拶

2018年4月1日
東北大学大学院農学研究科
准教授 多田千佳

 本プロジェクトは、森、中山間地、田畑、沿岸そして都市から排出される有機性廃棄物の資源化と適正な再利用を可能にする循環システムの構築を目的としたプロジェクトです。
 平成16年、中井裕東北大学教授(現在、東北大名誉教授)らが、工学研究科のいくつかの研究室と連携してコンポスト総合研究プロジェクト(PICS:Project of Integrated Compost Science:プロジェクト・イクス)として立ち上げたのが始まりです。
 その翌年に、農学研究科は宮城県と協定を結び、地域連携研究組織(PICSみやぎ)を開始し、その成果と将来性が文部科学省に高く評価され、平成19年度、PICSは「地球共生型新有機性資源循環システムの構築」として特別教育研究経費連携融合事業に採択されました。その後、平成23年度には、一般経費事業への組み替えが認められ、現在も継続しています。
 これまで、主な研究として、家畜糞尿のリサイクルシステムの一つである堆肥化(コンポスト化)とその利用について推進してきました。ここ数年は、コンポスト化に加え、バイオマスエネルギー生産が可能なメタン発酵の研究も始め、資源循環を可能にするための消化液の有効活用についても検討しています。
 資源循環に欠かせない、新たな研究開発を東北大学が行い、宮城県と連携して、その技術の実用化に向けた開発を行ってきました。今年度は、宮城県に加え、さらに仙台市や大崎市も本プロジェクトに加わり、それぞれの地域性を踏まえた資源循環のあり方についても検討しています。
 さらに、今年度は、これまでになかった市民講座も開くことにしており、市民の皆様に、私たちの取り組みをご理解いただくこと、また、市民の皆様からの取り組みを知ってお互いに情報交換することで、日々の暮らしの中に資源循環を定着させて行く動きを作り出したいと考えております。
 そして、これらの活動を通して資源循環そのものを加速させ、それぞれの地域に合った資源循環の形を根付かせ、低炭素社会・持続可能な社会を形成し、そこに暮らす人々や生き物が健全に住み続けることができる食の輪をつくっていくプロジェクトを進めていきます。