植物細胞生化学分野


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はじめに

植物は、根で土壌中の窒素を植物体内へ輸送します。そして、無機窒素をアミノ酸へ同化します。アミノ酸から、タンパク質・核酸・葉緑素など、窒素を含む多くの化合物が合成されます。同時に、限られた窒素を有効利用するために、体内でリサイクルするシステムが発達しています。動物は、植物が合成した窒素化合物や他の化合物に依存して生存しています。植物の窒素利用は、地球上の全生命のみなもとです。この重要な植物の機能を理解する目的で、窒素の一次代謝に関わるテーマにそって研究を進めています。

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分野の沿革と目標

植物細胞生化学分野は1992年に農学部の改組に伴って新設され、山谷知行教授が講座主任として着任しました。

細胞生化学講座の開設に際しての旧農芸化学科の方針は、近年特に進歩が著しい分子生物学を取り入れた植物学の研究を行うこととされました。この方針に沿った形で、本研究分野で行っている研究は、植物における窒素の体内利用の分子機構の解明に重点を置いています。

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土壌から根へ窒素を輸送する機構

植物は根で土壌中の硝酸やアンモニウムなどの無機イオンを細胞内に輸送します。尿素やアミノ酸も輸送します。窒素の輸送は、転写の段階や翻訳後などの様々な段階で制御されています。私たちは窒素の輸送担体(トランスポーター)とその制御にかかわる遺伝子について研究を進めています。

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アンモニウム同化とアミノ酸代謝

土壌から植物細胞内へ輸送された無機態窒素はアミノ酸へ同化されます。私たちはグルタミン合成酵素(GS)、グルタミン酸合成酵素(GOGAT)、アスパラギン合成酵素(AS)などのアンモニウムの初期同化にかかわる代謝酵素を主な標的として、生理・生化学的に研究を展開しています。

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窒素のリサイクル機構

イネの種子はタンパク質として窒素を貯蔵しています。葉のタンパク質・核酸・クロロフィルの分解によって生じる窒素が老化に伴って転流されて再利用されています。窒素はアミドの形で篩管を介して転流されます。窒素の転流は植物の成長に合わせてアミノ酸の代謝と輸送が調和することによって制御されています。私たちはこの窒素転流機構について逆遺伝学と分子生物学的な方法で研究を進めています。



植物細胞生化学分野
東北大学・大学院農学研究科
仙台市青葉区荒巻字青葉468-1, 980-8572