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専門分野 水産化学 の、中野俊樹 博士へのQ&Aです。

Q1.その水産化学について簡単に紹介してください。

    水産生物の生命現象や成分を生化学的に分析し海の恵みを有効かつ持続的に利用して人類の福祉に貢献する研究分野で、英名称はMarine Biochemistryです。ひとくちに水産生物といっても研究対象種は微生物(バクテリア、プランクトン、微細藻類)、深海生物、魚介類及び海藻と多種多様で、陸上では分かれている対象生物群をまるっと引き受ける、海だけに広く大きなスケールです。

Q2.水産化学の研究者になった決め手は何ですか?

    小さい頃、たまに父親に連れて行かれる魚釣りが好きでした。また小学校の頃にはよくお使いを頼まれ、八百屋、魚屋、スーパーなどに買い物に行き、食に対する興味をもち、簡単な料理なんかも作っていました。教育・研究者になろうと思っておらず、中学の頃まではどちらかといえば文系志向だったのが高校で理転し生き物や食べ物を学ぶなら農学部と決め、気付いたら今の仕事に就いていました。子供なら肉が好きなのに、食卓に魚が出ることが多かったことも影響しているでしょう(実家が秋田でしたが、季節になると毎日「ハタハタ」が出て、流石にこれは飽きました)。でもそれがトラウマとなってよく魚嫌いにならなかったものだと思います(今ではもちろん魚好き!)。

Q3.では、子供の頃になりたかった職業を教えてください。

    中学の時の作文では外交官とか書いていたと思います。

Q4.ご自分を動物に例えるなら、何だと思いますか?

    水族館や動物園で好きなのはペンギン。水陸両用な生活と凛として立つ姿が哲学的で孤高の生き物という感じでカッコいいですね(自身の例えではありません、、、)。

Q5.ご自身にとって、1番大切な宝物(生き物でも物品でも)は何ですか?

    家族、親族、友人、恩師などとの「ご縁(ネットワーク)」です。ご縁があってこそ全ての関わりがあると思います。

Q6.海外での経験をお聞きします。今までに訪問したことのある国を教えてください。

    カナダ、アメリカ、フランス、オランダ、イギリス、イタリア、インドネシア、タイ、中国、オーストラリアなど。

Q7.その中で、1番気に入った国はどこですか?

    カナダとフランス。どちらも甲乙付け難いです。

(著者@フランス・リヨン。後方の伊達政宗騎馬像みたいなのは市内中心部の広場に建つルイ14世(太陽王)の像。)

Q8.それはどういうところでしょうか?

    初めて家族と一緒に滞在した留学の地で、お世話になった人達、研究室、訪れた街など初の海外生活で緊張していましたが全てが印象深く、今でも家族共通の良い思い出です。
 

Q9.おいしいな、と思った料理(食べ物)は何ですか?

    新鮮で種類豊富な魚介類とお酒など日本には美味しい物が山ほどありますが、海外の経験を紹介します。  インディアンキャンディー(キャンディーといっても飴じゃありません。スモークサーモンの一種でカナダBC州の名産)、マンゴーロール(一見ミスマッチなマンゴーを使った巻き寿司、これもカナダ)。地ビール(カナダ、イギリスそしてベルギーのエール、IPA、ホワイト、etc. のど越し重視の日本のものとは違って味わい深い。でもイギリスのビールは気が抜けてぬるい)。フランスのチーズ(日本より安く種類も多くて目移りする。白川先生が食べた物とは違う種類?)、バゲット、そして驚愕のカエル料理!ムール貝の白ワイン蒸し(バケツ一杯のムール貝をひたすら食うべし。オランダとフランス)。あとお薦めは、オランダのニシンの塩漬けソルティハリング(ほぼほぼ生で好みが分かれるワイルドな味)

    (ほぼ生のニシンを食べる人々。ソルティハリングは上向きで丸ごと頭から食べるのがオランダ風。)

    そして旅の途中で食べる日本食、疲れた胃と気持ちがホッとする。

Q10.おいしそうに見えたのに、食べたらがっかりしたものはありましたか?

    バンコクの中華料理屋で食べたフカヒレ料理。有名なガイドブック「る○ぶ」で紹介されていたが、高い割に味が今一でションボリ。留学していたフランス・リヨンにあるWHOの研究所IARCのカフェテリアで出た血のソーセージ。もろに鉄の味(原田先生、北澤先生と同じ感想ということは、このソーセージかなり評判悪いですね)。

Q11.海外滞在中に、再発見した日本(日本人)のよいところはありましたか?

    勤勉さ、交通機関の時間厳守、行列の整然さ、治安や衛生状態の良さ、街にペットの糞が落ちていないなど沢山あり、やはり日本は素晴らしいと思います。例えば10年前のフランスでは、ウエットなものからドライなものまで犬の糞だらけ。日本のように飼い主が拾うマナーが無く「糞の後片付けは掃除人の仕事」という役割分担(?)的な考えのようです。いずれ普段住んでいる日本を外から見る経験を皆さんにもして貰いたい。特に若い頃にチャンスがあれば将来必ず役に立つと思います。

Q12.旅行(観光)に行くなら、お薦めの国はありますか?

    アウトドア派ならカナダ、歴史や美術、そしてワイン好きならヨーロッパ。特に今年フランスは日本と修好通商条約を結んで160年目のアニバーサリーイヤーです。カナダの山々はロッキーに代表されるように岩山で男性的、紅葉に彩られる湖水も美しい。ヨーロッパは北米にはない歴史と文化を感じさせる街並みで映画の中に迷い込んだような錯覚を覚えます。

Q13.今、目の前にドラえもんの道具、「どこでもドア」があったら、どこに行ってみたいですか?

    地球上ならアフリカの草原、それ以外なら宇宙かな。

Q14.食生活についてお聞きします。好きな料理や料理ジャンルは何ですか?

    和食、特に魚介類でしょうか。もちろん肉料理も好きです。

Q15.子供時代には嫌いだったけれど、大人になって好きになったものはありますか?

    塩辛や珍味の部類。お酒を飲むようになると単独ではダメだったものでも飲み物との相性の良さ、味の豊かさが出てきました。

Q16.また、今でも苦手なものはありますか?

    らっきょうなど酸っぱい料理は全体的に苦手です(でも「いかよっちゃん」は好き)。チーズは大体好きですが、ヤギのチーズそしてカビぼうぼうのブルーチーズは得意ではありません。

Q17.最後の晩餐に、是非とも食べたいものを教えてください。

    マグロの大トロとA5牛肉のシャトーブリアン、そしてそれに合わせるワインはロマネコンティと言いたいところですが、塩サケ、ノリ、生卵をおかずに炊き立ての新米とお味噌汁だと思います。

Q18.今、大学生に戻れるとしたら、何をしてみたいですか?

    留学して外国の友達を作りたいし、チャラいサークルにも入りたい(実際は自主ゼミという地味なサークルだったので)。

Q19.今後、研究者として、どのように過ごしていきたいですか?

    身の回りにありながら誰も気づかなかった「へぇ~」というような発見をしたいですね(イグノーベル賞?)。好奇心とワクワクをモチベーションに少しでも研究を進めたいと思います。それは人類の役に立つ研究であることも大事です。

Q20.最後になりましたが、食の安全性とは、何だと思いますか?

    一度に大量に摂取することはなくても、結果的に長時間繰り返し体内に取り込むことになるのが食べ物です。そのような食習慣でもリスクが低く栄養があり美味しく食べられることが大切で、そのため我々アカデミアにいる研究者は公平な立場でエビデンスを発信し続ける義務があるでしょう。
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