園芸学会平成9年度秋季大会の報告


野菜見学コース パートII


農林水産省野菜・茶業試験場施設生産部

 野菜・花卉の施設生産について研究を行う農林水産省で唯一の研究部.

空気膜構造を利用したハウス空気膜とワイヤーサスペンション構造をもちいたハウス

 空気膜構造のハウスの基本:骨材の上にフィルムを2枚一緒に被覆し,その間に空気を送って空気枕のようにしたもの.特徴としては,耐風性に優れる,保温力の向上,構造材削減による低廉化などが挙げられる.ここでは更に,フィルムを3枚被覆した「2層3重空気膜の透明屋根構造による太陽熱集熱ハウス」を開発している.

光による茎伸長制御被覆資材を利用した赤色/遠赤色光 調節による伸長制御

 野菜のセル育苗では,栽植密度が高いため苗が徒長しやすいことが問題となっている.そこで,苗の徒長防止のために,赤色光(R)と遠赤色光(FR)の比を変えて,伸長を制御する.R / FR が小さいと徒長し,R / FR が大きいと伸長抑制.写真の左側が赤色減少区(徒長),真ん中が遠赤色減少区(抑制),右が対照区.

スイカの立体栽培スイカの立体栽培

 目的はイチゴと同じように,作業姿勢を楽にすること.写真は二本仕立て一果取り.研究は始まったばかりなので整枝方法については現在検討中.

遮根シート遮根シートによるトマト青枯病の防除

 遮根シート(写真中央)は,水は通すが,根は通さない.水のコントロールがしやすく,毛管水を遮断できる.全面隔離床…青枯病防除には効果的.根腐れ病,萎凋病は発生する.

トマトの葉面積制御窒素量の日調節による養液栽培トマトの個体群葉面積制御

 窒素を毎日必要な量だけ施与し,葉面積指数を一定(3.5〜5.0, 6以上は大きすぎ)に保つ.

トマトの一段密植栽培トマトの一段密植栽培

 第一花序の果実のみ収穫するので,年に4〜5回収穫できる.一段だけなので草勢管理に気を使わないですむ.また,作業姿勢が楽になる.病気が発生しても更新が早いので,深刻な被害は出にくい.欠点…苗数を多く確保しなければならない.この点については,挿し芽が有効であると考えられるが,現在検討中.水耕の水を回収し,成熟間際に高ECの水をかけることによって糖度が上昇し,また,裂果の防止にもなる.


園芸学会平成9年度秋季大会

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