ダイコンのゲノムワイドなSNP情報を基にして分析した各品種の遺伝的な分布(主座標分
アブラナ科の重要野菜であるハクサイやカブなどのBrassica rapa種、ブロッコリーやキャベツのBrassica oleracea種、これら近縁のダイコンRaphanus sativus種について、DNAマーカーの作成、その利用による農業形質を決める遺伝子（座）同定の研究に取り組んできました*1。中でもダイコンにおいては上記の研究に欠かせない高密度連鎖地図を作成し*2、世界に先駆けてゲノム塩基配列も決定しました*3。ダイコンは世界に広く分布し、根の形、大きさ、色が多様で、莢、花、葉、成分（辛み）においても特徴があります。最近では、500品種・系統のゲノムワイドなDNA変異（一塩基多型（SNP））*4や、世界一大きな根を持つ品種‘桜島ダイコン’のゲノム塩基配列の解読に成功しました*5。ゲノム情報は、ダイコン特有の辛み成分の合成や葉の表面の毛（トリコーム）の遺伝子（座）同定のための分子遺伝学的研究に活用されました*6。現在は、ダイコンの抽苔性、生殖特性等に関する遺伝学的、育種学的研究を進めています。
*1, Li et al. 2009, Li et al. 2011a, Ashtosh et al. 2012, Kifuji et al.
2013, Tonosaki et al. 2013, Kitashiba et al. 2016
*2, Li et al. 2011b, Kitashiba and Shirasawa 2017
*3, Kitashiba et al. 2014
*4, Kobayashi et al. 2020
*5, Shirasawa et al. 2020
*6, Zho et al. 2013, Kakizaki et al. 2017, Li et al. 2013
協力、共同研究：かずさDNA研究所、農研機構野菜花き研究部門、岩手大学農学部植物育種学、タキイ種苗（株）