アブラナ科Brassica属および近縁種の遺伝資源保全・管理


 キャベツ、ハクサイ、ナタネを含むBrassica属を中心としてその近縁種を含む58属177種約750系統の種子が保存されています。初代の水島宇三郎教授から、角田重三郎教授、日向康吉教授と3代に渡って、地中海周辺の地域を訪問して採種をし、さらに海外の研究機関からも遺伝資源を収集し、その保全と特性評価、種の類縁関係調査を行っています。遺伝資源については「Brassica Crops and Wild Allies」*1に紹介されています。このアブラナ遺伝資源は希少価値の高いものとして、世界的に知られています。また、これらの種子を世界の研究者の要望に応じて提供しています(Tohoku Univ. Brassica Seed Bank 参照)。
 保存するアブラナ遺伝資源の中には、専門家の間でもほとんど名が知られていない種が多数あることから、種名の混乱を避けるため、アブラナ近縁種の種同定技術を開発しています*2。また、アブラナ遺伝資源の有効な利用を図るために塩基配列に基づいた類縁関係の調査*3が行われました。さらに、最近では次世代シーケンサーによる分析技術を使った農業形質に関わりのある多くの遺伝子のDNA変異の調査や、Sハプロタイプの種類の調査を進めています。並行して、各Sハプロタイプ系統(Sテスターライン)の増殖を進めています。他に、ウイルス抵抗性の調査を行っており、今後も調査項目、対象を増やし、上記の調査とともに情報を当HPから発信する予定です。

 

*1, Edited by Tsunoda, Hinata and Gomez-Campo (1980)
*2, Tonosaki and Nishio 2010, Tonosaki et al. 2013
*3, Inaba and Nishio 2002 Theor Appl Genet 105, 1159-1165

 

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