実用的な育種技術の開発

 多くの植物で遺伝子の情報が蓄積している状況を背景に、育種過程での優良個体や系統の選抜において表現型での選抜法に加え、遺伝子型での選抜法が取り入れられてきました。遺伝子型選抜では、ゲノムに一番多く存在する一塩基多型(SNP)のDNA変異が良く利用されるようになりました。実際にはDNAマーカーに変換され、それを用いて個体や系統が分析されます。DNAマーカーを用いた分析法には様々ありますが、育種の現場で利用されるには、より簡便で安価で効率良い分析法が望まれます。当研究室開発されたdot-blot-SNP法およびその改変法*1は現場にて多検体を安価にて分析できるSNP分析法の一つです。連鎖地図の作成や対象形質を選抜するDNAマーカーでの分析として利用されてきました(*2および項目1、3にて説明)。この分析法をベースに、アブラナ科野菜のS遺伝子型分析法(項目1にて説明)、バラ科果樹のオウトウやスモモでのS遺伝子型分析も開発してきました*3。さらに、目的とするDNA変異を突然変異体集団から逆遺伝学的に高感度に選抜する分析法も開発しています*4。近年では次世代シーケンサー(NGS)が様々な研究分野で活躍しています。現在、S遺伝型の網羅的な解析や突然変異体集団の大規模解析にNGSを活用した新たな分析法の開発を目指し、取り組んでいます。

 

*1, Shirasawa et al. 2006, Shiokai et al. 2009, Shiokai et al. 2010
*2, Widyawan et al. 2018,
*3, Kitashiba et al. 2007, Wang et al. 2013
*4, Kohata et al. 2018

 

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