10月22日 葛尾村エクステンションツアー開催

令和4年度復興知事業の一環として葛尾村エクステンションツアーを行い、11名が参加しました。

はじめにあぜりあのスペースをお借りして、葛尾村役場の岩谷さんより戦前から震災後の葛尾村の産業の変遷や、すでに稼働している産業団地、これから工場建設が始まる東部産業団地に入所する企業について説明を受けました。

その後、産業団地に工場を構え、ツアーとしては初めての見学となる金泉ニット㈱福島工場を訪れました。工場長の加藤さんより会社概要、アパレル業界の潮流、葛尾村進出の決め手や課題などをお話しいただきました。工場見学ではホールガーメント機のプログラミングの様子を見せてもらったり、完成した製品の洗う前と後を実際に触って比較させてもらったりさせていただきました。超軟水で洗う、非常に柔らかいニットの手触りや縫い目のない完成品等、参加者は興味深く眺めました。

あぜりあに戻り、加藤先生より植物工場の概要説明を受け、マンゴーの試食を行いました。ハウスに移動し自動灌水システムや環境制御、有機トマト栽培についてなど説明がありました。「IoTで自動化できない手作業はどんなものがあるか」という参加者の質問に、「誘引作業、収穫などは手作業で行っていて、完全自動化は難しい」というやりとりがされました。

午後は役場の岩谷さん、藤井さんと合流し、旧野行公民館の隣に設置された宿泊施設内を見学しました。この宿泊施設は仮設住宅を移築・改装したもので、野行行政区に住民登録があり、今後葛尾村への帰村を検討する方などが、生活再建の準備をするために宿泊や休憩ができます。続いて小出谷地区の帰還困難区域に向かいました。2011年3月から全く手つかずのままの集落で下車。ガラス窓が割れ中に野生動物が侵入した形跡があったり、洗濯物が干したままになっていたりする様子を目の当たりにしました。シンチレーションサーベイメーターで出発前にあぜりあで測定した環境放射線量は0.08μ㏜、野行宿泊施設では0.25μ㏜、小出谷地区では高いところで6.2μ㏜と、未除染のまま11年を経た帰還困難区域の放射線量がどの程度かを実際に計って知ることができました。岩谷さんによると建物に向けると、壁に遮られ数値が低くなり、山側に向けたり雨どいなど水の近くは数値が高くなりやすいということでした。

今回帰還困難区域内に立ち入ったということから、葛尾村の規定で浪江町にある加倉スクリーニング場でスクリーニングを受けました。バス本体と希望者12(参加者9名、教職員2名、運転手1)は自らのスクリーニング(靴裏)を受けました。

参加者からは「従業員自身がニットをデザイン、製造し販売までを行うという小規模だからこそできる事業も興味深かった」「震災から11年以上が経過し、他の地域では記憶の風化等も問題になってきている中で、現地は未だにまちの復興が課題の多くを占めていて、更には手付かずで残されているものや課題があることも知り、世間や他地域とのギャップも感じるところがあった」などの感想が得られました。

ご協力いただいた皆様、ありがとうございました。

(動物によってドアが壊された玄関)