こめ油の調合による常温保存下の抗酸化作用のメカニズムの解明~食品の長期保存安定性の向上への貢献~
植物油の調合は、油の性質(酸化安定性など)を容易に改変できる技術として様々な食品分野において利用されています。米ぬかを原料とする植物油であるこめ油は、バランスのよい脂肪酸組成および多様な抗酸化成分による優れた酸化安定性を有します。したがって、こめ油の調合による抗酸化作用の幅広い応用が期待されますが、こめ油単体に比べてこめ油の調合油の酸化安定性やそのメカニズムに関する研究はいまだ少なく、不明な点が多くあります。
東北大学大学院農学研究科の仲川清隆教授ら、築野食品工業株式会社、ガジャ・マダ大学の研究グループは、こめ油の調合による抗酸化作用が常温保存下では極めて顕著であることを先行研究において見出し、その詳細なメカニズムの解明(こめ油の脂肪酸組成および抗酸化成分の両方あるいはそのいずれかによる寄与)に取り組みました。その結果、こめ油に含まれる抗酸化成分(γ-オリザノールなど)の持続的な寄与により、主要な抗酸化成分(トコフェロール)の活性が維持されることが明らかとなりました。これら知見はこめ油の調合の技術構築に応用でき、様々な食用油脂や油脂加工食品の長期保存安定性の向上に貢献するものです。
本研究成果は、2025年9月18日に国際学会誌「Food Research International」にオンライン掲載されました。
【掲載論文】
・論文タイトル:Elucidating the antioxidative mechanisms by blending rice bran oil with canola oil at ambient temperature
・著者:小石翔太1, 2、本田沙里2、松木翠2、澤田一恵2、橋本博之2、上遠野佑紀1、Halida Rahmania 3、乙木百合香1、加藤俊治1、仲川清隆1
1:東北大学農学研究科 食品機能分析学
2:築野食品工業株式会社
3:Faculty of Pharmacy, Gadjah Mada University
・雑誌名:Food Research International
・DOI:https://doi.org/10.1016/j.foodres.2025.117509
図:研究概要
【問い合わせ先】
築野食品工業株式会社
研究開発本部 企画開発部1部
小石翔太
E-mail:koishi.shota*tsuno.co.jp (*を@に変更してください)
東北大学大学院農学研究科 食品機能分析学分野
教授 仲川清隆
TEL:022-757-4416
E-mail:kiyotaka.nakagawa.c1*tohoku.ac.jp (*を@に変更してください)