トキソプラズマの再活性化機構を解明 トキソプラズマ症の発症予防技術の開発につながる成果

原虫トキソプラズマはネコからヒトに感染する身近な寄生虫で、世界の人口の約3分の1以上が体内にトキソプラズマを抱えているとされています。ヒトの体内に潜伏感染しているトキソプラズマが、宿主の免疫の低下時に再活性化する分子メカニズムは不明な点が多く、発症予防技術は開発されていません。

東北大学大学院農学研究科動物環境管理学分野の加藤健太郎教授(帯広畜産大学原虫病研究センター 客員教授)と旭川医科大学医学部感染症学講座寄生虫学分野の伴戸寛徳准教授の共同研究グループは、この再活性化の際に発現する原虫蛋白質群に着目し、様々な種類の遺伝子組換え原虫を作製して遺伝子組換え原虫の性質を解析することで、再活性化で重要な役割を担う原虫蛋白質の同定に成功しました。

本成果は、トキソプラズマ症発症予防技術の新規開発につながるものです。

本研究成果は、2024年5月17日に科学誌Frontiers in Cellular and Infection Microbiologyに掲載されました。

図1. 宿主の体内でトキソプラズマが潜伏する際に、シスト壁(シスト壁を構成する分子の一つ; 赤)を形成して、その中に原虫(緑)が存在する様子(宿主細胞と原虫の核; 青)。野生型とCLP1欠損原虫はどちらもシスト壁を形成している様子が確認できる。

【論文情報】
タイトル:Toxoplasma gondii chitinase-like protein TgCLP1 regulates the
parasite cyst burden.
著者:Hironori Bando, Yuho Murata, Yongmei Han, Tatsuki Sugi, Yasuhiro
Fukuda, David J. Bzik, Barbara A. Fox, and Kentaro Kato
*責任著者:東北大学大学院農学研究科 動物環境管理学分野
教授 加藤健太郎
掲載誌:Frontiers in Cellular and Infection Microbiology
DOI:10.3389/fcimb.2024.1359888.
URL:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fcimb.2024.1359888/full

【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院農学研究科 動物環境管理学分野
(帯広畜産大学原虫病研究センター 客員教授)
教授 加藤 健太郎
TEL:0229-84-7391
Email: kentaro.kato.c7@tohoku.ac.jp

(報道に関すること)
東北大学大学院農学研究科
附属複合生態フィールド教育研究センター総務係
TEL:0229-84-7312
Email: far-syom@grp.tohoku.ac.jp