菌類による倒木分解が森林の更新に影響する可能性を 実験的に確認
次世代の樹木の芽生え(実生)が倒木上に成長して森林が更新していく過程は「倒木更新」と呼ばれ、森林が持続的に維持される上で重要な仕組みの一つです。これまで、野外観察から、菌類による倒木の腐朽における分解成分の違いが、倒木更新に影響する可能性が指摘されていましたが、実験的に検証した例はありませんでした。
東北大学大学院農学研究科の深澤遊准教授と博士前期課程の北畠寛之さん(研究当時)は、腐朽したアカマツの倒木上に12樹種の種子を蒔き、菌類による腐朽の違いによって種子の発芽、成長、生存が影響を受けることを明らかにしました。
この結果は、森林において倒木の分解を行う菌類が多様なほど多様な樹種の実生の倒木更新が可能であることを示唆しており、森林において生物多様性が維持される仕組みの理解につながります。
本研究成果は2024年6月4日に学術誌Ecology and Evolutionで公開されました。
【論文情報】
タイトル:Factors associated with seedling establishment on logs of different fungal decay types—a seed-sowing experiment
著者:Yu Fukasawa*, Hiroyuki Kitabatake
*責任著者:東北大学大学院農学研究科 森林生態学分野 准教授 深澤遊
雑誌名:Ecology and Evolution
DOI:10.1002/ece3.11508
URL:http://dx.doi.org/10.1002/ece3.11508
【問い合わせ先】
(研究に関すること)
深澤 遊(フカサワ ユウ)
東北大学大学院農学研究科 准教授
電話: 0229-84-7397
Email: yu.fukasawa.d3*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院農学研究科
附属複合生態フィールド教育研究センター総務係TEL:0229‐84-7312
Email: far-syom*grp.tohoku.ac.jp
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