日本列島の成立とともに歩むツバキの古い歴史 -ヤブツバキとユキツバキの分布変遷を解明-

 ヤブツバキは日本全土に広く自生し、園芸品種の原種として国内外で親しまれてきました。一方、ユキツバキは新潟県の木に指定され、豪雪地帯の文化や自然を象徴する植物として愛されています。日本海側の多雪環境に分布する植物は、太平洋側の近縁種から進化したと考えられることが多く、両種も同様に考えられていましたが、新潟大学佐渡自然共生科学センターの阿部晴恵准教授、森林総合研究所の上野真義チーム長、大阪公立大学附属植物園の廣田峻特任助教、東北大学大学院農学研究科の陶山佳久教授、筑波大学生命環境系の津村義彦教授を中心とする研究グループは、ユキツバキとヤブツバキの起源が、日本列島が大陸から分かれた中新世に遡ることを明らかにしました。

図1 地史とツバキの分布変遷との関係 (鮮新世注1

 

【用語解説】
(注1)鮮新世:地質時代の一つで、約530万年前から260万年前までの期間を指します。

【論文情報】
タイトル:Evolutionary histories of Camellia japonica and Camellia rusticana
著者:Harue Abe, Saneyoshi Ueno, Ayumi Matsuo, Shun K Hirota, Hiroki Miura, Mong-Huai Su, Yun-Guang Shen, Yoshihiko Tsumura, Yoshihisa Suyama, Zhong-Lang Wang
掲載誌:The Journal of Physical Chemistry C
DOI:10.1002/ece3.70721

【問い合わせ先】
(研究に関すること)
陶山 佳久(スヤマ ヨシヒサ)
東北大学大学院農学研究科 准教授
TEL: 0229-84-7359
Email: yoshihisa.suyama.e2*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院農学研究科
附属複合生態フィールド教育研究センター 総務係
TEL: 0229-84-7312
Email: far-syom*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)