ミトコンドリアRNAポリメラーゼ遺伝子の欠失によりトマトの花粉稔性が回復－トマトの一代雑種育種を加速する新たな知見－

収量が多く、病気に強い一代雑種品種の育種に役立つ形質として、細胞質雄性不稔性（CMS）と呼ばれる現象があります。CMSトマトでは、ミトコンドリアの異常な遺伝子（CMS原因遺伝子）によって花粉が死滅するため、果実が実りません。花粉稔性を回復させ、果実が実るトマトの開発が求められています。

環境適応植物工学分野の桑原康介特任助教らは、突然変異試薬またはゲノム編集技術を用いてミトコンドリアRNAポリメラーゼ遺伝子を破壊することにより、CMS原因遺伝子の発現量が著しく低下し、花粉稔性が回復して果実が実ることを実証しました。本研究成果を展開すると、トマトの効率的な一代雑種育種が可能になると期待されます。

本研究成果は2025年10月23日に科学誌Plant Biotechnology Journalに公開されました。
なお本成果は、鳥山欽哉教授、筑波大学生命環境系有泉亨准教授、かずさDNA研究所先端研究開発部白澤健太博士らとの共同研究によるものです。

 掲載論文情報：論文タイトル、著者、雑誌名、掲載URL、DOI情報
タイトル：Artificial mutations in the nuclear gene encoding mitochondrial RNA polymerase restore pollen fertility in cytoplasmic male sterile tomato
著者：Kosuke Kuwabara, Rika Nakajima, Van Bosstraeten Alexis Gaetan, Kentaro Ezura, Kinya Toriyama, Tohru Ariizumi, Kenta Shirasawa
雑誌名：Plant Biotechnology Journal
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/pbi.70417

 問い合わせ先：
東北大学大学院農学研究科環境適応植物工学分野　特任助教　桑原康介
kosuke.kuwabara.b2*tohoku.ac.jp
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