ジャガイモのミトコンドリアゲノムに存在する雄性不稔性関連遺伝子を発見-ジャガイモ育種の加速につながる新たな知見-

ミトコンドリアに存在する異常な遺伝子によって葯や花粉の形成が阻害される現象は、細胞質雄性不稔性(CMS)と呼ばれます。CMS原因遺伝子をもつジャガイモ品種では花粉がほとんど形成されず、交配が困難になるため、CMSは育種の大きな障壁となっていました。

本研究では、様々なジャガイモ系統のミトコンドリアゲノムを比較し、新たなCMS原因遺伝子候補としてorf320を発見しました。雄性不稔性を示すジャガイモ系統ではorf320mRNAが多く蓄積する一方で、稔性のある系統ではmRNAが切断されることで蓄積しないことが明らかになりました。この違いが雄性不稔性の発現に強く関連していることが示唆されます。また、orf320の機能を検証するため、モデル植物であるトマトで過剰発現させた結果、花粉数の著しい減少が生じ、orf320がジャガイモ以外の植物種においても雄性不稔性を誘導する能力をもつことが明らかになりました。本研究により、これまで停滞していたジャガイモ育種の大幅な進展が期待されます。
本研究成果は20251125日に科学誌Plant and Cell Physiologyに公開されました。

 掲載論文情報:論文タイトル、著者、雑誌名、掲載URLDOI情報
タイトル:Relationship Between Open Reading Frame 320, a Gene Causing Male Sterility in Tomatoes, and Cytoplasmic Male Sterility in Potatoes
著者:Rika Nakajima, Rena Sanetomo, Kenta Shirasawa, Tohru Ariizumi, Kosuke Kuwabara
雑誌名:Plant and Cell Physiology
DOI: https://doi.org/10.1093/pcp/pcaf157

 問い合わせ先:
東北大学大学院農学研究科環境適応植物工学分野 特任助教 桑原康介
kosuke.kuwabara.b2*tohoku.ac.jp
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