氏名 早川 俊彦
職位 教授
TEL 022-757-4277
FAX 022-757-4277
Mail toshihiko.hayakawa.a7*tohoku.ac.jp(*を@に換えてください)
専門分野 植物細胞生物学、植物代謝生理学、植物細胞生化学、植物栄養学
経歴 東北大学農学部農芸化学科卒業、同大学院農学研究科農芸化学専攻博士課程修了、日本学術振興会特別研究員、同農学部助手、同大学院農学研究科助手、同大学院農学研究科助教授、同大学院農学研究科准教授、同大学院農学研究科教授、現在に至る。
Research map https://researchmap.jp/read0180316?lang=ja
研究内容

イネにおけるアンモニウム態窒素の吸収と利用を支える分子機構

窒素は、植物の生育や作物の生産性を左右する多量必須栄養素です。植物は、根付いた土壌の利用可能な窒素源の質・量的変動に適応するため、効率的に窒素を獲得して利用する、精緻な分子機構を発達させてきました。湛水下の水田で栽培されるイネは、世界人口の半数以上の食を支える基幹作物であり、主に土壌中のアンモニウム態窒素を根で吸収します。しかし、高濃度のアンモニウムの供給は多くの陸上植物に有害です。イネは、高効率にアンモニウムを吸収して利用する分子制御機構を獲得していると考えられます。外来のアンモニウムは、根の表層細胞群(表皮と外皮)において、アンモニウム輸送体1 (AMT1;1とAMT1;2)を介して吸収された後、そのほとんどが、グルタミン合成酵素1;2 (GS1;2)とNADH依存性グルタミン酸合成酵素1 (NADH-GOGAT1)の共役酵素反応により、グルタミンへと同化されます。このグルタミンが導管を介して、根から地上部へ長距離輸送されて生育に利用されます。また、GS1とNADH-GOGATは、老化器官から若い器官への篩管を介した窒素転流でも重要です。私は、窒素情報伝達系も含めて、これらの複雑な分子制御機構を明らかとし、持続可能な開発目標(SDGs)(目標2:飢餓をゼロに)のための高生産・持続可能な農業の達成に向けた、イネの窒素利用と生育の高効率化分子育種に貢献することを研究目標としています。

シーズ
  • イネにおけるアンモニウム態窒素栄養を取り過ぎない仕組みの解明

    私たちは、充足濃度のアンモニウムを与えたイネ幼植物の根では、タンパク質リン酸化酵素ACTPK1が高蓄積し、ACTPK1が、主アンモニウム輸送体のAMT1;2のC末端側の453番目のスレオニン残基をリン酸化して、AMT1;2を不活性化することを明らかにしました。本研究成果は、イネのアンモニウム利用の効率化やアンモニウム感受性植物への耐性付与などの分子育種につながると期待されます。Plant J. 93: 992 (2018). doi: 10.1111/tpj.13824

リンクURL: https://www.agri.tohoku.ac.jp/jp/news/topics/detail/20180315_hayakawa.html

  • イネにおける液胞膜グルタミン排出型輸送体の発見

    根のグルタミン貯蔵の分子機構は不明なままでした。私たちは、十分なアンモニウム態窒素を供給したイネ幼植物の根では、グルタミン応答性の液胞膜アミノ酸輸送体ATL6が、過剰な同化グルタミンをサイトゾルから液胞内に排出して一時的な液胞内貯蔵に関わり、根から地上部への同化グルタミンの長距離輸送と地上部の生育に影響を与えることを明らかにしました。Plant J. 107: 1616 (2021). doi: 10.1111/tpj.15403

リンクURL: https://www.agri.tohoku.ac.jp/jp/news/topics/detail/20210806.html