氏名 石川 稔
職位 教授
TEL 022-217-6197
Mail minoru.ishikawa.e4*tohoku.ac.jp(*を@に換えてください)
専門分野 ケミカルバイオロジー, 創薬化学
経歴 東京工業大学生命理工学部卒業、同大学大学院生命理工学研究科修士課程修了、明治製菓株式会社(現Meiji Seikaファルマ株式会社)研究員、この間東京大学博士(薬学)取得、東京大学分子細胞生物学研究所助教、同講師、同准教授を経て、2019年より現職(生命科学研究科)
Research map https://researchmap.jp/minoruishikawa
研究内容

各自が有機合成、分子細胞生物実験の両方を担当し、生命科学研究において貴重な二刀流の研究者を目指します。二刀流の研究者になりたい人、生体機能分子の分子メカニズム・類縁体合成・薬学的利用に興味のある人、新しい研究を始めたい人、ケミカルバイオロジーに将来性を感じる人、産業応用を直視した研究をしたい人、一緒に研究しませんか?

 

1.疾患関連タンパク質を分解誘導する生体機能分子

細胞内のタンパク質経路ユビキチン-プロテアソーム系を利用して、疾患に関与するタンパク質を人工的に分解誘導する低分子を創製しています。このような分子はPROTAC(proteolysis targeting chimera)と呼ばれていますが、私達はPROTACの低分子化に成功し、がんや、難病である神経変性疾患の原因となるタンパク質も分解できることを示しました。標的タンパク質の存在量を低分子で減少させる本手法は、タンパク質の機能を制御する従来の創薬手法とは異なり、新しい創薬モダリティとして期待されています。
J. Am. Chem Soc. 2010, 132, 5820. Angew. Chem. Int. Ed. 2017, 56, 115

2.生体機能分子の体内動態改善

生体機能分子が生体にて機能を発揮するためには、標的分子に対する活性が重要であることは自明ですが、これに加えて生体内での振る舞い(体内動態)も重要になります。生体機能分子の水溶性は、体内動態に大きな影響を与える重要な物性です。私達は、分子間相互作用が減弱する構造変換によって、類縁体の水溶性が向上する一般則を見出しました。重要な発見として、構造変換により化合物の脂溶性が増加した例においても、本手法により一般性良く水溶性を向上できました。即ち、一般的には分子の脂溶性が低い程水溶性が高いことが知られていましたが、本研究によりこの常識を覆したと言えます。
J. Med. Chem. 2011, 54, 1539.
The Practice of Medicinal Chemistry (Forth Edition)  Elsevier(分担執筆)

シーズ
  • 細胞内のタンパク質を分解誘導する低分子

近年、タンパク質分解薬PROTAC(proteolysis targeting chimera)が、新しい創薬モダリティとして注目されています。私達は、PROTAC創成期から継続してタンパク質分解薬研究を実施し、がんや神経変性疾患に本手法が有効である可能性を提案しました。Angew. Chem. Int. Ed. 2021, 60, 3346.

  • 生体機能分子の物性改善方法

化合物の水溶性は、薬効や経口吸収性などに大きな影響を与えるため、医薬品の重要な物性です。私達は、分子間相互作用を減弱する構造変換した類縁体は、元の化合物と比較して水溶性が向上する一般則を見出しました。経口薬には高い脂溶性と高い水溶性の相反する物性が同時に求められますが、本手法はこの矛盾を解決し得ます。The Practice of Medicinal Chemistry (Forth Edition) Elsevier(分担執筆)