氏名 尾定誠
職位 教授
TEL 022-757-4131
Mail makoto.osada.a8*tohoku.ac.jp(*を@に換えてください)
経歴 東北大学農学部水産学科卒・同大学大学院農学研究科博士課程前期修了(水産学専攻)・東北大学農学部助手・助教授、同大学院助教授、准教授を経て現在に至る。その間ベッドフォード海洋研究所・ボストン大学客員研究員
Research map https://researchmap.jp/read0168720?lang=ja
研究内容

二枚貝類(ホタテガイ、マガキなど)の性分化と配偶子形成を制御する内分泌メカニズムを分子レベルで明らかにして、それらの操作による性統御や人工催熟技術を開発することを目的に研究を行っています。特に、ホタテガイは、赤橙色をした卵巣と乳白色の精巣を持ち、成熟期には肉眼でも容易に雌雄判別ができることから二枚貝類のモデル動物としても研究しています。

 

1.myGnRHによる性分化と配偶子形成

ホタテガイ中枢神経に、ヒトと起源を同じくする、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモン(myGnRH)前駆体タンパクの遺伝子を見つけています。そこから2種類のペプチド、C末端にグリシン末端を持つ12アミノ酸残基のmyGnRH12aaペプチドとC末端にプロリンアミドを持つ11アミノ酸残基のmyGnRH11aaペプチドが合成されています。myGnRH11aaペプチドは精原細胞増殖による精巣発達と雌の雄性化を誘導することを見つけています。さらに雌性化のメカニズムを明らかにするために、性特異的遺伝子も駆使して、myGnRH12aaの機能を調べています。

2.myGnRHのシグナル伝達

ホタテガイのmyGnRH11aaに対する受容体と細胞内情報伝達を明らかにしました。性分化と配偶子形成の制御におけるGnRHペプチドによる支配を、もう一つのペプチドmyGnRH12aaとの相互作用として明らかにするために、その受容体遺伝子の探索を進めています。

3.ステロイドホルモン生合成とその制御

エストロゲン様物質が二枚貝類においても脊椎動物と同じように生殖を制御しており、特に、ホタテガイのmyGnRH11aaがエストロゲンを介して精原細胞増殖を促進しています。ホタテガイやムラサキイガイ、ヨーロッパイガイから、リガンド結合領域がかなり異なる、このエストロゲン様物質のシグナルを細胞内に伝えるエストロゲン受容体(ER)遺伝子を見つけています。ホタテガイにおいて、このエストロゲン様物質の生合成経路を構成する生合成関連遺伝子を二枚貝類で初めて提示しました。エストロゲン様物質の構造決定とGnRHによる生合成制御についてさらに研究を進めています。