動物生殖科学分野
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研究内容

Ⅰ. 哺乳動物における精子の機能解析

受精・発生に寄与する精子機能の統合的な理解と、それらの応用による畜産領域・発生工学領域への貢献を目指している。


Ⅱ. 哺乳動物の精子生産機構の解明

雄体内における生殖細胞の挙動およびその制御機構の解明と、それらの利用法の開発を目指している。

[哺乳類精巣における精子生産機構の解明(原)]

生殖細胞は受精を経て新たな個体を形成できる唯一の細胞であり、繁殖の根幹を成す重要な細胞です。 雄の精巣の中では、精子幹細胞の分化を起点として、ほぼ一生の間、精子が形成されますが、その全体像は十分理解されているとは言えません。 最近、ウシやヒトにおいて、加齢に伴う精子形成機能低下(造精機能障害)が問題になることがありますが、この原因はあまり明らかになっておらず、対処法の確立が求められています。 また、精巣で作られる精子の量・質を向上することが出来れば、人工授精後の受胎率向上が期待でき、我が国の食糧生産性の安定に大きく貢献するはずです。 このような背景から、精巣における精子生産機構の研究は、農学分野における重要課題となっています。  精巣の中で精子はどのように作られるのでしょうか?それはどう制御されているのでしょうか?体外で再現できないでしょうか? 私達は、産業動物と実験動物を利用して、これらの疑問を明らかにし、雄の精子生産機構を理解・制御したいと考えています。

  

1. 精子幹細胞が維持される仕組み

雄は沢山精子をつくることで繁殖の確実性を高めています。この精子生産能は精巣の中の精子幹細胞が支えていますが、精巣の中で幹細胞がどのように働いているかよくわかっていませんでした。 これまで私達はマウス精子幹細胞のユニークな性質として、精巣の基底膜上を活発に動き回る現象を発見しました(Hara et al., Cell Stem Cell 2014)。 幹細胞はどうやって動くのでしょうか?なぜ動くのでしょうか?幹細胞の動きは動物種間で保存されているのでしょうか?動きを指標として幹細胞を分離できないでしょうか? 幹細胞の動きに着目したこれらの疑問を明らかにすることが今後の課題です。

2. 加齢に伴う精子生産の維持と破綻

近年、加齢に伴う突発性の精子生産機能障害がヒトやウシで問題になることがあります(ウシでは種雄牛廃用要因の第一位)。 我々はマウス(寿命約2年)とウシ(寿命約20年)を用いて、精子生産はどのように維持されるのか?どのように機能低下するのか?これらの種間差は?といったことについて研究しています。

3. ウシ精巣の有効利用技術の開発

現行のウシ繁殖システムでは、繁殖用の雄牛(種雄牛)は、限られた肉質形質に基づいて全雄個体の0.1%以下まで選抜され、 繁殖用の雌牛に比べて集団サイズが小さくなるため、雄側を原因とした遺伝的多様性の低下が進んでいます(特に黒毛和種)。 99.9%以上の肉用雄牛は若い時期に去勢され、その未成熟な精巣は廃棄されています(美味しくないようです)。遺伝的多様性の低下により、ウシの繁殖能力や生存力などの適応度の低下(近交退化)が懸念され、持続的食肉生産を脅かすリスクとなっています。 この解決には、多様な雄ウシの遺伝子資源をもっと活用することが重要と考えられます。私達は、現在は廃棄物のウシ去勢精巣に着目し、同組織から精子を作りだす技術の開発にチャレンジしています。 同技術は、解析が困難なウシ生体内での精子生産メカニズムの優れた研究モデルとしても有用と考えられます。


Ⅲ. 化学物質の発生・発達影響解析

特に環境化学物質の安全性・毒性評価に資する研究を行うとともに、動物の発生・発達機構の解明、その応用による動物機能改変を目指している。


    

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