土壌中Al-腐植複合体のアルミニウムの安定性と毒性
腐植と結合したアルミニウムはフッ素やリン酸と反応するが,それ以外では安定に存在すると考えられてきた.しかし近年の研究から,この形態のアルミニウムはpHの低下やイオン強度の変化で容易に放出されるなど,予想以上に不安定であることがわかってきた.このことは,腐植複合体のアルミニウムが毒性アルミニウムの給源になる可能性を示し,土壌改良法のヒントとなる.また,これに付随した性質を活用し,環境に調和した土壌管理の方法を検討している.
(紹介文作成:高橋正,2006-05-11)
上図:オオムギのアルミニウム過剰害.根の伸びが悪くなる.
下図:腐植複合体Al(Alp)と交換性Alの間には相関がみられる.
(Takahashi et al., Soil Sci. Plant Nutr., 49:729-733 (2003); Geoderma, 130:26-34 (2006))