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企画展解説 <2. いろいろな土>

 土のちがいを簡単に示すのはその色です。国内にもさまざまな土がありますが、世界の土はさらに多様です。土の名前には土の色の特徴を示す語もよく使われています。

 写真1をご覧ください。これはいろいろな土の断面写真で、色の異なるものを集めました。黒、灰、青、黄、赤、茶色などの土があります。また、その色は土の深さによっても変わります。

 まず左端は黒い土です。この黒色は、おもに安定度の高い腐植酸によるもので、わが国ではこの土を黒ボク土(黒く、ホクホクとして柔らかい)とよんでいます。つぎに示した灰色の土は新しい火山灰が堆積したもので、雨が多く水はけの良いところにあれば、数百年後には茶~黒色の土に変わっていきます。あまりご覧になる機会はないかもしれませんが、青色を示す土もあります。これは水のたまりやすい場所や水田の下層にしばしばあります。青色は空気にふれると色あせて、灰色になります。つぎは黄色がかった土ですが、この色は針鉄鉱という結晶性鉄鉱物によります。鉱物ではありますが土の中でできたものは粉のように細かいものです。次の赤い土は強度に風化が進んだ土で、その赤色は赤鉄鉱という結晶性鉄鉱物によるものです。最後の茶色の土は国内に最も広く分布する褐色森林土です。茶色はあまり結晶化していない鉄の酸化物や腐植の色を反映しています。

 このような多様な土のなかから身近な東北地方の土をご覧いただきます。世界の多様に発達した土から見れば、東北地方の土は変化のしかたが小さめです。しかし、土の材料が同じでも環境条件によってちがう性質を示します。これらの土における作物生産と施肥、そこにすむ生物の活動などの中から興味深いものを選択しました。さまざまな土の状況をご覧いただき、豊かな土の環境を永く保つにはどうしたらよいか、土の特徴を見ながら考えていただければ幸いです。
写真1:色の異なる土の例

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