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東北大学大学院 農学研究科・農学部 電子顕微鏡室

試料作製

試料作製方法、酢酸ウランの使用および廃液処理について紹介します。

試料作製方法

SEMについて

操作の基本 SEM観察試料作製の基本を参照のこと。
各種動物の臓器 SEM観察試料作製の基本を参照のこと。
各種植物 花粉、枯葉および乾燥根以外の部分はSEM観察試料作製の基本を参照のこと。
微生物(大腸菌、乳酸菌等) 必要に応じて、SEM観察試料作製の基本の①~②を行ったものをカバーガラスかスライドガラス上に滴下する。自然乾燥後、⑧以降を行う。
その他 乾燥している物や骨格の堅い物等は改めて乾燥する必要はないので、SEM観察試料作製の基本の⑧以降を行う(金属蒸着なし)。 例)花粉、枯葉、乾燥した植物の根、毛髪(動物の毛も含む)、貝殻、紙および金属等。

TEMについて

操作の基本 TEM観察超薄切片作製の基本を参照のこと。
電子染色を行うもの 動物、植物に関係なく、全ての超薄切片はTEM観察超薄切片作製の基本を参照のこと。
ネガティブ染色を行うもの 微生物(大腸菌、乳酸菌等):必要に応じてTEM観察超薄切片作製の基本の①~⑥を行ったものをグリッド上に滴下する。染色→自然乾燥→観察。

ウイルスとファージ:懸濁液を固定等の処理をせずにそのまま親水化処理したグリッドに滴下。染色→自然乾燥→観察。
微生物(大腸菌、乳酸菌等) 必要に応じて、TEM観察試料作製の基本の①~②を行ったものをカバーガラスかスライドガラス上に滴下する。自然乾燥後、⑧以降を行う。
その他 乾燥している物や骨格の堅い物等は改めて乾燥する必要はないので、TEM観察試料作製の基本の⑧以降を行う(金属蒸着なし)。 例)花粉、枯葉、乾燥した植物の根、毛髪(動物の毛も含む)、貝殻、紙および金属等。

酢酸ウランの使用について

透過電子顕微鏡切片の染色に使用されている酢酸ウランは、原子力基本法第3条で「核燃料物質」に指定されていて、「国際規制物資」の一つです。国際規制物資とは、核燃料物質や原子力関連の資材等が核兵器の製造等に悪用されないようにするため国際的に管理することが求められている物資のことをいい、原子炉等規制法(正式名称:核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律)第2条第11項に定義されています。
現在、当電子顕微鏡室には超薄切片染色のための酢酸ウランは充分な量があります。酢酸ウランは、一般の実験室で使用することは法律上、何の問題もありませんが、酢酸ウラン使用の際に発生した廃棄物は全て当室で永久保管しなければならないことやより安全な管理が求められる薬品であることから、酢酸ウランによる超薄切片の染色を希望される場合は、まず他の染色剤を使用して頂き、どうしてもうまく染色できない場合にのみ使用するようお願いしております。
酢酸ウランを使用する場合は、関係各法律・省令・規則等、関係学会等が作成し文科省へ提出したマニュアルおよび研究科教授会で承認されている「東北大学大学院農学研究科における核燃料物質の管理と使用に関する申し合わせ」に基づいて、以下の通り手続を行って頂きます。
なお、今後、関係各法令等が変更された場合は、直ちにそれに従うこととします。

  1. 核燃料物質「酢酸ウラン」払出申請書に記入して下さい(裏面は払出および廃棄物持ち込みの記録になっています)。
  2. 記入済みの申請書を電顕室にお持ち頂いてから、当室保管の「酢酸ウラニル払出簿(控)」をお渡ししますので、分野責任者および国際規制物資計量管理責任者(電子顕微鏡運営委員長)の印をもらって下さい。
  3. 押印された酢酸ウラニル払出簿(控)を当室にお持ち頂き、酢酸ウランの払出を行います。計量に必要な薬さじ・容器等は持参して下さい。持ち出す量は必要最少量でお願いします。
  4. 使用者の研究室で酢酸ウラン染色液を調整し、染色を行います。
  5. 使用時に生じた廃棄物は袋にまとめ、分野名および分野責任者氏名をはっきりと記入し電子顕微鏡室に持ち込んで下さい(申請書裏面に記入)。廃棄物の持ち込みは、その都度でも実験が全て終了した後でもどちらでも構いません。
  6. 不要になった少量の染色液はろ紙に吸収させ、上記5の廃棄物として処理をして下さい。

廃液処理

試料作製で生じる廃液は、全て関係法令および「東北大学環境保全センター」の規定に従い、当室では下記のとおり処理方法を定めています。薬品名をクリックすると経済産業省管轄のMSDS制度による化学物質等安全シート(薬品メーカーによって表現は若干異なります)を読むことができます。電子顕微鏡試料作製に限定しての情報ではありませんが、アクシデントが発生した時の対処法などが書かれていますので、必要であれば参考にして下さい。以下に主な薬品の廃棄処理の仕方および取扱注意事項等を紹介します。
その他、一般の実験で使用する薬品についても「厚生労働省 職場のあんぜんサイト」で検索して、化学物質等安全シートを読むことができます。また、「化学品の分類および表示に関する世界調和システム(GHS)~毒物・薬物について~」にも薬品の取扱いについてのさまざまな情報が得られます。

グルタルアルデヒド 固定液。生物系廃液―難燃性:G-C分類-オレンジ色のポリタンク
四酸化オスミウム 固定液。分野ごとに永久保管しなければならないので、本当に必要な量だけ作り、使用する。瓶に入れてしっかり蓋をして、パラフィルムを巻いても時間がたつとガスが出てきて、ラベルや保管している周辺が黒ずんで汚くなる。それが嫌であれば、ジプロック等に入れ、汚くなったら袋を新しくするのもよい。
酢酸ウラン 超薄切片の染色液。廃液・不要消耗品は全て電子顕微鏡室で永久保管しなければならない。四酸化オスミウムと同様、本当に必要な量だけ作り、使用する。詳細な処理の仕方は「酢酸ウランの使用について」を参照。
TIブルー 酢酸ウランの代替染色液。重金属廃液(一般無機廃液):F-1分類-青色のポリタンク
エポキシ樹脂(例Quetol812) 皮膚刺激性の薬品のため、未硬化のものは取扱注意。素手で触ってはいけない。完全に硬化させたものは有害ではなくなるため、廃棄する場合は液体のままではなく、硬化させ可燃物として焼却処分する。
DMP-30 皮膚刺激性の薬品のため、未硬化のものは取扱注意。素手で触ってはいけない。完全に硬化させたものは有害ではなくなるため、廃棄する場合は液体のままではなく、硬化させ可燃物として焼却処分する。
酸化プロピレン 置換剤。揮発性が高く、吸入による曝露が懸念されるため、ドラフトで使用する。毒性があり、薬剤アレルギーの皮膚炎を起こしてしまうこともある。
QY1 置換剤。Nブチルグリシジルエーテル。