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アメリカ カレッジステーション滞在記(古川恭平)

この度は、本拠点形成事業でのテキサスA&M大学派遣という貴重なチャンスを頂き、誠にありがとうございます。

私は、Department of Animal ScienceのWu Guoyao教授の研究室(Animal Nutrition)で、ニワトリ特有のアミノ酸代謝に関する研究を行わせていただいています。Wu教授はテキサスA&M大学のDistinguished Professorで、すでに約560報の原著論文、および2冊の単著「Amino Acids」と「Principle of Animal Nutrition」を執筆されており、世界中の食餌性アミノ酸研究者の中で彼を知らない者はいないほどの著名な研究者です。この半年間、少しでも多くの経験と知識を積み重ねるために、必死に研究に励みたいと思います。本滞在記では、海外留学を希望した理由、アメリカでの研究・生活について触れたいと思います。

(テキサス初日に、Wu先生(右)にBBQをご馳走していただきました。)


海外留学を志した理由

 まず、なぜ今回の留学を希望したかについて綴りたいと思います。私は、学部4年生から動物栄養生化学分野で研究を続けてきました。海外を意識するようになったのは、修士学生の時に行かせてもらった、韓国での国際学会です。この学会で私が目にしたのは、私の指導教員・豊水教授が多くの海外研究者から挨拶されていた姿です。率直にすごいな、かっこいいなと思うのと同時に、自分も海外研究員から名を知られるような研究者になりたいと思いました。それから、私は国際学会や学内での海外研究者の講演にできるだけ参加し、英語も勉強しました。そして、この度、豊水先生に中長期の海外留学したい旨を伝えると、先生の旧友であるWu教授の下で研究できるチャンスを頂けたのです。


研究室

 Wu教授の研究室には、アメリカ人の学生ももちろんいますが、大半は中国人の修士・博士学生もしくは中国からの客員研究員・客員学生です。中国の方は非常にフレンドリーな方が多く、研究に関することから生活に関することまで様々なことを教えてくれるので、非常に居心地良く生活しています。こちらの研究室では、セミナーなどは特になく、お互いの研究に関して深く議論することはありませんが、時折実験をしながらお互いの研究について議論したりしています。対象動物がブタ、ニワトリ、魚類と多岐にわたり、それぞれの動物種が特有のアミノ酸代謝機構を有しており、非常に興味深いです。また、研究室での生活は皆さん規則正しいです。朝8-9時くらいに来て、勉強や研究を始め、夜6時にはほとんどの学生・先生が帰路に着きます。また、土日や休日はほとんど誰もいません。こちらの人は、仕事もプライベートもどちらも大事にされている印象です。


(左、Wu教授の研究室のメンバー、中央、Departmentのクリスマスパーティーでの記念写真、右、HPLCを使って実験をしています)


カレッジステーションの生活

 カレッジステーションの天候は1年の大半は15℃以上あり、非常に過ごしやすい場所です。寒いのは、年末年始の数週間たらずですので、冬が嫌いな僕にとっては完璧な場所です。カレッジステーションという町の名前から分かるように、この町の大半は大学が占めています。テキサスA&M大学はとにかく大きく、22㎢(アメリカ最大規模らしいです)あります。私は、研究室のある建物から歩いて15分くらいの所でルームシェアをして住んでいます(大学の南門の近く)。研究室が近くて楽なのですが、食品の調達だけが少し大変です。私のアパートの周りにはファーストフード店のマクドナルドしかなく(多くの飲食店は北門付近にある)、またスーパーもかなり遠いため、週末に研究室の中国人学生、Willに車でスーパーに連れて行ってもらって、1週間分の食材を買い貯めて、自炊してます。ちなみに、北門の近くの飲食店に足を運ぶと、テキサス名物のBBQやビールを楽しむことができます。


(左、アパート周辺(5年ぶりの雪)、中央、飲食店での食事、右、ブラックフライデーの様子)


今住んでいるところで最も魅力的な部分は、スポーツ施設が近いというところでしょう。アメリカの3大スポーツである野球、アメリカンフットボール、バスケットボールのグラウンド・体育館が家から歩いて5分で行け、試合を観戦することができます。驚くのは、これらの施設は大学が保有しているとは考えられないくらい、立派で大きいということです。バスケットボールのプロリーグ(NBA)の試合にも行きましたが、そのアリーナと比べても全く見劣りしません。また、テキサスA&M大学には、学生・職員が利用できるスポーツ施設(プール、ジム、バスケ、バレー、バドミントン、卓球などなど)も充実してます。$106払えば、1セメスター(約4か月)使い放題で利用でき、平日の夕方や休日はスポーツを楽しむ人でいっぱいです。私は、客員研究員のDr. HanやDr. Zhangとバドミントンや水泳を楽しみ、うまく気分転換もできてます。


(上段、テキサスA&M大学のスポーツ施設、
下段、ヒューストンのトヨタセンターと大学のレクリエーションセンター)


最後に

この滞在記を通じて、アメリカでの生活が少しでも伝わりましたでしょうか?
研究環境や食環境は少し違うけれども、生活自体は日本にいるときとそんなに大差はないと思います。中国からの客員研究員、Dr. Hanは何度も、「Kyoheiのように若い時に、海外に出るのは間違いなく良いことだし、そこでの経験は必ず将来活かせるよ。」と言ってくれます。できるだけ長く滞在する方が良いとは思いますが、たとえ短期であっても、海外を知るというのは間違いなくプラスの経験になると思います。もし、海外留学を考えている人がいるならば、ぜひ一歩前に踏み出してほしいです。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。



古川 恭平
東北大学大学院農学研究科博士課程後期2年
動物栄養生化学分野
  • 日本学術振興会
  • 研究拠点形成事業
  • 東北大学
  • 東北大学大学院 農学研究科
  • 食と農免疫国際教育研究センター