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専門分野 天然物化学 の、榎本 賢 博士へのQ&Aです。

Q1.はじめに、子供の頃になりたかった職業は何ですか?

    生物学者です。子供の頃、一般家庭で飼育できるありとあらゆる動物を飼いました。(犬、鳥、ウサギ、カメ(クサガメ、カミツキガメ、スッポン)、サンショウウオ、イモリ、カニ、ヤドカリ等々)。特に魚(淡水魚)の飼育が好きで、コイ、フナ、タナゴ、ウグイ、オイカワ等はもちろん、イワナ、ヤマメ、アユ等、渓流魚も飼いました。飼育していたアユが死んだので、調理して食べてみたらまずかったのは今でも覚えています(笑)。現在も自宅で熱帯魚を飼育しており、せんだいうみの杜水族館によく行きます。東北大学農学部に入学するきっかけも、旧雨宮キャンパスの目の前に熱帯魚屋さんがあり、ここにしようと決めました(本当です!)。こんなに魚が好きなのに、高校の時からの興味関心に基づいて、当時の生物化学系を選びました。

Q2.専門分野である天然物化学について簡単に紹介してください。

    生物が作り出す天然有機化合物(天然物)を研究する化学分野です。その中には医薬や農薬の「種」になる可能性を秘めている化合物があります。生物資源から天然物を単離・構造決定する人,生理活性等の機能を研究する人,様々な天然物化学の研究者がいますが, 私は天然物を化学的(人工的)に合成する研究をしています。

Q3.天然物化学の研究者になった決め手は何ですか?

    中高生の頃からでしょうか,「化学物質の塊である生き物がなぜこれほどまでに巧妙に動くのか」ということに関心がありました。大学に入学して,高校では教えてくれない新しい生物学を講義で教われると期待していたのですが,実際は高校の時とさほど代わり映えしなく,私にとってつまらないものでした(僭越ですが,敢えて当時の正直な気持ちを書かせていただきました)。その一方で,化学や物理学の講義は内容が新鮮で非常に興味を掻き立てられました。その中で有機化学は,高校までの「暗記」のイメージと異なり,電子移動の様子を表す矢印で一見複雑に見える様々な反応を論理的に説明・予測できることを学び,おもしろい!と思って以来,取り憑かれました。それだけでなく,生体内で起こる代謝等の化学反応も論理的に説明でき,私の高校時代からの知的欲求を満足させるものでした。このような経緯で,結果的には生物学者ではなく化学者になっていました。天然物は生物が作り出す有機化合物ですが,神が考えたとしか思えない巧妙な作用機構や複雑な分子構造を持つものがあり,ロマンと魅力が溢れます。有機化学を勉強したら量子化学も好きになったので,生まれ変わったら理論物理学者になりたいです(なれるかは別ですが…)

Q4.ご自分を動物に例えるなら、何だと思いますか?

    妻はよく私をチーターに例えます。細いから?

Q5.最近の一番うれしかったことを教えてください。

    2年前なので最近ではないかもしれませんが、子供が産まれたことです。最近では、子供の成長がわかる出来事があるたびに嬉しく思います。

Q6.では、最近の失敗談を教えてください。

    たくさんありすぎて覚えていません。結構そそっかしいので…。

Q7.海外での経験をお聞きします。今までに訪問したことのある国を教えてください。

    アメリカ、韓国、台湾、シンガポール、マレーシア、タイ、イスラエル、トルコ。

Q8.その中で、1番気に入った国はどこですか?

    気に入ったという表現がふさわしいかどうかはわかりませんが、イスラエルです。
    イスラエルのMasadaから見た死海

Q9.それはどういうところでしょうか?

    主要な国際問題のいくつかがこの場所に端を発しているのかと思うと考えさせらるものがあったからです。
 

10.おいしいな、と思った料理(食べ物)は何ですか?

    妻の手料理が美味しいです。

Q11.おいしそうに見えたのに、食べたらがっかりしたものはありましたか?

    某コンビニのスイーツです。甘すぎでした。

Q12.海外滞在中に、再発見した日本(日本人)のよいところはありましたか?

    特に浮かびませんが、清潔なところでしょうか。

Q13.旅行(観光)に行くなら、お薦めの国はありますか?

    私が教えて欲しいくらいですが、強いて言えばイスラエルです。周辺諸国の政情不安のため現在はお勧めできないですが、実際に見たエルサレムは印象深いものでした。
    エルサレム旧市街

    嘆きの壁を警備する兵士と

Q14.今、目の前にドラえもんの道具、「どこでもドア」があったら、どこに行ってみたいですか?

    南極?深海?宇宙?行きたいところがたくさんありすぎて決められません。けれど、知床の流氷はもう一度みたいです。アイヌ語で「山の先=知の果」を意味する知床は、流氷の時期は悪天候になりやすく、吹雪で道が閉鎖されるとしばらく陸の孤島になります。そんな時でも「どこでもドア」があれば見に行けますね。そうなると、見られた有り難みと感動が薄れるのでしょうけど…     

Q15.食生活についてお聞きします。好きな料理や料理ジャンルは何ですか?

    あんこ、和食、魚料理全般

Q16.子供時代には嫌いだったけれど、大人になって好きになったものはありますか?

    イカのお刺身が苦手でしたが、北海道に住んだ時に「本物」のイカのお刺身を食べてからは好きになりました。

Q17.また、今でも苦手なものはありますか?

    苦手な食べ物がないことが取り柄だと思っています。

Q18.最後の晩餐に、是非とも食べたいものを教えてください。

    食べ物ではないのですが、温かい緑茶を飲みたいです。

Q19.今、1か月休暇が取れることになりました。どのように使いますか?

    家族旅行をして子供といっぱい遊びたいです。

Q20.今後、研究者として、どのように過ごしていきたいですか?

    生合成様式を模倣することで複雑な構造をもつ天然物を簡便に合成したいです。さらに生合成模倣合成を通して、生体内あるいは自然界において天然物がどのように合成されるのか、有機合成化学的な手法で説明することを夢見ています。生命現象を化学的に解明し、それを利用できるようになりたいです。自然の偉大さに触れ、感動し、それを学生に伝えたいです。

Q21.最後になりましたが、食の安全性とは、何だと思いますか?

    研究者、一般の方々を問わずに理解・納得できる普遍的なものであるべきだと思います。
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