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研究のねらい

昆虫は地球上の全動物種の9割以上を占める最大の動物群であり、生態系の中で必要不可欠な役割を担っている。私たちの研究室では、この昆虫を材料に主に以下の内容について研究を行っている。ひとつは、農薬に代わり得る、環境にやさしい新しい害虫防除技術の開発を行っている。昆虫の行動にはさまざまな化学物質が関与しているが、食植性昆虫が餌植物を探索、摂食していく過程においては、植物に含まれる化学物質が行動を決定するための情報として利用されている。私たちの研究室では、昆虫を誘引あるいは忌避する植物の匂い物質や昆虫の摂食を刺激あるいは阻害する植物中の味覚物質の単離・同定を行っている。これらの化学物質を有効利用することにより、害虫の行動を人為的に制御する環境にやさしい害虫防除技術の開発を目指している。また、光などの物理的方法を用いた害虫制御技術の開発にも取り組んでいる。昆虫と植物の相互作用を物質レベルで解明していくには、昆虫の行動学、電気生理学、化学分析、形態学などの様々な側面からの研究が必要である。私たちの研究室では、様々な行動測定装置、電気生理学装置、化学分析機器、光学機器などを駆使してそれらの解明を行っている。また、光などの物理的防除の研究では、LEDやその制御装置、測定装置などを駆使して、光と昆虫の関係解明を行っている。

昆虫はどのようにして寄主植物を選択しているのか?

害虫が餌植物を探索、摂食していく過程でプラスに働く物質(誘引物質、摂食刺激物質、産卵刺激物質など)やマイナスに働く物質(忌避物質、摂食阻害物質、産卵阻害物質)を特定し、これを利用できれば、害虫を殺さずにその行動を操ることで、害虫による作物の被害を軽減することができる。例えば、忌避物質を利用すれば、害虫の作物への接近を防ぐことができ、摂食阻害物質を利用すれば作物が害虫に摂食加害されるのを防ぐことができる。誘引物質を利用すれば、特定の場所に害虫を集めることができ、摂食刺激物質を利用できれば作物以外の植物に害虫を留まらせることができる。

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